プロセスデザイン・コンサルテーションの基本手順
ステップ1,関係確立とその明確化
まず最初に行わなければならないことは、あなたとアドバイザーの関係の確立です。
プランニングの主体はあくまであなたであり、その目的は、自己責任に基づくプランの自己決定にあるからです。
私は、あなたがそこに到達するために専門家としてアドバイスをする形になります。
つまり、私があなたに対して教え諭すような関係は、あなたの自己決定を阻害する可能性があるので望ましくありません。
- 単なる一般的な情報提供ではなく、個人に最も適切だと考えられるプランを立案する。
- プランニングは、あくまでも共同作業であり、最終的にはあなたの自己決定が尊重される。
そのためには、まず、あなたとの適切な関係が大切であり、そこから信頼感が醸成されることになります。
そのためのポイントをこれからご紹介します。
1,プランニングとプランナーの力量に関する情報
2,ニーズに対する適合性の判断
3,業務契約の範囲の明確化
ステップ2,データの収集と目標の明確化
基本的な関係性が確認できたら、次はデータに基づき目標および希望を明確化していきます。
- 資産や債務、収入や支出。
- ファイナンス上の目的、経済面でのニーズを明確化し優先順位づけをする。
- 価値観、タイプ、希望のすり合わせをする。
- ファイナンシャル・ゴールを達成する時期を明確化する。
- リスク許容度(投資可能ゾーン)を把握し設定する。
- 記録や資料を適切に選択する。
重要なのはあなたのライフデザイン
キャッシュフロー・デザインのベースになるのが、ライフデザインです。
- あなたのライフプラン上の目標や目的、あるいは願望の明確化。
- そこから導き出される個人の経済面でのゴールの明確化。
という手順でデザインしていく必要があるからです。
最初の内はライフデザインが不明瞭で曖昧な状態でしょう。
したがって、漠然とお金を増やしたいとか、老後が不安だとか、保険を見直したいということでも結構です。
ライフデザインに基づくプランを作るプロセスを私が確りとリードしていくので問題ありません。
例えば、
- 住宅を取得するかしないか、するなら何年後か?
- 子どもの教育はどうしたいのか、留学させる予定はあるか?
- 老後はどこでどのような暮らしがしたいのか?
- 仕事はこのまま続けるのか、転職や独立は考えているのか?
- ビジネスの方向性を変える必要があるのか?
といったさまざまな点について明確にしながらプランを作成していきます。
経済的なゴールを明確にする
そして、そのプランに基づいて、目標に見合う経済面でのゴールを数値化します。
例えば、
- 住宅は5年後に5000万円で購入する。
- 老後資金は25年後の60歳時に退職金以外に2000万円作り出す。
- 起業して年収を3,000万にする
- ビジネスを転換して1億の収益増を目指す。
といったようにプラン上の目標を具体的な金額に落とし込んでいきます。
また、情報には上記の定量的情報の他に定性的情報があります。
定性的情報は極めて重要
定性的情報とは、あなたの性格や価値観などに関するデータです。
これを軽視するアドバイザーは多いですが、極めて重要な情報です。
例えば以下のようなことです。
- 生活目標
- 健康状態(自己認識)
- 興味や趣味
- リスク許容度(仮説)
- 理想とするライフスタイル
- 金銭に対する価値観(内外視点)
- 家族関係(内外視点)
- 意思決定プロセスの傾向(俯瞰)
面 談
適切な面談を行うことでお互いの信頼感を得ることがでます。
この信頼関係が良質なプラニングにつながります。
- 面談によりあなたの人柄や希望・不安などの定性的情報を得る。
- 定性的情報は面談するからこそ得ることができるものが多い。
※定量的情報は、不正確であったり、あいまいなことが多い。したがって、何度も修正が必要になるケースもある。
質問シート記入
より詳細な定量的情報は質問シートに記入していただきます。
自ら記入することで、データの整理や把握・確認ができ、ライフスタイルを見つめ直すよい機会にもなります。
自分で正確に記入できないところについて
例えば、生命保険の契約内容、所得税や社会保険料の金額などは、保険証券、源泉徴収票、住宅ローン償還一覧表などのコピーをいただければ大丈夫です。
ステップ3、キャッシュフローの分析と評価
情報の分析と目的、ニーズおよび優先事項の評価を行っていきます。
あなたが気づいていない問題点も浮き彫りになり、早期段階での事前対応が可能になります。
①お金の流れの分析
現状の収入と支出の把握からスタートし、ライフイベントやプランなどに必要な資金を数値化して、キャッシュフロー表を作成していきます。
このキャッシュフロー表を作成するこによって、単年度の赤字や継続的赤字があるか、貯畜の取り崩しは必要かなど、長期的なキャッシュフローシミュレーションが可能になります。
現状の支出内容の詳細な分析もキャッシュフロー分析の土台となるのでとても重要です。
例えば、収入と負債のバランス、費用が過大でないかなどをチェックしていきます。
②バランスシートを作成する
バランスシートによって、資産内容と負債内容、資産と負債のバランスなどについての解析が可能になります。
資産全体は総資産ポートフォリオであり、金融資産と不動産のバランス、換金性・安全性・収益性のバランスを分析していきます。
例えば、以下のような点について分析していきます。
- 不動産の換金性や収益性が落ちていないか?
