公的土地評価について

公的土地評価について

土地については、公的な価格がそれぞれの目的に応じて設けられている。

  • 国土交通省土地鑑定委員会が公表する「公示価格」
  • 都道府県知事が公表する「基準地標準価格」

上記2つが一般的な価格指標として公開されている。

その他

  • 相続税評価に用いられる「相続税路線価」
  • 固定資産税などの課税標準のもととなる「固定資産税評価額」

土地価格には、以上の公示価格・基準地標準価格、相続税路線価、固定資産税評価額に実際の売買実例より推定される実勢価格を加えて四種類の価格があると考えられている。

表にまとめると以下のようになるだろう。

図表4‐2 公的土地評価の比較一覧表

公示価格基準地標準価格相続税路線価固定資産税評価額
評価

目的
①一般の土地取引の指標
②公共事業の適正補償金の算定基準
③毎年公示(毎年1月1日時点)
①国土利用計画法による土地取引の適正かつ円滑な実施
②一般の土地取引の指標
③毎年公表(毎年7月1日時点)
①相続税、贈与税、地価税課税のため
②毎年評価替え(毎年1月1日時点)
①固定資産税など課税のため
②3年に1度評価替え
評価
方法
標準地について2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、国土交通省に設置された土地鑑定委員会がその結果を審判し必要な調整を行って正常な価格を評定し公示基準地について、都道府県知事が、1人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、知事がその結果を審査し、必要な調整を行って公表市街地的形態を形成する地域において公示価格、精通者意見価格、売買事例価格などをもとに、国税局長が各路線、各地域のバランスをとって路線価を評定売買事例価格から求める正常売買価格をもととして適正な時価を求め、これに基づき評価額を算定し、市町村長が固定資産課税台帳などに登録
評価割合は公示価格の8割程度(平成6年分より)評価割合は公示価格の7割程度(平成6年
分より)
価格

定義
地価公示法第2条第1項「土地鑑定委員会は、……一定の基準日における標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、これを公示する」国土利用計画法施行令第9条第1項「都道府県知事は、一定の基準日における当該画地の単価面積当たりの標準価格を判定するものとする」相続税法第22条「相続、遺贈または贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による」地方税法第341条第5号「価格適正な時価をいう」

公示価格、基準地標準価格の調査方法

公示価格、基準地標準価格の性格などについては上記図表4-2を参考にしてほしい。

国土交通省の土地鑑定委員会では、標準地の毎年1月1日現在の価格(公示価格)を3月下旬の官報に公示している。

基準地標準価格については、毎年9月下旬に公報として発表されているが、各市町村の担当課でも閲覧可能だ。

なお、国土交通省のホームページでも全国の公示価格と基準地標準価格が公開されている。

また、標準地の概要を図表にすると以下の図表4-3のようになるだろう。

図表4‐3 標準地(住宅地)の概要(例)

(1)
標準地番号
(2)
標準地の所在および地番並びに住居表示
(3)
標準地のlm2当たりの価格(円)
(4)
標準値の地積(㎡)
(5)
標準地の形状
(6)
標準地の利用の現況
横浜○○-12○○台1丁目××番△2400,0002801:1:2宅住W2
(7)
標準地の周辺の土地利用の現況
(8)
標準地の前面道路の状況
(9)
標準地についての水道、ガス供給施設および下水道の整備の状況
(10)
標準地の鉄道その他の主要な交通施設との接近の状況
(11)
標準地に係る都市計画法その他法令の制限で主要なもの
中規模の一般住宅が多い区画整然とした住宅地域南6.5m樋市道水道、ガス、下水○○台620m1低専(40、60)

土地評価のプロセス

私たちは土地の売買について、どのような方法でその土地価格を把握しているだろう?

まず、売買の対象となる土地の周辺で、土地の売買(取引)の事例がないかを調べるはずだ。

事例があれば、どこで、いつごろ、いくらで取引されたかなどを知ることができるからだ。

では、取引事例がない場合はどうすればいいだろう?

売り希望価格や買い希望価格から取引価格の見当をつける必要がある。

  1. 取引事例の価格を基準にする。
  2. 取引事例と対象地との条件などを比較する。
  3. 両者の取引時点での地価の変動を考慮する。

このようなプロセスが一般的な方法であり、土地評価の基本的なスタイルだと言える。

進行過程において、専門的な知識を必要とすることから、実際には専門家に依頼することが多い。

この基本型を簡易な式で示すとすると、例えば次のようになるだろう。

※取引事例地の売買価格×時点修正率×対象地の条件/取引事例地の条件=対象地の価格

公示価格などを利用する

(1)公示価格の利用

取引事例の価格は、それぞれの特殊な要因を含んでいることも多い。

例えば、売主については資金繰りに追われてやむなく相場に比べて安く売ったかもしれない。

また買主については営業上の利便性のためどうしてもその土地が必要であり、割高を承知で購入したかもしれない。

このような事情があるため、一つの取引事例で価格を求めるのは危険だ。

数多くの取引事例を集めて、これらの価格と比較して取引価格を求める必要がある。

しかし、実際問題として一般の人が数多くの事例を集めるのは難しい。

そこで、こういう場合に取引事例に代悪指標が必要になってくるわけだ。

一般の土地取引の指標としては、公示価格が設けられている。

公示価格を用いて対象地の価格を求める方法を公式化すると次のようになる。

公示地(標準地)の公示価格×時点修正率×対象地の条件/公示地の条件=対象地の価格

例) 公示価格210,000円/㎡ ×時点修正率 103%※1×要因比較90%※2/100≒ 対象地の価格195,000円/㎡

※1 :1月1日(公示価格の基準日)以後価格時点まで3%の地価上昇と判断した場合
※2 :公示地を基準として対象地の要因が10%劣ると判断した場合

(2)基準地標準価機の利用

都道府県地価調査の基準地は、地価公示の標準地(以下「公示地」という)と同じような性格であり、公示地の不足地点と調査時点を補う性格のものだ。

公示価格は毎年1月1日の価格が公表されるが、基準地標準価格は毎年7月1日時点だ。

基準地は原則として公示地の設定されていない地域に設定される。

だが、公示価格の価格時点からの地価変動(半年間)を示すために、公示地と同一地点が基準地として設定される場合もある。

公示価格は国土交通省土地鑑定委員会、基準地標準価格は各都道府県知事の所管となっている。

また、両者は評価の仕方も類似しているため、互いに均衡がとれるように決定されている。

したがって、基準値標準価格は公示価格と同様「一般の土地取引の指標」として活用できる。

次回は、相続税法や財産評価の原則と仕組みを学んで不動産投資を成功させることについてです。

ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。

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