必要資金
死亡退職金、弔慰金、事業承継資金を準備する。
①死亡退職金
死亡退職金の税務上の適正額は、功績倍率方式で考えると、在任年数によって適正額が増加することになる。
②弔慰金
弔慰金は、死亡が業務上かどうかで適正金額が異なるため、提とする。
③事業承継資金(自社株の買い取り資金)
自社株の買い取り資金は、個人の相続税課税も考慮して、金額を決定する。
保険期間
あらかじめ勇退時期が決定されている場合は、在任期間の死亡保障があればよいので、勇退時期を満期とする保障でいいです。
ただし、同族会社や中小企業の場合では勇退時期は決まっていないケースが多く、そのため保険期間をある程度余裕を持って設定するようにします。
保険種類
経営者・役員が死亡することによって発生するリスクであるために、生命保険で対応するとしたら、貯蓄性の保険は必要なく保障性があればいいです。
実際の具体的な提案にあたっては、顧客の保険料などの負担能力と商品の内容、生命保険会社などの金融機関の信用リスク、生命保険商品ごとの特徴、保険業法における健全性維持のための規制の状況などを考慮することが必要です。
さらには、企業や経済の状況に応じて、数年ごとに見直す必要があります。
事業承継については、相続税負担の軽減のためと、残された遺族間の争いが発生しないために準備をしておくことが必要になります。
自社株式の評価については、こまめに評価を行いつつ相続が発生しても株式評価が高くなることがないように、類似業種比準方式の評価を引き下げるべく利益を抑えておくことが必要になります。
そのためには損金算入が可能な生命保険の活用が有効になります。
逓増定期保険を活用して自社株評価を引き下げながら利益繰り延べし、退職慰労金として活用することが1つの方策となります。
もちろん勇退時期までに死亡した場合には、死亡保険金を活用して退職慰労金・弔慰金にも活用可能です。
退職時には退職慰労金として受け取ることで退職所得となるので、所得税の軽減も図ることができます。
またこの保険を払済にして終身保険に変更することで(商品によってできない場合もあるので注意が必要)個人で準備すべき代償交付金も用意できます。
生命保険を上手に活用することは事業承継には有効な手段であるといえます。
ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。