医療保険の設計と選択

医療保険・医療特約・がん保険などを活用したリスク対策を始め、生命保険の主な医療関連の特約について解説しよう。

また、介護保障保険の給付条件、保険料免除特約など、生命保険が、福利厚生制度に大きく関わってくることを改めて確認しておこう。

医療保険

医療保険は、病気や不慮の事故による入院や手術などを幅広く保障する商品だ。

外資系生命保険会社や中小の国内生命保険会社、共済などで主に扱われてきたが、平成13年7月以降、医療保険商品を扱う会社が急増した。

販売開始当初は、8日以上の継続入院が必要だったが、近年では1泊2日、あるいは日帰り入院から保障するタイプの医療保険が主流になった。

また手術給付については、手術の種類に応じた倍額支払い方式と定額のものとがある。

また、10年、20年といった定期保障タイプと、一生涯保障が継続する終身タイプのものがある。

終身タイプについては、終身に渡って保険料を払い続けるタイプと60歳や65歳などで支払いが終了する有期払いのどちらかを選択することになる。

医療保険の主な商品

  • がんの保障を手厚くしたタイプ
  • 女性特有の病気の保障に重点を置いたタイプ
  • 死亡給付金や解約返戻金をなくして保険料をセーブしたタイプ
  • 逆にボーナスや満期金といった祝い金を付加したタイプ

上記のような多様なタイプの医療保険商品が発売されている。

また、最近では、先進医療を保障する先進医療特約が組み込まれた医療保険がスタンダードになった。

がん保険

がん保険とは、医療保険の中でも特にがんの保障に特化したものだ。

保障の対象をがんに絞っているため、保険料は医療保険よりも割安になっている。

入院給付金の日額は1日5,000~10,000円が一般的だ。

最大の特徴は、入院給付金の支払い日数に制限がないというところだろう。

しかし、現在加入しているものから新たにがん保険に加入し直すときなどは注意が必要だ。

なぜなら、責任開始日から3カ月、あるいは90日などの免責期間が設けられているからだ。

また、がんと診断された場合には診断給付金が支払われるタイプが一般的でもある。

そして、再発した場合にも再度、診断給付金を支払う会社もある。

再発に関しては、一定期間経過していないと支払対象にならないので、加入する際にその期間を確認しておこう。

さらに、先進医療やホスピスでの治療、通院での抗がん剤治療なども保障するがん保険なども登場している。

保障内容が多岐にわたるがん保険や健康保険の対象とならない自由診療であっても補償する自由診療型のがん保険商品もある。

がん保険も医療保険と同様に、契約期間10年などの更新タイプと終身タイプがある。

終身タイプは保険料を一生涯払う終身払いが主流となっているようだ。

また、60歳や65歳などの一定年齢で終了する有期払いタイプのがん保険も発売されているので選択肢は広い。

過去にがんで闘病した経験のある人でも、一定期間が経過するなど、すべての条件を満たせば加入できるがん保険を扱っている会社もあるくらいだ。

医療特約

医療特約は、単体の医療保険とは異なり、主契約の特約として付加するタイプだ。

つまり、医療特約は主契約の保険と同じ保険会社の特約の中からしか選択できない。

また、主契約が終身保険であっても、医療特約の保険期間は80歳までとなっているが一般的だ。

しかし、保険会社によっては、90歳まで、あるいは終身保障もあつかっているところもある。

最近では、特定の病気や症状、ケガの状態など、単独の保険会社でしか扱っていない医療特約が増えてた。

災害入院特約

災害入院給付金

不慮の事故で180日以内に入院したときに入院給付金が受け取れる。

※1入院6o日分や120日分、通算700日分~1,o95日分が限度。

傷害特約

災害死亡保険金

不慮の事故で180日以内に死亡、または所定の感染症で死亡したとき、主契約の死亡保険金に上乗せされて災害死亡保険金が受け取れる。

障害給付金

不慮の事故で180日以内に所定(1~6級)の身体障害になった障害等級に順じて支払われる。

災害保険金の10~1割の障害給付金が受け取れる。

通算して災害保険金の10割が限度。

特定損傷特約

特定損傷給付金

不慮の事故で180日以内に骨折、関節脱自、腱の断裂の治療を受けたとき給付金が受け取れる。

※通算10回が限度。

疾病入院特約

疾病入院給付金

病気で入院したときに入院給付金が受け取れる。

1人院60日分や20日分、通算700~1,095日分が限度。

手術給付金

病気や不慮の事故で所定の手術をしたとき、手術給付金が受け取れる。

総合医療特約

災害入院給付・疾病入院給付金・手術給付金

「災害入院特約」と「疾病入院特約」を1つの特約にまとめたもので、不慮の事故・病気による所定の手術をしたとき、給付金が受け取れる。

その他、「放射線治療給付金」などが受け取れるタイプもある。

退院給付特約

退院給付金

入院給付金の支払事由に該当する入院を継続5日など、所定の日数以上したあと生存して退院したとき、退院給付金が受け取れる。

通院特約

通院給付金

災害・疾病入院給付金の支払事由に該当する入院をし、退院後120日以内にその治療を目的として通院したとき、通院日数分の給付金が受け取れる。

※1入院30日分が限度。

先進医療特約

先進医療給付金

厚生労働大臣が認める先進医療に該当する治療を受けた時、その技術料相当額の給付金が受けられる。

※通算で500万円~2,000万円が限度。

女性疾病入院特約

女性疾病人院給付金

乳がん、子宮筋腫、甲状腺の障害、分泌の合併症など、女性に発生率の高い所定の病気で入院した時、入院給付金が受け取れる。

1入院60日分や120日分、通算で700日分~1,095日分が限度(手術給付金が受け取れる会社もある。)

