

不動動産広告
建築基準法や公正競争規約には、下記とおり明示すべき事項と表示禁止事項などが定められている。
※公正競争規約とは、公正取引委員会の認定を受けた不動産業界の自主的な広告規制のこと。
特定事項の明示義務
「一般消費者が通常予期できない不動産の地勢、形質、立地、環境などに関する事項や取引の相手方に著しく不利な条件で一定のものは明示しなければならない。」ー公正競争規約ー
具体的には下記のようなことだ。
市街化調整区域内の土地
市街化調整区域内には、建物が建てられないので「市街化調整区域、宅地の造成および建物の建築はできません」と明示する必要がある。
道路に適法に接していない土地など
建築基準法の接道義務違反となる土地などの場合、「建築不可」「再建築不可」などと明示する必要がある。
セットバックを要する土地
敷地の一部をセットバックする必要があることを表示する。
また、セットバック部分が敷地の10%以上であるときはその面積も明示する必要がある。
※建築基準法第42条第2項
廃屋などのある土地取引
その土地上に古屋や廃屋などがある場合は、その旨を明示する必要がある。
高圧線下地
土地の全部または一部が高圧電線路下にある場合は、その旨および概ねの面積を明示。
また、建物などの建築が禁止されているときはその旨も表示する必要がある。
不整形地など
不整形地、区画の地盤面が2段以上に分かれているなどの特異な地勢の土地については、その旨を明示する必要がある。
※不整形地とは、形が三角形やL字型など有効な利用が阻害されるような土地
都市計画道路の区域内の土地
都市計画道路などの区域にかかる土地については、その旨を明示する必要がある。
建築条件付土地売買
当該土地の売買にあたって、その土地に建物を建築する条件付、もしくは一定期間内に売り主が指定する業者によって建物を建築する契約があらかじめなされている場合は、取引対象が土地であることと、その条件の内容や条件が成就しなかったときの措置の内容を表示する必要がある。
節税効果などの表示
給与所得者などが不動産所得を得ることによって、課税総所得金額を減少させ、税負担を軽減することが可能な場合がある。
所謂リース・マンションの節税効果のことだ。
ただし、下記の事柄について明記しておく必要がある。
- 節税効果は不動産所得が赤字となる場合に限定され、黒字の場合は納税額が増加する。
- 不動産所得にかかる必要経費が減少すれば節税効果も減少する。
- 具体的な計算例を表示するときは次年度以降のものを表示する。(初年度と次年度以上を併記するが初年度の節税額を強調しないときに限り初年度の計算例を表示できる。)
おとり広告の禁止
- 実際には存在していない不動産
- 取引する意思のない不動産
- 取引できない不動産
上記について取引できると誤認させるおそれのある表示をしてはならない。
交通機関と所要時間(表示基準)
- 電車、バスなどの交通機関は現に利用できるものを表示。
- 特定の時期のみ利用できるものはその時期を表示。
- 乗り換えを要するときはその旨を表示。
- 特急、急行などの区別を表示。
- 通勤時に使用できない電車、バスなどの所要時間を表示しない。
などが定められている。
各種施設までの距離または所要時間
- 徒歩による所要時間は、道路距離80mを1分間として表示し、1分未満の端数は切り上げる。
ですから、例えば「駅からゼロ分」という表示はできない。
信号待ちや坂道は考慮する必要はありませんが、中央分離帯によって遠回りシなければならないような場合は、その道路距離になる。
新築
- 建築後1年未満
- 使用されたことがない
上記2つの条件を兼ねるものが新築になる。
用語の使用に制約があるもの(特定用語の使用基準)
全く欠けるところのないことの表示してはならない
「完全」「完璧」「万全」「絶対」などの用語を断定的に使用することは禁止されている。
ただし、目標として「万全を期すよう努力しています」といったような用語は認められている。
競争事業者よりも優位に立つ表示をしてはいけない
「日本一」「日本初」「業界一」「他に類を見ない」「抜群」などの表示をすることは禁止されている。
最上級表示の禁止
「最高」「最上級J「極」「一級」など最上級を意味する表示は禁止。
環境条件に影響を及ぼすおそれ(建設計画などの表示)
- 分譲宅地、新築分譲住宅
- 新築分譲マンションのパンフレット
上記に関して、
日照その他物件の環境条件に影響を及ぼすおそれのある建物の建築計画や宅地の造成計画など知り得たものがある場合には記載しなければならない。
次回は、一般的な、建物およびその敷地の売買契約書の条項を参考に不動産売買契約書の内容を検討してみましょう。
ではまた。CFP® Masao Saiki