成功率の高い起業家に共通している思考プロセス

エフェクチュエーションというアプローチ

「エフェクト(effect)」と「アフェクト(affect)」の造語である「エフェクチュエーション(effectuation)」は、起業家や成功者が新しいビジネスを始める際に使用する一種の思考プロセスです。

エフェクチュエーションのアプローチは、未来の予測に基づく従来のプランニングアプローチとは異なり、現在のリソースと機会に焦点を当てます。

このアプローチは、起業家が彼らが持っているリソース(時間、お金、人的ネットワークなど)を最大限に活用し、ビジネスを成長させる方法を見つけることを可能にします。

エフェクチュエーションのアプローチでは、成功の可能性があるシナリオを創造し、そのシナリオを実現するためのリソースを見つけることが重要です。

具体的には、起業家は、自分たちのスキルや能力、コンタクトなどを活用し、市場の需要やトレンドを分析しながら、現実的な目標を立て、段階的に行動を起こしていくことが求められます。

エフェクチュエーションのアプローチは、ビジネスの開発に必要なリスクを最小限に抑え、失敗した場合にも失われたリソースが少なく済むことが特徴です。このアプローチは、ビジネスの立ち上げや拡大を目指す起業家にとって、非常に有用なフレームワークとなることができます。

エフェクチュエーション4つの主要な原則

  1. バードインザハンドの原則(Bird in the hand principle):現在持っているリソースを最大限に活用し、将来の不確実性に対処する。
  2. 多様性の原則(Principle of affordable loss):リスクを最小限に抑えるために、失敗しても影響が少ない小さなステップを踏む。
  3. コミットメントの原則(Principle of commitment):リソースを投資する前に、行動することで自己確認を行い、リソースを投資することによって自己の可能性を広げる。
  4. 機会の原則(Principle of effectuation):リソースやコンタクトを活用し、手元にある機会を探し、将来の可能性を開拓する。

1,バードインザハンドの原則

投資やリスクを取る際に、確実な利益を得ることができる既知の選択肢を選ぶべきであるという経済学の原則です。

つまり、「手元にある鳥」(確実な利益)を手放して、「空を飛ぶ鳥」(不確実な利益)を追い求めることは、失敗する可能性が高いということです。

この原則は、投資家やビジネスマンが将来的な利益を得るために、現在の安定した利益を犠牲にしてリスクを冒すことができる場合にも適用されます。

バードインザハンドの原則は、リスクのある投資やプロジェクトに対する批判を表現するためにも使用されます。

この原則は、投資家が取引を行う前に、確実な利益とリスクを比較し、最も安定した利益を得るための決定を下すのに役立ちます。

ただし、バードインザハンドの原則は、将来の可能性に対する慎重な評価を意味するものではありません。

将来のリターンが高い可能性のある投資機会がある場合には、バードインザハンドの原則を適用することはできません。

しかし、そのような場合でも、適切なリスク管理を行うことが重要です。

つまり、リスクを十分に評価し、適切な戦略を立てることが必要です。

2,多様性の原則

新しいアイデアやビジネスを開始する際に重要な考え方の一つです。

この原則は、リスクを最小限に抑えるために、リソースの一部を投資することが重要であることを示しています。

具体的には、この原則は、新しいビジネスやアイデアに必要な資源を投資する前に、その損失に耐えられる限度を決めることを奨励します。

つまり、損失が最大でも、投資した資源の一部に留めることができる限り、そのアイデアやビジネスに資源を投入することができます。

これにより、失敗した場合にも損失を最小限に抑えることができます。

多様性の原則は、リスクを最小限に抑えるための一つの方法であり、特にスタートアップ企業や新しいアイデアの開発にとって非常に重要な考え方です。

この原則に従うことで、失敗した場合にも、ビジネスやアイデアの開発に必要なリソースを残すことができます。

また、この原則は、ビジネスにおけるリスクマネジメントにも役立ちます。

リスクを最小限に抑えることで、企業の安定性や成長性を高めることができます。

また多様性の原則を実践するためには、以下のような手順が必要です。

  1. 投資する損失の限度を決める。
  2. リスクを分散させる。
  3. テストを実施し、損失の限度を超えない範囲で結果を確認する。
  4. 成功した場合には、さらなる投資を行う。
  5. 失敗した場合には、損失を最小限に抑え、次のアイデアやビジネスに移る。

