ライフプランニング

ライフデザインには一定の流れがある

それぞれ特徴ある体質を持って誕生し、成長を経て性格が形成され、やがて自立し、成熟し、老後を迎え、それまでに築いた資産や蓄積した経験を後世へ継承 していくという流れがあります。

私たちは皆、その流れを経ながら、個の体質や性格に基づく価値観を形成し、計画を修正・改善しながら個々の目的や夢を実現していくことになります。

個々のライフデザインに対応した適切な環境を作っていくことを始めとし、それに伴った経済的な裏付けを確立していかなければ、私たちは生活していくことができません。

そして、これらのプロセス変遷の過程において多くの悩み、問題等が発生し、それらを解決したり、乗り越えたりしながら生活しています。

これから、ライフデザインの目的とプランを作成する上で基本的に抑えておいて欲しいことについて解説していきます。

1,ライフデザインの目的とは?

想像してみてください。

まず、あなたの人生に望まないことは何でしょうか?

あなたの人生に望むことは何でしょうか?

あなたにとって理想の一日とは、どのようなものでしょうか?

あなたの性格(体質+類似性)にはどのような特徴があるでしょうか?

あなたは、このようなことに関してじっくりと考えたことがあるでしょうか?

1-1,富の最大化がプランニングの目的

あなたが人生に望まないことは何でしたか?

多少の違いはあっても人生に望まないこと、というのはだいたい皆似通っています。

それでは、あなたの人生に望むことは何でしたか?

例えば、それが「豊かさ」だとするなら、ライフデザインの目的は、その「豊かさ」を最大化することだといえます。

あなたが、ライフスタイルをどう考えるかは自由ですが、それは、あなたの性格をベースとして、思考プロセスにどのような傾向があるのか。

そして、どんなことを学び、何を所有し、誰と一緒にいるか、どんな仕事をしていくのか、などの環境に大きく依存しているといえます。

そして、あなたの今の価値観は自己の体質や類似性(過去の経験や体験)の上に形成されたものです。

したがって、何に価値を見出し、何を選択するかはその人の体質や類似性(過去の経験や体験)によります。

例えば、老後に田舎暮らしをすることが「人生の幸福」だと考えている人にとっては、経済的に豊かになることが目的にはなりません。

1-2,ライフスタイルの二重構造を知る

それぞれのライフスタイルは、その人の性格(体質+類似性)に即して無意識に構成されていく部分がベースとなり、その上に自己の意志による部分がオーバーラップして習慣化し、体系化していくものです。

したがって、個人の性格を無視してプランを考えてしまうと、まったくお門違いのものになってしまうのです。

クライアントの中には、将来キャンピングカーで北海道の各地をめぐりながら生活したい。

という希望をいだいている方もいらっしゃいます。

しかし、それはそのようなライフスタイルを何かで知って、ただ憧れているだけなのです。

カウンセリングを重ねていくと明確になるのですが、彼女はそうしたことには全く向いていないのです。

(体質について詳しく知りたい方は、「心と体をよりクオリティーの高い次元へ導く方法とは?」などを参考にしていただくといいかもしれません。)

そうした希望を抱いて私のところにくる方は少なくありません。

しかし、それが単なる一過性のものではなく、その人が培ってきたことの上に重ねていける計画でなければなりません。

また、ある程度の金銭的な確保、或いは収入を得る方法があって、初めてその希望は実現することができます。

1-3,ライフプランとファイナンシャルプランの関係性を見極め、ライフデザインを仕上げる。

企業に例えるなら、事業計画にあたるのが、ライフプランであり、予算計画・財務計画にあたるものが、ファイナンシャルプランです。

つまり、ライフプランに基づいてファイナンス計画を立てライフデザインを仕上げていくことが重要です。

ところが、実際にはパーツであるはずのファイナンスのみに目が向いている人がほとんどです。

そのことによって、ブームや金融商品に囚われてしまい、ライフプラン上に余計な問題を作り出している人が後を絶ちません。

2,ライフデザインとキャッシュフローリスクの関係

個人の生み出す将来のキャッシュフローにはプラス・マイナスの変動があります。

他方、事故や病気などでマイナスのキャッシュフローのみを生ずるケースもあります。

そして、これらをまとめてキャッシュフローリスクと呼んでいます。

2-1,賃金形態が大きく変化した。

高度成長期など経済が成長している時代には、企業の賃金推移をみればある程度の昇給額の見当が付き、将来のキャッシュフローが推測でき、年齢に見合った将来設計が可能でした。

