老後のライフデザインⅦ

今日は、企業年金、確定拠出年金、個人年金などによる老後生活資金の準備方法、医療や介護などで個人が負担しなければならない費用やその仕組などについてです。

老後生活資金の準備について

まず、退職金について把握しておきましょう。

退職時にもらえる退職金は、その後の暮らしにも大きく影響します。

厚生労働省の調査によりますと、勤続20年以上、45歳以上で退職した人の退職金の平均は、高卒の人で1,128万円~1,673万円、大卒の人で1,941万円となっています。

もちろん、勤めている会社の規模や形態、勤続年数などによって実際の支給額は大きく異なります。

定年まで勤めた場合の退職金の額は、勤務先に予め確認しておきましょう。

自営業の人は、退職金がありませんので、小規模企業共済などを利用して自分で準備することになります。

企業年金の内容を把握する

厚生年金基金

厚生労働大臣の認可で設立された制度が厚生年金基金です。

厚生年金の老齢給付の一部を国に代わって支給(代行部分)されるものですが、企業の実情に合わせた上乗せ給付もあります。

※もっと詳しく知りたい方は「企業年金制度の基礎知識(厚生年金基金編)」を参考にして下さい。

確定給付企業年金

給付額が確定した企業年金で、規約型企業年金と基金型企業年金の2種類があります。

あらかじめ給付額が確定しており、それに応じて必要な掛金を企業が拠出する仕組みになっています。

※もっと詳しく知りたい方は「企業年金制度の基礎知識(確定給付企業年金編)」を参考にして下さい。

※2002年4月からスタートしましたが、現在は確定拠出型に移行した企業も増えました。

単位:%
企業規模・年退職年金制度がある企(1退職年金制度の支払準備形態(複数回答)
厚生年金基金確定給付企業年金(CBPを含む)確定拠出年金
(企業型)
適格退職年金企業独自の年金(非適格年金)
[44.7]35.911.715.949.52.1
1,000人以上[80.7]12.745.235.034.14.5
300~999人[69.3]22.722.420.354.91.8
100~299人[58.9]31.812.117.657.91.4
30 ~ 99人[37.0]41.17.413.045.72.4
平成9年[52.5]43.8・・・・・・74.96.0
15[53.5]46.50.01.865.82.7
※20[46.9]35.612.915.850.12.2

注:1) [  ]内の数値は、退職給付(一時金・年金)制度がある企業のうち、退職年金制度がある企業数割合である。

2)調査期日は、平成11年以前は12月末日現在、平成13年から1月1日現在であり、調査年を表章している。

3)平成19年以前は、調査対象を「本社の常用労働者が30人以上の民営企業」としており、平成20年から「常用労働者が30人以上の民営企業」に範囲を拡大した。
20※は、「本社の常用労働者が30人以上の民営企業」で集計したものであり、時系列で比較する場合にはこちらを参照されたい。

(4)退職給付(一時金・年金)制度の見直し
ア退職一時金制度の見直し

退職一時金制度について、過去3年間に見直しを行った企業数割合は、全企業に対し13.6%となっており、その見直し内容(複数回答)をみると、「退職一時金制度を他の一時金制度へ移行」が29.5%と最も高く、次いで「退職一時金制度を新たに導入又は既存のものの他に設置」(24.3%)、「算定基礎額の算出方法の変更」(24.0%)となっている。

今後3年間に見直しを行う予定がある企業数割合は、全企業に対し14.4%となっており、「退職一時金制度を他の一時金制度へ移行」が31.6%と最も高く、次いで「算定基礎額の算出方法の変更」(23.8%)、「退職一時金制度を新たに導入又は既存のものの他に設置」(19.6%)となっている。

ー「退職年金制度の支払準備形態別企業数割合:厚生労働省ホームページより抜粋」ー

確定拠出年金(企業型)

確定拠出年金は運用成績次第で将来個人が受け取る額が変わります。

従業員の上乗せ拠出ができるところもありますが、原則としては事業主が掛金を拠出することになります。

運用商品は従業員自身が選ぶことになり、その運用結果によって将来受け取る年金額が異なる仕組みです。

※もっと詳しく知りたい方は「企業年金制度の基礎知識(確定拠出年金編)」を参考にして下さい。

中小企業退職金共済制度

中小企業が退職金を準備するための制度事業主が中退共と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付するかたになります。

従業員が退職したときは、その従業員に中退共から退職金が直接支払われる仕組みになっています。

※もっと詳しく知りたい方は「中小企業退職金共済制度と国民年金基金の基礎知識」を参考にして下さい。

個人年金の内容を把握する

国民年金基金

自営業者などの人が利用できる年金の上乗せ制度です。

加入した口数で掛け金が決まり、年金受給開始後は老齢基礎年金に上乗せして給付され仕組みです。

確定拠出年金(個人型)

個人で加入できる確定拠出年金です。

企業型と仕組みは同じですが、掛け金の上限額は1人月額6万8,000円です。

国民年金基金と併用はできますが、国民年金基金に加入している人は、その掛け金の額を引いた額が上限額となります。

※もっと詳しく知りたい方は「確定拠出年金の特徴と財形貯蓄保険について」を参考にして下さい。

小規模企業共済

自営業者や会社役員のための退職金共済制度です。

自営業を廃業したときや、会社等の役員を退職したとき、共同経営者を退任したときなどの生活資金などをあらかじめ積み立てておくためのもので、廃業・退職時などに共済金を受け取ることができます。

※もっと詳しく知りたい方は「小規模事業者のための年金制度を老後プランのエセンスに!」を参考にして下さい。

個人年金保険

公的年金の補足に個人で年金を作るために加入するものです。

個人が公的年金で不足する分を補うために、民間の保険会社や信託銀行などが用意している保険商品に加入することになります。

例えば、契約時に受取額が決まっている定額年金や、将来の運用成績によって受取額が変わる変額年金などがあります。

今後は公的年金が65歳からしか受け取れない人が大半になってくるので、老後の家計を赤字にしないためにも65歳まで働くプランを考える必要がありそうです。

現在では、60歳が定年の企業でも、本人が希望すれば、最長で65歳まで雇用 (再雇用含む)することが企業に義務づけられていますが、今のうちから、勤務先の定年制度を確認しておきましょう。

65歳まで雇用の延長がない場合は、別の手段を講じていく必要があります。

※もっと詳しく知りたい方は「ライフデザインと個人年金保険商品のミスマッチを修正しよう。」「個人年金保険と税金、変額保険と投資信託の税務の違い」なども参考にして下さい。

老後の医療や介護の備え

老後の大きな不安の1つに病気や介護のことがあると思いますが、医療や介護にかかるお金や制度を理解することで、ある程度不安を解消できるはずです。

医療費と介護費

まず医療費ですが、健康保険に加入している人なら、窓口で負担する医療費は、6歳(就学)~70歳未満で原則3割、70歳~74歳までは2割負担(平成26年3月までに70歳以上になっている人は1割負担)です。

また、介護に関しては公的介護保険制度があり、要支援・介護者の状態に合わせた介護サービスを1割負担で受けることができます。

一ヶ月の医療費負担には上限がある

健康保険には、自己負担分が高額になったときの負担軽減のために「高額療養費制度」が設けられています。

1カ月の医療費の自己負担が定められた上限を超えた場合に、その超えた分が後から払い戻される制度で、自己負担額の上限は収入によって決められています。

例えば、70歳未満の人の場合、1カ月の上限額は8万100円+(医療費-26万7,000円)×1%で、ほぼ9万円台で収まります。

70歳以上の一般区分の人の場合は、通院のみで1万2,000円、通院+入院で4万4,400円が上限となり、さらに負担が少なくなります。

介護保険の仕組み

市区町村に申請して要支援・介護認定を受けた人は、その要介護度によって介護サービスを受けることができます。

介護サービスには要介護度別に1カ月当たりの支給限度額が定められており、その範囲内で予防サービスや介護サービスを受けることができます。

自己負担はサービスの1割または2割ですが、この限度を超えてサービスを利用したときや、介護保険の対象外のサービスを利用したときは、全額自己負担になります。

この1カ月の自己負担額には上限が定められており、これを超えた分は後日払い戻されます。

医療・介護費をあわせた自己負担にも上限がある

医療費と介護費の両方がかかり、その自己負担が高額になってしまうケースもあります。

このような場合、負担を軽減するために、医療費と介護費の自己負担にも上限が定められております。

例えば、70歳以上で収入区分が一般の人の場合、上限額は56万円~67万円(現役並み所得者は)です。

世帯あたりの年間医療費と介護費の自己負担が上限額を超えた部分については、「高額介護合算療養費(医療保険)」、「高額医療合算介護サービス費(介護保険)」として、それぞれ払い戻されます。

次回「リバースモーゲージを老後プランにどう生かすのか」です。

ではまた。CFP® Masao Saiki

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