自動車の運行リスクと保険設計

自動車に関するリスクは、自動車保険でカバーするのが一般的だろう。

その自動車保険には、自動車損害賠償責任保険(自賠責)と任意の自動車保険がある。

自賠責保険は強制的に加入しなければならない保険であり、車検制度ともリンクしているので付保し忘れることもないだろう。

付保していない場合は、たとえ任意保険に加入していたとしても自賠責保険で支払われるべき部分は、原則として支払われない。

さらに、そのような状態の車両を使用した場合には、刑罰を科されることもある。

任意保険は、対物・人・車両などの3つの分野におよび、「対人賠償責任保険」、「対物賠償責任保険」、「人身傷害補償保険」、「搭乗者傷害保険」、「車両保険」などを組み合わせた商品内容になっている。

契約する際の主なポイント

年齢条件は適切か

年齢条件付きで自動保険を契約した場合、その条件を満たさない家族が運転していた場合は保険の効力がない。

注意点▼

※運転者年齢条件は同居の家族以外には適用されない。

運転する人が限定されていてそれ以外の人は絶対に運転しないということが明確になっていれば心配ないが、そうでない場合は、あえて年齢条件を付けないで契約しておいた方が無難だろう。

子どもが運転免許を取得し、被保険車両を運転しているが、年齢条件を変更していなかったというケースもよくあることだ。

いずれにせよこうした条件契約を軽く見ているとリスクを増大させてしまうことになるので注意してほしい。

家族限定特約を付けるかどうか

家族限定特約をつけると、多少保険料を安くすることができる。

しかし、家族以外の者が運転した場合には、その保険契約から保険金は支払われない。

例えば、友人がその車を運転して接触事故を起こし、相手方にケガを追わせてしまった場合はどうだろうか?

家族と認定される範囲は本人、配偶者、同居の親族、別居の未婚の子なので、補償の対象とはならない。

したがって、このケースでは任意保険からは、対人賠償、対物賠償、車両保険は、支払われない。

任意保険からは・・・といったのには理由がある。

まず、相手のケガの治療については、自賠責保険から120万円を限度に支払われる。

この他友人が任意保険に加入していて「他車運転危険補償特約」がセットされている場合(ほぼ自動付帯)には、その保険から相手方のケガの治療代、車の修理代を補償することが可能だ。

ただし、仕事で会社の車を運転する場合や承諾なしに運転した場合は対象外になる。

ファミリーバイク特約をつけるかどうか

原動機付自転車を所有していたり、他人から借用して使用している場合には、ファミリーバイク特約を付けるといいだろう。

別途保険を付けるよりも保険料が安くなるからだ。

逆に不必要なファミリーバイク特約が付いていることもあるだろう。

契約内容をチェックして無駄な出費をなくそう。

地震・噴火、津波危険車両全損時一時金特約

地震・噴火・津波により車両が損傷した場合には、車両保険から保険金は支払われない。

しかし、特約を付保することによって補償してくれるところもあるので検討してみてほしい。

契約後の主なポイント

自動車を買い替えた時

自動車を買い替えた場合は、保険会社に車両入れ替え手続きをしなければならない。

入れ替えの済んでいない自動車で事故を起こした場合、そのタイミングによって保険金が支払われないことがあるからだ。

年齢条件その他に変更があった場合

中途でも変更や削除が可能なので、面倒がらずに速やかに行った方がいいだろう。

契約者には通知義務があり、怠った場合には通知義務違反に問われ、保険金が支払われない場合が有るからだ。

  • 記名被保険者の変更
  • 年齢条件の変更
  • 運転者の限定に関する変更
  • 住所変更
  • 使用目的の変更(通勤・通学・業務使用の有無など)
  • 被保険車両の変更(入替)
  • 被保険車両の譲渡
  • 用途・車種の変更
  • 登録番号の変更
  • 年間走行距離の変更

上記の事項について通知する必要がある。(リスク細分型の自動車保険)

事故処理上のポイント

警察への届け出

公道で事故が発生した場合には、警察に届け出る必要がある。

物損事故が後で人身事故に切り替わったり、争いが生じることもあるからだ。

警察に届け出をしていなかったことで、大きなトラブルになることが多い。

また、警察への届け出がないことによって、検証ができず、保険金が支払われないということもあり得るだろう。

事故現場での示談は禁物

例えば、自分に100%過失がるということで、全額を賠償する旨の文書をその場で書いて渡してしまう人がいる。

しかし、損害賠償金が保険金でまかなえないケースもある。

検証した結果、相手にも過失が認定されることがよくあるからだ。

当然ながら被保険者の過失割合に応じた金額しか払われない。

その場合、残額は自己負担しなければならないことになる。

また、口頭での全額賠償の約束が、示談が成立したと解釈されることもある。

このようしたケースも自己負担を強いられることになるだろう。

保険会社への事故報告

原則としてどのような小さな事故であったとしても、速やかに保険会社(代理店)へ報告をしておいた方がいいだろう。

事故報告が遅れたために、事故処理が困難になり、保険金が十分支払われない、ということもありえるからだ。

事故処理は専門家の指示に従う

加害事故の場合には、被害者側からさまざまな要求が突き付けられることも多い。

数日後に相手の態度が一変するということもある。

いずれにせよ加害者は誠意を持って対応しなければならない。

ただし、要求を受け入れるかどうかは、保険会社の指示を仰いだほうがいい。

むやみに相手の要求を受け入れてしまうと、その部分について保険金が支払われないこともあるからだ。

保険会社(代理店含む)と相談の上、対処していくことが望ましい。

保険金請求もれのチェック

対人事故や対物事故も含め、保険を十分理解していないために保険金請求もれが発生することが
ある。

  • 自賠責保険の付いていない自動車によって被害を受けた場合やひき逃げされた場合など、自動車損害賠償保障事業(政府保障事業)に請求すれば保障が得られる場合
  • 自損事故保険
  • 無保険車傷害保険
  • 搭乗者傷害保険、人身傷害補償保険
  • 他車運転担保特約で支払われる保険金
  • 各種特約

保険会社に丸投げせず、上記の事柄について請求もれがないか自分でもチェックしよう。

ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。

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