しかし、成果主義賃金へシフトされた今の成熟経済社会では、個人のキャリアはその人の持つ生産能力という形で評価されるようになり、キャッシュフローもそれに伴なって変動するようになりました。

また、資格取得や教育といった形で自分自身に投資したからといって、確実にその能力が向上するわけではありません。

選択した資格や教育が個人の性格や思考プロセスとかけて離れていたら、身につくものも身につかないからです。

しかし、残念ながら、確実に能力を向上させ、実際に生産性の高い人材にならなければ、将来のキャッシュフローを増大させることはできません。

そのためには、その個人の性格に即したアプローチの方法や手順を計画していく必要があります。

そうすることによって、早く確実にその能力を向上させることができるのです。

2-2,労働時間が直接キャッシュフローに反映しなくなった。

また真面目に仕事をしているからといって、それが必ず報われるものでもありません。

真面目かどうかではなく、その時々で生産性の高い存在かどうかが、常に問われるからです。

つまり、将来のキャッシュフローは、その個人の能力次第でプラスにもマイナスにも変動する可能性があり、短期的には確実と思えても中長期的には不確実な場合も大いにありうるということです。

年功序列賃金制度の職場であれば、比較的安定した賃金を受け取ることができますが、成果主義賃金制度の職場ではキャッシュフローに関する変動性が高いといえます。

また、それらの企業が永遠に存続する補償はどこにもありません。

3年後に今の勤務先が消滅するということだってありえるわけです。

実際に私自身もこの経験によって当初の計画が大きく変りました。

したがって、キャッシュフローの変動要素を十分加味して、ライフプランやファイナンシャルプランのシミュレーションを行うだけでは、真の解決にはなりません。

成果主義に変容したこの環境下で生き抜くためには、より生産性の高い人材にならなければならないのです。

3,ライフデザインと人的資本評価

あなたの労働能力は将来の収入を生み出す源泉です。

人的資本は労働市場で賃金や雇用条件という形で評価されます。

こういう言い方をすると実にクールに聞こえますがそれが事実です。

年功序列型賃金が主体だった時代には学歴・業種や経験年数、企業ごとの賃金カーブなどでほぼ確定され、安定した資産形成がある程度可能でした。

しかし、成果主義賃金制度が浸透していくにつれ、労働能力によって個々のキャッシュフローは多様になってきたのです。

また、会社組織の不透明性、指示形態の煩雑化に伴い、生産性が減退し、そのことによってプロ集団へのアウトソーシングが増え、やがて会社組織自体が脆弱化して、雇用形態が更に変化していくことも考えられます。

起業家としては、逆にそこに多くのチャンスが生まれるということになります。

起業や副業を試みる相談者が増加しているのも、そのような状況を感じ取っている人達が増えてきたからでしょう。

しかし、残念ながらその動機は実にお粗末もので、起業できたとしても1年も持たないといった感じです。

起業することは非常に簡単ですが、継続することはその何十倍も難しいからです。

起業する方法は教えられても、収益を上げ続け継続する方法を教えられる人が少ないというのも一つの要因でしょう。

4,ライフステージごとのポイントとライフデザインの関係性

誕生から相続までの人生のプロセスを大きく4つのライフステージに分けるとすると次のような特徴になります。

4-1,誕生・成長期

経済的には親に依拠して労働力の形成を行う時期で、このステージでは将来の経済的自立のためファイナンスに関する能力を身に着けることが求められています。

4-2,自立・成熟期

自分の資産形成と子供たちの労働能力形成の援助を行う時期で、このステージでは包括的なライフプランを行い、その中で教育資金や住宅資金、金融資産運用、リスクマネジメントの計画を行っていくことが必要になります。

4-3,老後

自分の有形資産+公的年金などでキャッシュフローをカバーする時期で、このステージでは、包括的なリタイアメントプランを行い、老後に見合った金融資産運用、不動産運用、スクマネジメントを行う必用があります。

