言葉が使われる形に将来が見え隠れする。
この会社で得られた多くの事例と、苦い経験が重なって一つの能力が身についたようです。
それは、その人の将来がどうなるかを、かなり高い確率で察知できるという能力です。
まだ表面化していない現象を、いち早く見つけることができるようになりました。
まず最初に、言葉が使用される形に現れます。
重要なのは、言葉の暗示的な部分です。
そう、その言葉が何を言っていないか？ということです。
そこに物事の本質があります。
訓練を重ねることでこのような能力を身につけることができるようですが、私の場合は経験則からそれをかなり高い確率で推測できるようになりました。
世の中には、このよな能力に秀でた方がいて、驚くほど仕事のできる人や人気のある人もいます。
微細なシグナルを見逃さない。
この能力のおかげで少し先が見通せるようになり、自分の愚かな考え方に嫌気がさしてきました。
「ここにいたらダメだ」と思うようになりました。
ある時、スイッチが明確に切り替わりました。
そのきっかけは専務取締役が強制的に解任されたことでした。
翌年、この専務取締役だった彼と一緒に会社を設立し、ほぼ無休で一日15時間以上働きました。
「閾値を超えたゾーンを設定し、すみやかに計画に落とし込み、ズレが生じないように日々自分の言動をコントロールしなつつ確実に目標を達成する」
カリスマ経営者から叩き込まれた方法を他の土俵で試す機会を得たわけです。
２年間で9店舗の設立とマネジメントを手がけ、年商も3億円を超えました。
このプロジェクトの成功を実感していました。
懸命に働いてきた軌跡は、なんぴとたりとも排除することはできない。
しかし、その直後に経営方針の相違から辞任退職を余儀なくされました。
どうやら彼は、遅かれ早かれ私を適当な時期に排除しようと思っていたようです。
創業に協力するにあたって私が彼に示した条件は１つだけでした。
- 3年間は縁故者を経営に参画させない。
しかし、会社が順調になったころ、彼は家族２人を役員に加えました。
致し方ない理由に思えたので了承したのですが、その内の一人が威圧的な人間で、度々従業員とトラブルを起こし、ついには私に暴力までふるってきました。
でも、今では彼に感謝しています。
ある意味、彼のおかげで踏ん切りがついたともいえるからです。
しかし、当時はそうは思えませんでした。
「休みも返上して、必死に働いてここまでしたのに！」
「でも、あんな卑劣なやつから離れられてラッキーだったかもしれない。」
「僕がいなくなったら、すぐに倒産するだろう。」
ちなみに、500日後にこの会社は倒産しました。
「でも、どうしてまたこのような事態に？」
怒り、憤り、虚しさ、開放感が共存する奇妙な感覚でした。
精神的にもかなりショックだったのでしょう。
その後、全く行動する気力がなくなりました。
医師に診てもらったら、おそらく「うつ病」と診断されたでしょう。
当時は、そのような病名があることすら知りませんでしたが、それが幸いだったのかもしれません。
なぜなら、私の意志の強度から推測すると、おそらく医師に依存しすぎてしまい、再起業できなかったと思うからです。
このうっとうしい状態をカウンセリング、マインドフルネス、リアリティーセラピー、アーユルヴェーダ、マクロビオティック、心理学や分析哲学などを通じて克服することができました。
私は医師ではありませんが、いくつかの改善事例もあります。
もちろん、薬物は一切使用していません。
この時の経験や習得した技能が、その後のミッドライフ・クライシスを克服する方法やコンサルティング技能などにもつながりました。
そして、6か月間の無職の期間があったことや無一文同然になった経験も好ましい方向に作用しました。
