運用環境と制約条件だけで利益は得られない!?

投資対象の特性を表すインデックスの利用ができれば、3資産の他にも外国債券、外国株式、コモディティー、それから投資用の不動産なども同じように考えることができる。

国内株式の代表的なインデックスには、TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価などがあるが、直接投資信託で運用する場合は、その目論見書などを参考にしてどのようなインデックスを用いるのが適切かを判断する必要がある。

実際に投資可能な資産の特性を表すインデックスとなっているかどうかを確認する必要があるからだ。

例えば、新興国への投資を検討しているのに、米国のS&P500をインデックスとして使用する人はいない。

また、投資対象が外貨建て資産の場合には、為替レートの影響も考慮しつつ、インデックスを円ベースに変換する必要もある。

特に少額分散投資によって運用を行う場合は、市場インデックスに連動する運用が可能かどうかも検討する必要があるだろう。

また、トータルリターンについては、「配当込みの指数を用いて市場のリターンを計算する」ことも忘れてはならない。

通常使用されているTOPIXや日経平均株価には配当が含まれていないからだ。

もっと重要なことは、個人のリスク許容度と対比させ、現実にそれが選択可能かどうかを判断することだ。

投資比率を考える

当然ながら流動性資金も確保しておく必要がある。

まずはその維持を考慮した上で最低限の比率を決める。

日標リターンについては、仮の値を決めた上で各資産の期待リターン、リスク、相関係数を算出しておくようにする。

これらを前提とし、個々のリスク許容度を考慮しつつ、選択可能なポートフォリオが求められるまで継続して行う。

  1. まず、これらの数値を投資環境としてワークシートなどに落とし込む。
  2. 銀行預金の金利は一定としてもいいが、それが長期になる場合には変動するものとして考えた方がいい。
  3. 3資産の投資比率を仮定し、ポートフォリオの期待リターンとリスクを計算してそれぞれ記入する。

計算方法については「分散投資によってリスクがゼロになる場合とリスクがなくならない場合」の中で詳しく解説しているので参考にしてほしい。

その結果、ポートフォリオのリスクが最小となる投資比率が導き出されるが、解が求められない場合は条件を見直す必要がある。

バリュー・アット・リスクを活用する

最初に得られた解は、あくまでも設定した目標リターンを実現するためのものであり、リスク許容度は考慮されていない。

したがって、さまざまなケースにおいて損失が発生しても、選択すべき結果が得られているかどうかを、個々のリスク許容度と照らし合わせて再度検討する必要がある。

例えばリターンが正規分布に従っていると仮定し、バリュー・アット・リスクを基準に算出する方法もある。

バリュー・アット・リスクとは、ある資産に投資して、1年後のある時点において95%や99%などのような一定した信頼のおける水準を基準にいくら以上の損失が生じると考えるべきか、としたときの損失額のことだ。

なお、バリュー・アット・リスクについては「分散と標準偏差を理解してファイナンシャルプランを効率的に行なう」の中でも解説している。

このリターンをいく通りか考えて、対応するリスクを計算すると、ある程度の結果が得られそれを元に効率的フロンティアを導き出すこともできる。

投資環境と制約条件を前提として、これ以上リスクとリターンの関係が良好なポートフォリオは不可能と思える段階を経てから、最終的な目標リターンと金融資産の投資比率を決定するといい。

理論上の資産配分で終わっては全く意味がない

しかし、これまでお話してきた事は、あくまでも理論上のひとつの数値でしかない。

何度もお伝えしているように、その時々の投資環境と個々のリスク許容度に応じて都度、仮設と検証を繰り返していく必要がある。

一定条件が成立していることを前提に変数のみの影響を論じる、という領域から脱することができない。

それが理論の限界でもあるからだ。

また、ここはマネープランのコーナーなので、金融資産に限定しているが、当たり前だが金融資産に限ったことではない。

もっと重要なのは、人的資産、つまり個々の労働力に起因する所得レベルなどと合わせて勘案していくことだろう。

リスク許容度が同じ人でも、景気に大きく左右される職業、所得変動が大きい職業に従事しているなど、個人の所得創出プロセスによってその数値は大きく変わる。

例えば、勤務先の株式を所有している人は、勤務先が破綻したときなどは、想定以上のダメージを被る。

将来予定していた給与確保が難しくなるばかりか、まともな退職金も得ることができない。

さらに、年金の減額、資産運用での躓きといった事態が同時に起こるからだ。

ライフサイクルだけでは不完全

ライフサイクルを起点とした場合、一般には若年層ほど人的資産は大きい。

したがって、リスクの大きい資産への投資比率は高くなり、年齢とともにリスクのある資産への投資比率は減少させていくことになるだろう。

しかし、若年層であっても、子供の教育資金や住宅の購入など大きな支出が予定されるケースも有る。

その場合、リスクのある資産への投資比率は減少せざるを得ないだろう。

若い頃は所得が少なかったり、投資経験が浅かったりもする。

だから、リスクのある資産への投資を避ける傾向が強い。

また、最低限確保しなければならない資金も、家族構成やそれまでの経緯によってさまざまだろう。

加えて、現在の生活水準を下げてまで未知の新しいことに挑戦する人はまれだ。

さいごに。。

所得が上昇すると、その分生活水準が上昇し、固定支出が増加するという傾向がある。

つまり、資産の増加分が必ずしも投資リスクの大きいものに分配されるとは限らないということだ。

また、リスク資産を保有するということは、そこに付随する参加コストも負担することを意味している。

参加コストとは、資金的なことだけではない。

知識の習得や情報収集、ノウハウの確立といった準備に要する時間、メンタルの管理などさまざまな行動や試みなどだ。

その分の負荷を自ら承諾しなければならないわけだ。

したがって、リスク資産を積極的に保有する人の割合はさらに少なくなる。

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