起業家の場合は、ここにビジネスからの収入が加味されます。

4-4,相続

自分の資産を次世代へ継承していく時期で、このステージでは、相続や事業承継の設計が必要です。

相続される資産は相続税法に基づき評価され、税引き後の資産が時価評価されて次世代に継承されます。

起業家の場合は、この事業継承の成否によって、キャッシュフローバランスが大きく変わってきます。

(キャッシュフローに関しては「キャッシュフローマネジメント」のコーナーも合わせてご参照頂きたい)

日本FP協会サイト:ライフイベントにかかる費用の目安

5,ライフデザインと社会的責任

経済の成熟化によって、これまでの一連の制度が不安定化し、直接金融への志向、貯蓄から投資への志向が強まる中で、個人はより一層、明確な自己責任による意思決定を迫られています。

したがって、限られた時間の中で限られた資産とキャッシュフローを適切に配分し、人生設計上の目的を実現していくためには、あなたの選択と意思決定がとても重要になってきます。

同時に個人の金融資産がどのように貯蓄され、投資され、使われるかは国や自治体、あるいは企業に大きな影響を及ぼし、強いては日本経済に大きな影響を及ぼします。

つまり、あなたのファイナンスに関する選択と意思決定には社会的責任があります。

6,ライフデザインとフィナンシャルプランニングの各パーツ

ライフデザインの目的は、個々の価値観に基づく「豊かさ」を最大化することにありますが、人の価値観には経済、文化、道徳、環境などに起因するものやその地域特有の価値などがあります。

つまり、それらをどう評価するかは人によって異なります。

また個人の生き方が多種多様になった現代においては、シングル、ディンクス、共働きファミリーといった形態があります。

就業形態においても会社員、個人事業主のほか派遣社員など多様な働き方があり、転職などの機会も多くなってきています。

こうした個人の生き方を方向付けるものをライフデザインと呼んでおり、「ライフスタイル」もライフデザインにほかなりません。

6-1、ライフデザインを具体化したものがライフプラン

これに対してライフデザインを具体化したものがライフプラン、つまり生涯の生活環境を整えていく設計図です。

一言でライフプランと云ってもその範囲は実に広く、キャリアプランやファミリープラン、生きがいに関する活動プラン、健康増進や健康管理プラン、ファイナンシャルプランなどが含まれます。

6-2,ファイナンシャルプランにおけるライフプラン

こ の広義のライフプランに対してライフプランを数値化したものがファイナンシャル・プランニングにおける狭義の意味のライフプランです。

ファイナンシャルプランナーなどが行っているライフプランは、この狭義のライフプランということになります。

これらと一線を画すために私は敢えてライフデザインという概念を用いています。

狭義のライフプランを具体的に云えば、

  • キャリアプランとそれに基づく収入予測。
  • 住宅取得の具体的な数値プラン。
  • 教育資金に関する数値的な計画。
  • 老後資金プラン

などをキャッシュフロー表とバランスシートで表現 していくことが、ファイナンシャル・プランニングにおけるライフプランニングということになります。

6-3,リスクマネジメントとライフプラン

リスク=危険!まずこの解釈をやめてください。

リスクはブレ幅のことです。

リスクが大きい、これはブレの幅が大きいということです。

上にも下にも大きく振れるからリスクが大きい、このように解釈してください。

6-3-1,変動リスクはあたり前

個人の収入には不確実性要素があり変動リスクがあります。

また個人の生活には不測の事態、つまり死亡・病気・けがなどの経済的損失のみが生じるリスクもあります。

また運用面においても金融資産や不動産といった運用には投機的リスクも存在します。

したがって、ライフプランニングにおいて、収入、資産運用、死亡・病気といった個人の3つのリスクにわたってリスクマネジメントを行うことが必要不可欠になってきます。

6-3-2,リスクマネジメントには4つの方法がある。

リスクマネジメントには、「リスク回避」「リスク軽減」「リスク保有」「リスク移転」など大きく4つの手法があります。

純粋リスクについては、保険によるリスク移転が考えられます。

その場合、どれくらい保険の手段を活用するかは、

  • 国の社会福祉制度。
  • 社会保障制度による補償内容。
  • 企業福祉(企業年金・弔慰金制度など)

