収入金額の通則と必要経費の通則!

収入金額の通則

収入金額の通則(所法36)

各種所得の金額の計算上、収入金額とすべき金額または総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額とする。

※金銭以外のものまたは権利その他経済的な利益をもって収入する場合には、その金銭以外のものまたは権利その他経済的な利益の価額。

注意点▼

収入すべき金額 とは、収入すべきことが確定した年に、収入が確定した金額を計上することである。なお、別段の定めとは、家計消費など通則によらない特例をいう。

収入金額の評価の特例

欄卸資産の自家消費(所法39)

棚卸資産を家事のために消費した場合には、消費した資産の価額(時価)を総収入金額に算入しなければならない。

棚卸資産の自家消費は対価がないため、通則によると収入に計上する金額はない。

しかし、消費した商品の原価が自動的に売上原価に含まれているため、費用(家事費)のみが事業所得などに計上される。

そこで、この費用に対応させる収入を計上させる。

収入計上額

実際の収入計上額は時価によらず、次のいずれか多いほうの金額。

  • 通常の販売価額×70%
  • 仕入価額

棚卸資産の贈与および低額醸渡(所法40)

棚卸資産を贈与した場合、または著しく低い価額の対価により譲渡した場合には、その贈与などした資産の価額(時価)までを総収入金額に算入しなければならない。

注意点▼

低額譲渡には、棚卸資産の販売がバーゲンセールなどで広く一般の者に行われるもの、または型崩れにより値引き販売されるものなどは含まれない。これらは、実際の販売価額により収入に計上する。

収入計上額

実際の収入計上額は時価によらず、次の区分におけるそれぞれに定める金額とする。

図表2-17 実際の収入金額計上額

区分収入金額計上額
贈与次のいずれかのうち多い方の金額

  1. 通常の販売価格×70%
  2. 仕入れ価額
低額譲渡次のいずれかのうち多い方の金額

  1. 通常の販売価格×70%
  2. 販売対価

譲渡所得の基因となる資産の贈与など(所法59、60)

山林(事業所得の基因となるものを除く)または譲渡所得の基因となる資産を次に掲げる事由により移転した場合には、それぞれ掲げる方法により課税を行う。

なお、低額譲渡とは、時価の2分の1未満の対価による譲渡をいう。

図表2‐18 譲渡所得の基因となる資産の贈与などの課税

個人に対する譲渡贈与、遺贈、相続課税しない
低額譲渡譲渡損が生ずる場合なかったものとみなす
譲渡益が生ずる場合通常通り課税
法人に対する譲渡贈与、遺贈、低額譲渡時価課税
注意点▼

個人に対して財産を相続または遺贈により移転させた場合には、所得税の課税は行われない。ただし、限定承認に係る相続または遺贈により財産の移転があったときは、その死亡した者が時価により譲渡したものとみなされる。

必要経費の通則

山林以外(所法37①)

その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額または雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他その総収入金額を得るために直接に要した費用の額およびその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする。

これは、償却費以外の費用で、その年において債務の確定しないものはその年分の必要経費に算入されないとする債務確定主義に基づいている。

なお、山林に係る必要経費も同様だ。

山林(所法37②)

山林を譲渡した年分の事業所得の金額、山林所得の金額または雑所得の金額の計算上、必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他山林の育成または譲渡に要した費用の額とする。

従って、山林は過去の累積費用が譲渡した年分の必要経費に算入される。

ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。

お問合せ・ご相談
初回カウンセリング

資産形成について一緒に考えてみませんか?

ライフデザイン、起業、ビジネス、仕事の効率化など、資産形成に関することお気軽にご相談ください。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします