

心身ともに完璧な状態、つまり「完全なる健康」を目指すのは、ある意味「突破思考的」だ。
「突破思考」とは問題解決の1つの視点で、通常より遥かに高い目標を設定して、それを実現する方法を探していくという方法だ。
例えば、現況の10%アップを考えていくのが妥当な領域だとしたら、その10倍~20倍の目標設定をする。
そうすると今までの方法では太刀打ち出来ないので、新たな方法が必要になってくる。
突破思考はシリコンバレーの先進的なコンピューター会社の間で採用されてきたのは言うまでもないが、日本のトヨタでも行われてきた。
中でも副社長だった大野耐一(おおの たいいち)氏の「4時間の作業を3分に縮めろ」
という話は有名だ。
またそれを実際に成し遂げたと言うからおどろくではないか。
世界のトヨタがこうした考え方によって支えられてきたと思うと、なんだか興奮してくる。
改善(Kaizen)
またトヨタは改善(Kaizen)でも知られている。
改善は日本の製造業で生まれた工場の作業者が中心となって行う活動・戦略のことで、日本国外でもKaizenで通用する。
Kaizenには、改善活動により作業者の知恵を生産設備に織り込むことで、同じ設備を使う他社に差をつける。
不足するものをすぐに買うのではなく、自分達で製作・改造することで、投資を抑制するという考え方も含まれる。
これもトヨタ方式の一部でもある。
世界をうならせるに至った日本製品の数々は、この改善のマインドセットから誕生したといっても過言ではないだろう。
それは改善し続ける必要があったからこそ成し遂げられたことだとも言える。
なによりも、「突破思考」と「改善」は、パーソナルデザインのプロセスにおいて非常に大きな役割を果たす。
リコールは莫大な損害を生む
「リコール」と言う言葉をあなたも聞いたことがあるだろう。
ご存じの方もいらっしゃると思うが、改善に用するコストよりもリコール費用の方がはるかに高く付く。
したがって、完璧を目指して改善し続ける必要が出てくる。
初期設計の段階に重きを置き、そこにコストをかけることによって、結果的に全体の利益と会社を守ることにつながるからだ。
健康管理についても同じことが言えるだろう。
予防とリスクヘッジ
予防にコストをかけた方が病気になってから治療するよりも、身体的にも経済的にもはるかに負担が少なくて済むことは容易に想像できる。
しかし、予防しておけば病気にはならないというわけでもない。
予防によってすべての病気が防げる確証があるなら、医療保険などに頼らず、その費用を予防に使ったほうが有意義だ。
また非喫煙などの割引と同じように、予防割引などが加味された保険商品が発売されてもおかしくない。
今ほとんどの人が保険に加入し、さらにサプリメントや健康機器に多額のお金を払っている。
おそらく、致命的な重病に至ることを恐れているからだろう。
その恐れの根拠は、病気による痛みや苦しみにあるのではなく、長い入院生活や治療の際に奪われていくお金と家族の絆にあるともいわれている。
実際、家族を絶望させドンドンお金が減っていく状態を経験するくらいなら、死んだ方がましだと考える人は多いようだ。
いずれにせよ、この苦悩を軽減するには、個々の体質を改善し、身体機能を向上させる術が必要だろう。
「完全なる健康」を得るための、はじめの一歩
「完全なる健康」を得るための第一歩はなんだろう。
叡智者は、「完全なる健康を得るためには、まず自分が健康であることを選択しなければいけない」といっている。
私たち人間は自分が可能であると思う程度にしか健康になれないからだ。
これはパーソナリティを確立する上でも重要な心構えだ。
では、完全なる健康とはどのような状態を言うのだろうか?
彼らは、「将来への展望を180度展開し、病気や衰退した老年期などを受け入れなくさせること」
と定義している。
つまり、完全に欠陥がない状態だ。
そのようなことが人間に可能なのだろうか?
アメリカの国立老化研究所、NIA(National Institute on Aging)というところをご存知だろうか。
その研究所の結果、現段階において食事療法、運動、ビタミン、薬剤、生活習慣の改善などによって確実に寿命が延長できるとは言えない。と発表している。
高齢者がかかりやすい変性疾患(心臓病・脳卒中・がん・動脈硬化・関節炎・糖尿病・骨粗鬆症)などはかなり減少してきてはいるが、完全にさけられるようになるまでには、まだまだ時間がかかる。
つまり、ガンを始めとする困難な病気について画期的な治療法はまだないという見解だ。