などによる保障内容を把握したうえで検討することがポイントになってきます。

(リスクマネジメントに関しては、「リスクマネジメントと保険」も合わせてご参照頂きたい。)

6-4,資産運用とライフプラン

個人の資産運用つまりライフプランにおける運用のポイントは、

  • 個人のライフプラン上の目標を達成すること。
  • 相続による次世代への資産の移転も考慮すること。

即ち、長期間にわたるライフプラン上の目標達成を目指すことになります。

6-4-1,目標リターンとリスク許容度の設定

資産運用では個々のライフプランに基づいて住宅資金、教育資金、老後資金などのファイナンシャルゴールを数値化して明確にし、それらを達成するために運用が行われます。

人生設計上のファイナンシャルゴールを達成するためには、収入の増大、支出の減少、節約、資産運用の目的リターンの設定、個人のリスク許容度等の要素を総合的に勘案していくことが必要不可欠です。

6-4-2アセットアロケーションに基づく運用

個人資産のアセットアロケーションには、3つのレベルがあります。

1つは、その価値が大きく変動するかの性のある資産であり、長期投資を目的とする債権や株式を中心とする証券ポートフォリオ。

2つ目は、証券ポートフォリオに短期の流動性を確保することを目的とする預貯金も含めたマネーポートフォリオ。

3つ目は、不動産やその他の資産を含めた総資産ポートフォリオです。

日本人の資産構成の6割は不動産で、預金、有価証券と続きます。

地価の変動や低金利などを背景にこうした総資産アセットアロケーションの問題点もさまざまなかたちで生じてきています。

また、不動産は収益性をより重視した運用や証券化といった点が、総資産アセットアロケーションを考える場合に新しい検討材料となっています。

アセットアロケーション構築には十分な分散投資を考慮することが重要で、株式と債券への分散、国際分散、不動産と金融商品への分散、そして時間分散などを総合的に勘案することが重要です。

6-4-3,コストと税金の考慮

投資を行う場合には、金融機関に支払う手数料や税金の負担は無視できません。

個々の運用資産に係る手数料や所得税などの税金について綿密に検討して運用を実行しましょう。

特に譲渡所得や相続などにかかわる税金、証券税制などについて総合的な判断が必要になります。

6-5,タックスプランニングとライフプラン

ライフプラン上の資金計画において税制に関し複数の選択肢がある場合、いずれの合法的行為を選択するかによって税コストと税引き後のキャッシュフローが異なることがあります。

この場合税引き後のキャッシュフローを最大にする選択を行うことが重要になります。

収入(売上)、支出、資産保有、資産運用、資産譲渡、借入、贈与、相続のそれぞれの場面には必ず税コストの問題が発生します。

それ故にライフプランに基づく包括的なファイナンシャルプランニングを行う上で、タックスプランニングは極めて重要になってきます。

まとめ

ライフプランによってあなたの生き方を束縛してはならない。

ライフプランとは、より自由な時間やお金を生みだすためのものであり、ライフデザインを決めつけるためのものではないからだ。

そして、それは、実現可能なことに基づいて作成されているものでなくてはならない。

シミュレーションだけで終わっては全く意味がない。

そのためには、自分の人生に望まないことや本当に欲しているものを明確にしつつ、今実行可能なレベルまで細分化して落とし込んでいく必要がある。

実践していく事柄を明確にしないまま、安易にライフプランの作成を行ってはいけない。

ライフデザインは、どんなことを学び、何を所有するか、誰と一緒にいるか、どんな仕事をしていくのか、などの環境に大きく依存していると言える。

雇用形態や賃金形態の変化、個人に対する資産価値評価の変化、こうした環境変化にスピーディーに対応できる能力を鍛えつつ新たな市場を作り出す個人が、世界経済を大きく変える時代は近いだろう。

したがって、ライフデザインという概念においては、個々の性格に即したアプローチが不可欠であるとともに、単なるキャリアデザインにとどまらず、これまでとは違ったもっと個人のユニークさを際だたせるようなデザインが必要になってくる。

ではまた。

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