

自分で資産運用に取り組むのが面倒なら、資産運用会社の力を借りるという手段もある。
しかし、一口に資産運用会社といっても各社で過去の実績や初期費用が大きく異なる。
そもそも人気のあるヘッジファンド会社は表立って新規投資家を募集していない場合もある。
したがって、一般的に私たちに馴染み深いファンドは投資信託ということになるだろう。
リスクを誰かに依存する以上、不明確な状況下で行われる行為は、すべてあなたの責任(自己責任)になる。
しかし、現状はそのスタイルしか選択できないという場合も多いと思う。
したがって、投資信託の仕組みについても解説しておこう。
断っておくが、個人的にはあまりお勧めできない仕組みだ。
投資信託の仕組み
私たちが預けた資産を運用しているのは証券会社や銀行ではない。
証券会社や銀行は販売窓口であって、実際の運用は運用専門の会社がおこなっている。
私たちと商品のやり取りをするのは証券会社や銀行だが、私たちから預かった資金を運用しているのは運用会社だ。
また、その運用会社からの運用指図にしたがって、株式や債券などの売買や管理を行っているには信託銀行だ。
私たちがそれらを利用する場合、あらかじめ定められた初期費用の準備と運用に伴う手数料の支払いが求められる。
具体的には、毎月の信託報酬(運用手数料)とファンド商品購入時の手数料を支払うことになる。
また、信託報酬や購入時手数料も一律ではなく、ファンド商品やその運用方法によって異なる。


一般社団法人 投資信託協会より抜粋
投資信託の価格は実際の株価ではない。
投資信託には基準価格といものがある。
この基準価格は市場で売買されている実際の価格ではない。
基準価格は、取引を行う際の単位だ。
具体的にはそれを「口(くち)」と呼んでいる。
運用を開始すると、運用の成果によって1口の値段が変動していくことになる。
したがって、投資家が投資信託を購入・換金する時には基準価額で取引が行われる。
基準価格の算出方法
では、基準価格はどのように算出されているのだろう?
投資信託の資産のうち、投資家に帰属する額を「純資産総額」と云う。
この純資産総額を投資信託の総口数で割ると、一口あたりの価額、つまり「基準価額」が算出される。
※純資産総額÷総口数=基準価格
その他、投資信託の決算が行われる際に支払われる分配金もある。
分配金は毎月支払われるものから年1回だけのものまでさまざまだ。
また、分配金の額も、決算の内容や分配方針によって変化し、状況によっては支払われないこともる。
- 分配金は、運用して得た収益を、保有口数に応じて投資家に分配する
- 分配金は、投資信託の信託財産から支払われる
※分配金が支払われた場合は、「純資産総額」および「基準価額」は下がる。
投資信託のタイプ
単位型(ユニット型)
単位型投資信託は、当初の募集期間しか購入できず、募集された資金が一個の独立した単位として信託・運用される。
大半の単位型投資信託は、あらかじめ信託期間も定められている。
追加型(オープン型)
追加型投資信託は、原則として、いつでも時価で自由に設定・解約ができ、タイミングをみて取引することができる。
当初設定後の追加設定・解約が自由であることから、オープン型とも呼ばれている。
ファンドによっては、信託期間が定められているものもあるが無期限の商品が主体だ。
ファンドの種類
ファンドには「パッシブ・ファンド」と「アクティブ・ファンド」の2つの運用方法がある。
「パッシブ・ファンド」とは、平均的な収益を獲得することを目的とするタイプのファンドだ。
例えば、インデックスファンドと呼ばれている商品がその代表的なものだ。
これは運用成果の比較対象となるインデックスのすべての構成銘柄、あるいは代表的な銘柄に投資する仕組みになっている。
日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)の指数と同じ値動きをすることを目指とした商品がそれに該当する。
パッシブ・ファンド
パッシブ・ファンドのメリット
- 信託報酬などの手数料が安く設定されている
- リスクをはじめとする運用内容が把握しやすい
パッシブ・ファンドのデメリット
- 株価指数の構成内容の変化がファンド内の売買コストを高める場合がある
- 他の市場参加者(構成内容の変化に乗じて儲けようとする)の投資行動から不利益を被る場合がある
アクティブ・ファンド
一方、「アクティブ・ファンド」は、さまざまな調査結果や予測を基にして、市場の平均的な収益率を上回る運用成果をあげようとする商品だ。
このアクティブ・ファンドにはいろいろな運用スタイルがある。
代表的なものには、「グロース投資」や「バリュー投資」がある。
その投資手法から「グロース・ファンド」、「バリュー・ファンド」と呼ばれている。
グロース(成長株)投資
企業の成長性や収益性を重視して投資する手法。
将来の業績を予測して投資するので、比較的リスクは大きい。
リスクが大きい分、大きなリターンが見込める可能性もあるが、大きく値下りするリスクもある。
バリュー(割安株)投資
企業の財務内容などから企業価値を算出し、実際の株価と比較して割安と考えられる株式に投資する方法。
つまり、将来、妥当な水準まで評価されるのを待つことになるが、そうならないこともある。
また、発行済株式数あるいは時価総額を基にして、個別銘柄のサイズが分類される。
時価総額とは、発行済株式数に株価を掛けたものだ。
サイズの解釈はファンドによって異なるが、規模が大きいものを「大型株」、中程度のものを「中型株」、小さい株式を「小型株」と呼んでいる。
- 大型株ファンド
すでに成熟期に入っている企業を投資対象としている場合が多く、株価の変動が比較的小さい傾向がありる。 - 中小型株ファンド
大型株に比べて創業して間もない企業を投資対象としている場合が多く、株価の変動がより大きくなる傾向がる。ただ、大型株ファンドに比べて成長性が期待できるという側面もある。
アクティブ・ファンドのメリット
一時的に市場平均以上の成果が期待できるというメリットが考えられる。
しかし、信託報酬が全般的に高めに設定されているため、コストがかさむ傾向がある。
実際、長期的に見た場合には、パッシブ・ファンドよりも成果が悪い場合が多いようだ。
頻繁に短期間で売買を繰り返すスタイルを取りたい人にはいいのかもしれないが。。
ではまた。CFP®Masao Saiki