- 金融資産に占める株式や株式投資信託の割合が過大ではないか?
- 逆に金融資産に占める元本保証商品の割合が過大ではないか?
- 手元流動性は十分確保されているか?
- 負債が過大でないか?
注意!ポートフォリオとは、作品集のコトではなく、現金、預金、株式、債券、不動産など、投資家が保有している金融商品の一覧、あるいはその組み合わせの内容を指します。
③保障・補償分析
- パーソナル・リスクやファミリー・リスクが何によって生じる可能性があるか?
- リスクについてどの程度の回避対策が必要か?
ライフスタイルに基づいて整理し、それに基づいて、
- 必要な保障(保証)が確保されているか?
- 逆に保障過多によって、余計なコストが発生していないか?
- どの程度までストック性を加味すればいいのか?
他に有効な手段(リスクファイナンシング、リスクコントロール)はないのかなどを分析していきます。
④税金分析
- 所得税・住民税・自動車税・法人税・固定資産税などに節税の余地がないか?
- 相続税評価ベースで見た場合、相続税がどの程度なのか?
- 節税する必用があるか、あるとすればどうしたらよいか?
上記の視点から全体的な分析などを行っていきます。
解決方法の検討
現状を分析して問題点の把握した上で、問題点の解決方法を検討していきます。
あらゆる角度から多くの対策を検討した結果、時には他の専門家を必要とするケースもあります。
対策を検討する際には、あなたの目的や必要性に基づき、あなたの価値観・生き方、リスク許容度や性格あるいは健康状態などを踏まえて優先事項を精査していきます。
妥当と考えられる複数の対策を考え、その中から最良と思われる対策を選択し、さらに検討を重ね、代替案も用意します。
あなたにとって最適なプランを実行した場合に、お金の流れ、バラン、保障キャパ、節税効果、あるいは税額などの変化についてシミュレーションしていきます。
対策案に問題がある場合は改善し、リスクがあればそれも明確にし、消滅させるか軽減していきます。
複数の対策の中から、ライフデザイン上の目的とプラン上の目標を照らし合わせ、最終的な優先順位を確定します。
ステップ4,プランの検討・作成・提示
- プランの戦略の明確化と評価
- ファイナンシャル・プランの作成
【提案書を作成する理由】
あなたの目的、必要性、優先事項にマッチした戦略に基づいてプランを作成します。
問題点や解決策が客観的になるので、理解しやすくなると同時に実行難度が軽減されます。
この実行プランは、あなたの経済的活動の基盤となり、常に立ち返るべき原点にもなります。
また提案書によって、双方(アドバイザーとクライアント)のコミットメントが強化され、目標達成が容易になります。
提案書の提示
実行プランの根拠を、あなたが意思決定を行うことができる方法によって提示します。
例えば、以下のような方法です。
- あなたが理解できるようにわかりやすく説明する。
- 内容を正確に説明する。
- 疑間や質問には丁寧に答える。
- あなたが確信と安心感・信頼感をもって実行できる方向に導く。
ステップ5,プランの実行援助
- プラン実行の責任範囲に関する合意
- プラン実行のための商品およびサービスの明確化と提示
- プラン実行の援助
プランに対応可能な金融商品があれば、生命保険、損害保険、投資、不動産の購入や売却・買換えの実務サポートを行います。
ご希望の場合は、保険代理店、投資助言・代理業、投資運用業に登録している投資アドバイザー、税理士や弁護士などを紹介することも可能です。
ステップ6,プランの定期的見直し
十分吟味して仕上げたプランでも、環境の変化などによって見直しが必要になるケースがあります。
- 子どもの誕生や結婚、離婚。
- 病気、退職などの環境の変化や職業の変化。
- 価値観や考え方の変化。
- 景気や金利・市況など経済情勢の変化。
- 税制や法律の改定。
これらの変化があれば、プランの見直しが必要になります。
ライフ、パーソナルといったデザインに関しては、病気になったり、考え方や価値観が変わらない限り大きく変わることはありません。
しかし、経済的なことが主体となるキャッシュフロー・デザインは、永久に有効なわけではありません。
したがって、新しい状況に対応できるように、改善していく必要があります。