役員退職金・弔慰金の規定作成と運用ガイド

「役員退職金・弔慰金規程」はあくまでも内規であり、労働基準監督局や税務署などに届ける必要はありません。

規程は「株主総会」か「取締役会」のどちらかで作成して承認を得れば事足ります。

改定などを行う場合は、作成・承認したところで行うようにしてください。

規程の作成・承認手続きの手順

「規定」の見本を提示⇒「取締役会」で「規定」の作成と承認⇒「規定」制定に関する取締役会の「議事録」作成と保管という手順で進めます。

参考事例▼

取締役会議事録の例

取締役会議事録

  • 平成○〇年○○月○○日○○時○○分より、当会社の本店において、取締役会を開催した。
  • 出席取締役 ××名(全取締役 ××名)
  • 代表取締役 ○△ □◇は、選ばれて議長となり、下記の議案につき、可決確定の上、○○時○○分散会した。

【議案】

役員退職慰労金・弔慰金規程制定の件

上記の議案につき議長から制定の趣旨に関し説明があり、その内容について逐条的に審議したところ、出席した取締役全員の賛成をもって、これを可決しました。

なお、この規程は監査役についても適用されるため、本規程の制定について、監査役の同意を得ているとの議長からの報告もありました。

以上の決議を明確にするため当議事録を作り、出席取締役全員がこれに署名捺印。

平成○〇年○○月○○日

議長 代表取締役 印
出席取締役    印
同          印
同          印
同          印

役員退職金・弔慰金規程の内容

役員退職金・弔慰金規程の内容

役員退職金・弔慰金規程として、一時金として退職金を支給する例です。

実際支払いが発生し、株主総会において取締役会に支給金額が一任された場合の取締役会の議事録についても例を挙げておきます。

参考事例▼

役員退職慰労金・弔慰金規程〔例〕

第1条(総則)

当社の取締役または監査役(以下役員という)が退職したとき、または役掌が大きく変更したときは、株主総会の決議を経て退職慰労金を支給することができます。

第2条(目的)

この規程は、役員の退職または法人税基本通達による分掌変更などの場合に、一時金および分割払いによる支給を行い、もって役員在任期間中の功労に報い、退職後における役員または遺族の生活の安定に寄与することを目的とします。

第3条(適用の範囲)

この規程は、全役員に適用します。

ただし、次の各項いずれかに該当する場合には、役員退職慰労金を減額または支給しないことがあります。

  1. 退職に当たり、所定の手続きおよび事務処理などをなさず、会社業務の運用に支障をきたす場合。
  2. 退職に当たり、会社の信用を傷つけ、または在任中知り得た会社の機密を漏らすことによって、会社に損害を与えるおそれのある場合.
  3. 在任中不者『合な行為があり、役員を解任された場合。
  4. その他前各項に準ずる行為があり、取締役会で減額ないし不支給を適当と認めた場合。

第4条(算定基準)

退職慰労金の算定は、退任時最終報Wll月額に役員在任年数と退任時役位別倍率を乗じた額とします。

ただし、算定額に万円未満の端数がある場合は万円単位に切り上げます。

(退任時役位別倍率)

退任時役位倍率退任時役位倍率
取締役会長常務取締役
取締役社長常勤取締役
取締役副社長使用人兼務取締役
専務取締役監査役

第5条(在任期間)

役員在任期間は1カ年を単位とし、端数は月割りとするこただし、1カ月未満は1カ月に切りあげます。

第6条(功績加算)

在任中に特に功績顕著と認められる役員に対しては、第4条により算定される退職慰労金額にその30%をこえない額を限度として、加算することがあります。

第7条(弔慰金)

任期中に死亡したときは、次の金額を死亡退職金とは別に弔慰金として支給します。

  • 業務上の死亡の場合 …………………万円
  • 業務外の死亡の場合 …………………万円

第8条(支給時期)

退職慰労金・弔慰金の支給時期は原則として株主総会の決議または承認後 力月以内とします。

第9条(死亡役員に対する死亡退職金など)

  1. 死亡した役員に対する死亡退職金・弔慰金は遺族に支給する。
  2. 遺族とは配偶者を第一順位とし、配偶者のいない場合には子、父母、祖父母、兄弟姉妹の順位とする。なお、該当者が複数いるときは代表者に対して支給するものとする。

第10条(生命保険契約の締結)

  1. 会社は退職慰労金・弔慰金の支払いに際し、一時的な資金負担を軽減するため生命保険会社との間で、役員を被保険者とする生命保険契約を締結する。
  2. 役員が退職したときは退職慰労金・弔慰金の全部または一部として、この保険契約上の名義を退職役員に変更の_L、保険証券を交付することがある。この場合、保険契約の評価額は解約返戻金とする。
  3. 新任の役員については、就任後速やかに加入手続きをとるものとする。

第11条(使用人兼務役員の取扱い)

この規程により支給する退職慰労金のなかには、使用人兼務役員に対し使用人として支給すべき退職給与金を含みません。

第12条(その他)

本規程に定めなき事項については、取締役会で協議決定する。

第13条(施行日)

この規程は、 年 月 日より施行し、施行後に退職する役員に対して適用する。

参考事例▼

【議事録の例】

第○○号議案 退任取締役および退任監査役に対する退職慰労金贈呈の件議長は上記議案を上程し、本総会終結をもって任期満了により退任される取締役A氏およびB氏並びに監査役C氏に対し、その在任中の功労に報いるため、それぞれ当社所定の基準により、相当額の範囲内で、退職慰労金を贈呈したく、その具体的な金額、時期、方法については、退任取締役については取締役会に、また監査役については監査役の協議に一任されたい趣旨を述べて審議を求めたところ、(議決権行使書を含め)(委任状を含め)出席株主の議決権の過半数の賛成をもって第○○号議案は原案のとおり承認許可された。

退任取締役および退任監査役の略歴は次のとおりです。

氏名略  歴
□□ □□昭和〇年○月当社取締役就任
昭和〇年○月当社常務取締役就任
平成〇年○月当社社長就任
平成〇年○月当社取締役退任

次回は、事業承継資金などについてです。

ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。

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