成人病(生活習慣病)入院特約

成人病(生活習慣病)入院給付金

がん、心疾患、脳血管疾患、高血圧、糖尿病など所定の成人病(生活習慣病)で入院した時、入院給付金が受け取れる。

1入院60日分や120日分、通算で700日分~1,095日分が限度(手術給付金が受け取れる会社もある。)

がん入院特約

がん入院給付金

がんで入院したときき、がん入院給付金が受け取れる。

支払日数が無制限のタイプがほとんどだ。

がん診断給付金、がん手術給付金が受け取れる。(通院給付金も受け取れる)

特定疾病(三大疾病)保障特約

特定疾病(三大疾病)保険金

がん(悪性精年物)、急性心筋梗塞、脳卒中により所定の症に該当したとき、保険金が受け取れる。

その他の原因で死亡・高度障害のとき特定疾病保険金額と同額の保険金が受け取れるタイプを取り扱う会社もある。

※一般的には、いずれかの保険金を受け取った時点で特約は消滅する。

生命保険会社によって、特約や給付金の名称・内容が異なる場合がある。

また、これら以外の特約を取り扱っている保険会社もある。

出所:『医療保障ガイド』(公財)生命保険文化センターを参考にして作成。

相談事例

ライフプランにおいて、リスクヘッジは欠かせない。

そのリスクヘッジの一部が保障設計だろう。

そして、保障設計の核になるものが保険プランニングということになるだろう。

保険に関する質問の多くは、加入するべきなのか、さらに加入したほうがいいのか、何か付加したほうがいいのか、削除したほうがいのか、期間はどうしたらいいのか、といったことに集約される。

具体的には、以下のようなことになるだろう。

  • 医療保険に入るべきか、貯蓄でまかなうべきか。
  • 医療保険にはすでに入っているが、がん保険にも入るべきか。
  • 医療保険とがん保険のどちらに入るべきか。
  • 入院給付金の日額はいくらが適切か。
  • 先進医療の保障を付けるべきか。

医療保険の加入となると、死亡保障とは異なり、かなり細かい保障内容にも言及する答えが求められる。

自分が受け取る保障だけに臨場感があるのだろう。

その中でも最近特に相談の増えてきた、「医療保険とがん保険のどちらに入るべきか」ということについて考えてみよう。

結論から言えば、がん保険を勧めることが多い。

一般的に見れば医療保険を選択するアドバイザーは多いと思う。

医療保険を選択しておけば、がんでの入院に関しても、入院給付金が受け取れるが、がん保険ではがん以外の病気で入院した場合に、入院給付金を受け取れない、というのが主な理由らしい。

しかし、実際に病気で入院したり、闘病した経験のある人、或いは専門職関係、例えば看護師さんなどに話を聞いた場合、解答は極めて明瞭だ。

「がん保険です」と言う。

どの病気になるかを選択することはできない。

だから、まずは医療保険の加入を検討するのが無難な考え方であることはわかる。

しかし、この考え方は投資で手痛い思いをしている人のパターンと酷似している。

どの病気になるのか分からない。

確かにそうかもしれない。

しかし、実際に調べてみると、入院の70%近くが3大疾病に該当する。

しかも、そのなかにあってガンは突出している。

例えばその確立は、男性の場合は2分の1、女性の場合は3分の1と言われている。

自分の周りを見回してみて欲しい、最近入院したり手術した人はいないだろうか?

その原因がガンである確立は非常に高い。

またよくある誤解に、「うちはガン家系ではないから・・・」というものがある。

がんが遺伝によるものだ、という見解は大昔の話だ。

実際、ガンになった知人やクライアントの家系を見てみると、本人だけということも多い。

中には、がんに対する恐怖心を過剰に抱いている人もいる。

しかし、ガン家系だから自分は必ずがんになる。という根拠は現段階でどこにもない。

そのことについては「心と体をよりクオリティーの高い次元へ導く方法」の中で詳しく解説しているので参考にして欲しい。

がん保険に加入すると、がんと診断された場合の診断一時金が得られたり、抗がん剤治療やホルモン療法など、がんでの通院治療に対する保障も確保できる。

ここで診断給付金の事例を一つ掲載しておこう。

参考事例▼

これは一つの事例だが、支払保険料の金額を変えず、ガンと特定疾病に特化した一時金重視の保障プランにシフトしたことがあった。

その後フリーライターの彼女はがんになり、脾臓を摘出した上で、胃を全摘出した。

検査も含め入院と手術で25日間、結果的に保険会社から支払われた金額は合計で465万円にも登った。

以前のプランのままだと仮定して計算してみよう。

手術:40万円、入院分:25万円、合計70万円にも満たい。

どちらのプランを選択したとしでも自己負担額は変わらない。

フリーランスである彼女の収入が途絶えた時の状態を想像してもらえたらわかるとおもう。

経済的な側面もそうだが、それよりも精神的なダメージが大きく、復帰することすらできなかったかもしれない。

アドバイザーとしては相談者の考え方や希望などをよく聞き、複数の選択肢の中で最適なものをアドバイスすることが肝とされる。

しかし、はたしてそれでアドバイザーとしての役割を果たしたことになるのだろうか?

保障プランが一人の人生を左右すると考えた場合、それは、あまりにも安直すぎないだろうか。

次回は生命保険の生前給付特約と生前給付保険についてです。

ではまた。CFP® Masao Saiki

この投稿は日本FP協会CFP®カリキュラムに沿って作成しています。

 

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