中小企業のための退職金共済制度:基礎知識と利点

今回は、老後年金対策の1つでもある中小企業退職金共済制度、特定退職金共済制度の特徴や注意点についてです。

中小企業退職金共済制度

  • 国の援助で中小企業が退職金制度を持てるようにすることが目的。
  • 独立行政法人である勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部が運営。

①掛金の一部を国が助成する。

  • a)新たに加入する事業主に掛金の2分の1(上限5000円)を加入後4カ月日から1年間
  • b)新たに加入する事業主について、パートタイマーなど短時間労働者の掛金が4000円以下の加入者がいるときは、掛金月額2000円の場合300円、3000円の場合400円、4000円の場合は500円をa)に上乗せする。
  • c)1万8000円以下の掛金月額を増額する事業主に増額分の3分の1を増額月から1年間

②掛金は全額損金または必要経費として計上できる。

③従業員が退職したときには、事業団から直接、従業員に退職金が支払われる。

④退職金規定を必要としないため、毎月一定の掛金を積み立てて、納付月数によって退職金が決定される。

⑤退職金は一時払い、あるいは分割払いもできる。一部分割払い(併用払い)も可。

⑥転職しても通算できる。

⑦短時間労働者など、いわゆるパートタイマーについては、通常の従業員よりも低い掛金で加入できる。

加入の要件

中小企業であることが前提。規定は下記の表のとおり。

業種 範囲
一般業種(製造・建設業など) 従業員300人以下または資本金3億円以下
卸売業 従業員100人以下または資本金1億円以下
サービス業 従業員100人以下または資本金5000万円以下
小売業 従業員50人以下または資本金5000万円以下

上記の範囲をこえた場合は中退共を脱退しなければならない。

また、従業員は加入できるが、役員や個人雇用主、個人雇用主の配偶者は加入できない。

※同居の親族のみを雇用する事務所において使用従属関係が認められる場合は加入できる。

掛 金

  • 全額事業主負担で
  • 金額は5000円から3万円までの16種類(増額はいつでも可)。
  • 過去勤務債務の償却も可能。

※パートタイマーの場合は、月額2000円、3000円、4000円の掛金でも加入できる。

税の取り扱い

税の取扱
掛金 損金(個人事業主は必要経費)
給付 年金受取りの場合は雑所得(公的年金など控除あり)として課税。退職一時金として受け取る場合は退職所得課税。

特定退職金共済制度

市町村や商工会議所などが、特定退職金共済団体などを設立して実施する退職金共済制度。

  • 制度は中退ともに準じた扱い。
  • 加入要件に人数や資本金の制限がない。
  • 中小企業を卒業した事業主が加入することもできる。

掛 金

全額損金、または必要経費として計上。

商工会議所などの行う特退共

中退共制度が実施する退職金制度との重複加入が認められる。

※他の特退共との重複加入は認められない。

退職金

一時払い、あるいは退職年金としても受け取れる。

次回は「国民年金基金の基礎知識」です。

ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。

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