繰り返しになりますが、多様性の原則はリスクを最小限に抑え、ビジネスやアイデアの開発に必要なリソースを確保するための重要な考え方です。

この原則を実践することで、スタートアップ企業や新しいアイデアの開発に取り組む際に、より効果的にリスクを抑えることができます。

3,コミットメントの原則

人々が自分たちの言動や行動を一貫して維持することが重要であるという原則です。

つまり、人が何かを約束するとき、その約束を守ることが期待されます。また、人が自分の意見や信念を表明する場合、その言葉や行動が将来も変わらないことが期待されます。

この原則は、個人間の関係やビジネスにおいて重要な役割を果たしています。

約束を守ることは信頼を築くことにつながり、信頼関係を築くことは長期的な人間関係やビジネス関係の成功につながります。

一方、約束を破ることや言動がコンスタントでないことは、信頼を損ない、関係を損なうことにつながる可能性があります。

コミットメントの原則は、倫理的な観点からも重要です。

人が約束を守ることは、正直さ、誠実さ、責任感などの価値観を体現しています。

これらの価値観は、個人や社会にとって非常に重要であり、コミットメントの原則はそれらを支持する役割を果たします。

最後に、コミットメントの原則は、自己成長や目標達成にも重要です。

自分自身に対してコミットメントを宣言することで、自分自身に責任を持ち、自己成長や目標達成に向けて努力することができます。

また、他人にコミットメントを宣言することで、その人たちが自分自身に対して責任を持ち、自己成長や目標達成に向けて努力することができます。

4,機会の原則

新しいビジネスやプロジェクトを始める際に、起業家が計画的に行動する方法論の一つです。

この原則は、シャロン・アリオーラ教授によって提唱されました。

この原則に基づく起業家は、未来の予測に基づく計画的なアプローチではなく、現在の資源やネットワークを最大限活用することで事業を構築することを目指します。

これによって、起業家は制約や不確実性を克服し、創造的なアイデアを生み出すことができます。

具体的には、機会の原則に基づく起業家は以下の4つの原則を守ります。

  • 自己決定原則(Principle of control): 起業家は自身のコントロール下にある資源を活用することで事業を構築します。
    自分自身や、彼らが信頼する人々との関係を活用して、事業の目標を実現するために必要な資源を獲得します。
  • 市場志向原則(Principle of market): 起業家は市場の需要と供給に基づき、自身のビジネスを構築します。
    市場の需要や顧客のフィードバックに基づき、自身の製品やサービスを改良し、市場競争力を高めます。
  • 限定資源原則(Principle of scarcity): 起業家は、制約や限られた資源を認識し、その中で最適な方法で事業を構築します。
    現実的な目標を設定し、限定された資源を最大限に活用することで、リソースの浪費を防ぎます。
  • 契約原則(Principle of partnership): 起業家は、信頼できるパートナーと協力し、共同事業を行うことで、事業を拡大していきます。
    パートナーシップを通じて、新しいビジネスチャンスを見つけ、リスクを分散することで、事業の成功を促進します。

以上の4つの原則によって、起業家は限定された資源を最大限に活用し、事業を構築していきます。

さいごに

これらの原則に基づいて、起業家は、将来の予測に基づく従来のプランニングアプローチに比べ、リスクを最小限に抑え、リソースを最大限に活用して、ビジネスを成長させることができます。

エフェクチュエーションのアプローチは、起業家だけでなく、マネージャーやリーダーにとっても役立つ考え方です。

このアプローチを使って、将来の予測に基づく従来のプランニングアプローチとは異なるビジネスの展開を試みることで、新しいアイデアや可能性を発見できる可能性がひろがります。

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