
今日の住宅プラン・ガイダンスは、財形住宅貯蓄、贈与税の配偶者控除、相続時精算課税制度、贈与などを利用して住宅購入資金などを作る方法です。
財形住宅貯蓄
財形住宅貯蓄とは、勤労者の持家取得を税金の面で援助しようとするものです。
※勤労者財産形成促進法に基づく財形住宅貯蓄の促進を図ることを目的としている。
財形貯蓄を利用できる人
- 原則として国内に住所を有する年齢55歳未満の勤労者。
- 勤務先に「給与所得者の扶養控除など申告書」を提出している人に限る。
なお、退職などにより不適格に該当する場合は、非課税の適用を受けることはできません。
勤労者財産形成住宅貯蓄契約
勤務先を通じて預入、信託、購入または払込みをした預貯金、合同運用信託、有価証券、生命保険の保険料、生命共済の共済掛金、損害保険の保険料などで一人1契約に限られています。
- 5年以上の期間にわたって定期に給与天引き預入により積み立てている。
- 住宅の取得などの頭金として払い出される。
上記を要件として、元本550万円までの利子などについて所得税が非課税扱いになります。
注意!目的外の払出しが行われた場合には、5年間遡及して課税されます。
なお、財形住宅貯蓄と勤労者財産形成年金貯蓄(いわゆる財形年金貯蓄)の両方を有する場合は、合計最高550万円とされ、4000万円までの融資が可能です。
贈与税の配偶者控除
婚姻期間が20年以上の配偶者に対して居住用不動産などの贈与に対して2110万円まで非課税で贈与できます。(国税庁)
- 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われた。
- 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭である。
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産または贈与を受けた金銭で、取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みである。
上記に該当する場合は、贈与税の配偶者控除が受けられます。
注意!配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。
ただし、次の書類を添付して、贈与税の申告をする必要があります。
- 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本または抄本。
- 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し。
- 居住用不動産の登記事項証明書。
- その居住用不動産に住んだ日以後に作成された住民票の写し。
ただし、戸籍の附票の写しに記載されている住所が居住用不動産の所在場所である場合には、住民票の写しの添付は不要です。
上記の書類のほかに、金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書など)が必要です。(国税庁のホームページより抜粋)
相続時精算課税制度
原則として60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の推定相続人である子または孫に対し、財産を贈与した場合に選択できる制度です。
この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
注意!この制度を一度選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税(注)」へ変更することはできません。
また、この制度の贈与者である父母または祖父母が亡くなった時に、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。
このように、相続時精算課税の制度は、贈与税・相続税を通じた課税が行われる制度です。
直系尊属からの住宅取得資金の贈与
注意!非課税限度額は、住宅の種類や住宅用家屋の取得などに係る契約の締結がいつになるかにより異なります。
各年分の非課税限度額は、次の表のとおりです。
1,下記ロ以外の場合(以下、「住宅資金非課税限度額」といいます。)
住宅用家屋の取得などに係る契約の締結期間 | 良質な住宅用家屋 | 左記以外の住宅用家屋 |
---|---|---|
~平成27年12月 | 1500万円 | 1000万円 |
平成28年1月~平成29年9月 | 1200万円 | 700万円 |
平成29年10月~平成30年9月 | 1000万円 | 500万円 |
平成30年10月~平成31年6月 | 800万円 | 300万円 |
2,住宅用家屋の取得などに係る対価の額または費用の額に含まれる消費税などの税率が10%である場合(以下、「特別住宅資金非課税限度額」といいます。)
住宅用家屋の取得などに係る契約の締結期間 | 良質な住宅用家屋 | 左記以外の住宅用家屋 |
---|---|---|
平成28年10月~平成29年9月 | 3000万円 | 2500万円 |
平成29年10月~平成30年9月 | 1500万円 | 1000万円 |
平成30年10月~平成31年6月 | 1200万円 | 700万円 |
注意!平成21年分から平成26年分において、「直系尊属から住宅取得など資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」の適用を受けている場合には、平成27年分以降の贈与でこの非課税の特例の適用を受けることはできません。(国税庁のホームページより抜粋)
夫婦共有名義での住宅取得
メリット
- 住宅ローン控除をそれぞれ受けられる。
- 相続時精算課税制度の特例をそれぞれが受けられる。
- 売却の際には住居用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除がそれぞれに受けられる。
デメリット
- 登記などの費用がかさむ。
- 売却するときには共有者の承諾が必要になる。
- 夫婦どちらか一方が住宅ローンを借りる場合、他方の所有者は持分を担保提供しなければならない。
次回は「住宅ローンの種類とローンを利用する時の注意点!」です。
ではまた。CFP® Masao Saiki