投資信託法と金融商品取引法

投資信託法(投資信託および投資法人に関する法律)

多数の投資家から預った資金をプールし、投資の専門家がさまざまな資産に投資を行い、その運用益を各投資家に分配することを投資信託という。

(1)投資対象資産

主として有価証券、不動産その他の資産で投資を容易にすることが必要であるものとして政令で定めるもの(特定資産)が対象。

(2)投資信託の仕組み

  1. 投資法人を利用したい会社型投資信託
  2. 信託制度を利用した契約型投資信託

①会社型投資信託設立企画人が、投資によって資産を運用することを目的とする投資法人を設立し、投資法人が発行する投資回(株式に相当するもの)を投資家に販売する。

その際、投資家には投資口を表示する投資証券(株券に相当するもの)が発行される。

※投資法人とは、投資・運用を行うための投信法に基づく社団のこと。

投資法人は、投資口や社債に相当する投資法人債の発行によって、調達した資金や借入金を使って投資を行う。

しかし、投資法人は一種のペーパーカンパニーであるため、実際の投資対象の選定や投資判断は金融商品取引業者である資産運用会社に委託する。

また、投資法人が取得した資産は、資産保管会社によって保管される。

つまり、投資法人の業務はすべて外注されている。

投資によって生じた利益は、各投資家が保有する投資口数に応じて分配される。

投資法人の設立企画人は、

  • 特定資産と同種の資産を運用の対象とする金融商品取引業者。
  • または、他人の資産の運用にかかる一定の事務の知識・経験を有する者。

でなければならず、設立企画人が規約を作成して投資法人を設立する。

現在、上場している不動産投資信託(REIT)は、すべてこの会社型になっている。

②契約型投資信託

a)委託者指図型投資信託

証券投資信託の主流となっている形態。

  1. 投資信託委託会社が、信託銀行など(受託者)と信託契約を締結。
  2. それによって生じた受益権を分割した受益証券を発行。
  3. 複数の投資家(受益者)に販売する。

信託財産の運用は委託者の指図に基づいて行われる。

b)委託者非指図型投資信託

  1. 信託銀行など(受託者)が複数の投資家(委託者)と直接信託契約を締結。
  2. 金銭を受け入れ、これを合同して不動産や有価証券などで運用する。

この場合の委託者は一般投資家なので、運用の指図は行わず、受託者の判断で運用される。

(3)資産運用会社など

  1. 委託者指図型投資信託の場合の投資信託委託会社
  2. 会社型投資信託の場合の資産運用会社

上記になるには、金融商品取引法に基づいて、投資運用業を行う金融商品取引業者の登録を受ける必用がある。

  • さらに、運用資産に不動産が含まれる場合は、宅地建物取引業者の免許を受けていることが要件。

また、主として不動産で運用する場合は、国土交通大臣による宅地建物取引業の取引一任代理の認可も必要。

(4)投資信託に係る課税の特例(措置法67条の15ほか)

投資法人が支払う利益の配当などの額(注)が配当可能利益の90%をこえていることなどの一定の要件を満たしている場合は、投資法人の所得金額の計算上、その配当の金額を損金の額に算入することができる(二重課税の排除)。

また、投資法人の登録免許税や不動産取得税などについても軽減の特例が設けられている。

注意点▼

会計上の利益と税務上の利益に差異が生じた場合(のれん償却など、会計上の利益をこえる税務上の利益の
分配額も配当などの額に含む。

金融商品取引法

平成19(2007)年9月に施行された金融商品取引法は、

  • 金融商品取引業を行う者の規制と金融商品取引所の適切な運営確保
  • 上記により有価証券の発行と金融商品などの取引を公正に行う。

そのために必要な事項を定めた法律だ。

(1)金融商品

同法の対象となる金融商品。

旧証券取引法が対象としていた有価証券のほか、みなし有価証券、デリバティブ取引が含まれる。

特に、、、、、

  • みなし有価証券として有価証券以外の信託受益権
  • 組合契約・匿名組合契約・投資事業有限責任組合契約などの集団投資スキームを定義している。

そのため、不動産信託受益権取引や不動産投資ファンドも規制の対象になっている。

※スキームの中で、不動産特定共同事業法の対象となるものなどは除く。

(2)金融商品取引業者

同法の金融商品取引業者に対しては業務内容に応じた横断的な規制が行われている。

  • ①第一種金融商品取引業:みなし有価証券を除く有価証券の売買・勧誘、有価証券の管理など
  • ②第二種金融商品取引業:集団投資スキーム持分などの自己募集など、みなし有価証券の売買など
  • ③投資助言・代理業:投資顧問契約に基づく投資判断の助言および契約締結の代理・媒介など
  • ④投資運用業:投資運用委託契約または投資一任契約などに基づく運用など

上記のように分類され、内閣総理大臣の登録(特定のものについては認可)を受けなければならない。

従って、SPCへのエクイティ出資などの集団投資スキーム持分などの自己募集や不動産の信託受益権取引を業として行う場合には、第二種金融商品取引業の登録が必要。

また、不動産投資ファンドのアセットマネジメント業を行う場合は、投資助言・代理業または投資運用業の登録が必要だ。

さらに、金融商品取引業者として金融行政の監督下に置かれ、投資家保護の観点から、さまざまな行為規制が行われる。

次回は「不動産投資の失敗事例から学ぶ」です。

ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。

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