

今回は、不動産価格の水準、不動産業者の選定、手順など不動産を売却する際の留意点です。
不動産を売却する際の留意点
不動産を売却する際の留意点についてまず考えなければならないのは、価格の見極めと不動産業者の選定だろう。
土地の価格水準については、公示価格や路線価などを活用すればだいたい把握することができるだろう。
もちろん、現地調査を欠くことはできない。
不動産業者に査定を依頼したり、ネットの一括サイトを利用するのもいいだろう。
ただし、不動産業者に依頼するのであれば、売却依頼を前提とすることになるだろう。
その場合、どの不動産業者を選定するかによってその結末が左右される。
不動産業者の選定
不動産を個人で売却するということはなかなか難しい。
だから、宅地建物取引業者に依頼するのが一般的だ。
したがって、その際の不動産業者の選定は非常に重要なポイントになる。
なぜなら、「戸建て住宅地」「住宅用の素地」「マンション素地」「事務所ビル」「農家集落地域内の土地」「農地」など、物件の用途により、専門とする分野や得意とする分野があるからだ。
つまり、事務所ビル物件を得意とする業者に、戸建住宅地の案件を依頼してもあまり良い結果にはならないということだ。
そもそも不動産業者の選定は、不動産の円滑に売却するための最重要事項だ。
宅建業者と宅地建物取引士の統計(平成 29 年度末国土交通省資料)によれば、業者数は4年連続で増加しているとのこと。
その内容を見てみると・・・
業者数は 123,782 業者になり、平成 28 度末の 123,333 業者から 449 業者(84 業者)、0.4%増加しています。この統計を開始した平成 7 年度以降、業者数は減少傾向にあり、平成 16年度と平成 17 年度は一旦増加に転じたものの、平成 18 年度からは 8 年連続して減少しました。その後、平成 26 年度に 9 年ぶりの増加に転じ、平成 29 年度末は 4 年連続の増加となっています。
平成29年度末時点で123,782件もあるわけだ。
この中には大手流通業者あれば、中堅業者や地元業者もある。
業者規模が大きければ大きいほどが安心だと思われがちだが、必ずしもそうではない。
それは、不動産というカテゴリーの性質(特徴)を考えてもらえればわかる。
地域性が強く、当該地域に密着し、大手が有しない地域情報を駆使して営業成績を上げている地元不動産業者も多い。
また、特定の沿線に強い中堅業者も多いので、目的物件に適した不動産業者を選択するといいだろう。
そこで、不動産業者を選定するときに役立つ主要調査ポイントを紹介しておこう。
不動産業者の調査ポイント
まずは、免許番号を確認しておこう。
免許番号の確認
免許番号は「国土交通大臣(3)〇〇〇〇号」または「○○知事(3)○○○○号」となっている。
免許番号の(3)は5年ごとの更新のつど、数が1つずつ増える。
※平成8(1996)年4月以前の更新については3年ごと。
免許取得時は(1)となる。
つまり、(3)は更新回数が2回ということを示している。
業者名簿の確認
国土交通大臣免許の場合は、本店所在地の国土交通省地方整備局で確認できる。
知事免許の場合は、各都道府県の不動産業指導係などで宅地建物取引業者名簿を閲覧することができる。
なお、宅地建物取引業者名簿では次のようなことを確認できる。
- ア)免許証番号および免許年月日
- イ)事務所の名称、所在地
- ウ)専任の宅地建物取引士の氏名
- 工)兼業業種
- オ)過去の行政処分
- 力)その他
不動産売却の手順
不動産売却の手順は以下のようになる。
- 物件価格の調査依頼
- 売出価格や条件設定
- 物件情報提供(広告)
- 状況報告(媒介契約に従う)
- 価格調査
- 購入希望者との条件折衝
- 成約
- 決済・引き渡し
なお、不動産の売却にあたっては、あらかじめ境界の確定、抵当権の抹消、売買の目的物の範囲の確認などを行っておく必要がある。
境界の確定
一戸建てなどの場合、土地を伴う売却を行う際は、境界を確定する必要がある。
境界については以前にも解説したが、不動産取引のおける境界とは、隣地との境界や道路との境界のことだ。
なお、隣地に、または隣地から越境している樹木や給排水管などがある場合は、売却前に処理しておいた方がいいだろう。
抵当権の抹消
抵当権とは、住宅ローンなどの借入れを担保するために設定されている権利のことだ。
その抵当権などは抹消する必要がある。
残金の決済時には、抵当権などが抹消されているか、いずれかで判断するので、その手順について留意してほしい。
多くの業者が査定サービスに積極的であり、価格査定は無料だ。
しかし、査定価格が高ければいいということでもないので、注意してほしい。
その市場を的確に踏また価格かどうかで判断してほしい。
売買の目的物の範囲
売買の対象となる範囲として、例えば樹木、庭石などやエアコンなどの造作については、合わせて売買の対象となるのか、また、エアコンなどの場合は、可動することを保証するのかについて取り決める必要がある。
不動産の購入
不動産の購入にあたっては、できる限り情報を集めることと、情報を見る目を養うことが必要である。
具体的に候補となった物件について以前解説したデュー・デリジェンスを実施するといいだろう。
次回は公法と私法、区分所有とマンションストックの増大などについてです。
ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。