

今回のキャリア・プロセスデザインは起業する前に知っておいたほうがいいことについてです。
これらを知っていると効率よく起業できますし、起業後の改善や迷った際の方向性の見極めなどにも役立つと思います。
起業する前に知っておいたほうがいい。。
40年近くマネジメントやセールスなどに携わる傍ら、起業サポートを開始して13年が経過した。
起業サポートの過程で、ほとんどのクライアントが口にする言葉がある。
「起業するにあたって一番大切なことは何ですか」???
もちろん、顧客をどの程度確保できるかだ。
もっと大切なことは、だれを顧客にしないかだろう。
これら2つの目星がついてから起業すべき。
最悪でも生計を立てられる程度の「望ましい顧客」を確保してから起業したほうがいい。
つまり、起業する前から、ある程度成功しておく必要があると思う。
それにはまず、ビジネスの目的がちぐはぐだとお話にならない。
だから、起業する前にあなたのビジネスの目的をもう一度確認してほしい。
欲を言えば、ビジネスにおける最上位概念がセールスであることも理解してほしい。
ついでに、セールス以外の行為はすべてマーケティングであることも認識しておいてほしい。
さらに、何もないところからお金の流れを生み出すツールが言葉であることも理解しておいてほしい。
例えば、ニーズとウオンツという言葉がある。
ここではとりあえず、何か満たされない状態のときにおこる感情がニーズで、それを満たすために何かを欲する感情がウオンツという定義にしておこう。
このウオンツを満たす活動がマーケティングだとフィリップ・コトラー(マーケティング研究の第一人者)は言っている。
であるとするなら、マーケテイングは次の2つのプロセスに分けられるだろう。
- 顧客のニーズを正しく把握するプロセス。
- そのニーズを満たす商品やサービスを開発し顧客に届けるまでのプロセス。
しかし、これら2つのプロセスとその重要性も、時代とともに移り変わってきた。
良いものを作って市場に出しさえすれば売れた時代は疾うの昔、やがてニーズやウォンツを満たすことを重視した戦略が好まるようになったが、それもソーシャルな場、ソーシャルへの関心に舞台は変遷し、ついに言葉の差異によって価値が判断されるようになった。
いまとなっては製品機能をすべて把握して使いこなせるユーザーはほんの一握り。
にもかかわらず、新機種やさらに高度な機能を搭載した製品が市場に出るや否やみな挙って買い求める。
欲求を否応なく刺激され、その欲求が抑えられなくなり、どうしてもそれが必要である理由を自らこじつけて買う。
私たちはそう仕向けられているわけだ。
冒頭で「何もないところからお金の流れを生み出すツールが言葉だ」といったのはそういう意味だ。
それだけに起業するうえでマーケティングの要素は大きい。
人々の購買心理を理解し、対象者の類似性に訴えかけ買う行為を誘発するプロセスを言葉(映像などを観た時の脳内言語も含む)によって描く。
それがすべてとまでは言わないが非常に重要だ。
これらを理解することは、望ましい顧客と末永くお付き合いさせていただくうえでも重要だ。
彼らは、あなたの事業が良い状態で長~く存続するために欠かせない存在。
だから起業家は、彼らに最大限の利益を提供する存在でなければならない。
そのプロセスにおいてあらゆる恩恵をもたらしてくれる。
それにはまず彼らに存在を知ってもらって、信頼してもらわないとはじまらない。
そのプロセスを築いていく手段の一つがマーケティングだろう。
これをたった一人で行う場合もあれば、組織で実行していくこともあると思う。
組織であれば、すべての部署においてマーケティングを理解しておく必要があるだろう。
部署間の疎通は、そこで使用される言葉の意味を共有することからスタートする。
自分本位の解釈を減少させ、できる限り同じようなイメージを描けるようしておくといい。
使用される言語への臨場感が薄いと行為に発展しない。
お互いのフラストレーションのみが増大していく。
やがて売上減少、売価の下落、薄利多売、成長が鈍化する。
つまり利益構造そのものの悪化を招き、最終的には撤退、廃業、倒産に至る。
だから、同じようなイメージを描けるように、共通使用する言葉の臨場感をあらかじめ上げておく必要がある。
そのうえで、マーケット環境をベースに慎重かつ詳細に経営戦略などを組み立てなければならない。
グローバル化と成熟の拡大が進んだ現市場においてその工程は欠かせない。
これから起業するのであれば、少なくとも経営戦略の骨子でもあるマーケティングを理解しておく必要があるだろう。
次回は、マーケティングをどのように戦略策定にむずびつけるのか?そのプロセスについて解説しよう。
ではまた。