マーケティングは「売る技術」ではなく「生き方の設計図」──ダン・ケネディと師匠から学んだこと

あるクライアントから、こんな問いを投げかけられました。
「ダン・ケネディや、時給290万円の師匠から、マーケティングについて何を学んだのか。
そして、それをコーチングにどう応用しているのか。」

この問いは、私自身の足跡と、いまの仕事の根っこの部分を見直すきっかけになりました。
ここでは、マーケティングの「ノウハウ」としてではなく、人の変化と成長を支えるためのライフデザイン的な知恵として、私が受け取ってきたものを整理しておきたいと思います。

ダン・ケネディとの出会いが教えてくれたこと

私がダン・ケネディの存在を知ったのは、いまから18年ほど前のことです。
その少し前から、ダイレクトレスポンスの考え方そのものは独学で実践していましたが、「その世界の第一人者が誰なのか」を知らずにやっていた時期が続きました。

ビジネスは好調で、「知らないなりにうまくいっていた」ので、特に困ることもなかったのです。
ところが、売上にうっすらと影が差しはじめ、「これは、きちんとマーケティングを学び直さなければマズい」と感じたタイミングで、ダン・ケネディのコンテンツに行き着きました。

それは、まさに「目からうろこ」という表現がぴったりくる体験でした。
「もっと早く出会っていれば」と思う一方で、「このタイミングだったからこそ、ここまで刺さったのかもしれない」とも感じています。

概念だけでは動かない──「具体」と「構造」を学ぶ

同じ時期に、ジェイ・エイブラハムの教材も手にしていました。
彼の教えは、ビジネス全体の構造や原理をつかむには非常に有益で、まさに「概念の宝庫」です。

一方で、ダン・ケネディのコンテンツは、より具体的で、

  • どんな順番でメッセージを組み立てるか
  • どのような言葉で「行動」を促すか
  • 誰に向けて、どの媒体で届けるか

というレベルまで落とし込まれていました。

いま振り返ると、ここで私が学んだのは、単なる集客技術ではありません。
「人が行動に移るまでのプロセスを、構造として見抜く視点」でした。
これは、そのままライフデザイン・コーチングに応用できる視点でもあります。

時給290万円の師匠から学んだ「エレガンス」と「配慮」

ダン・ケネディのツールを買い漁っていた延長線上で、私はもう一人の師匠に出会います。
業界ではよく知られた方ですが、表舞台を好まないので、ここでは「Y氏」とだけしておきます。

Y氏の思考は、とにかく視点が高く、エレガントです。
「成功者」と呼ばれる多くの人でさえ、彼の前に立つと、おそらく言葉を失うだろうと感じるほどの洞察力と静けさを兼ね備えた人です。
そして何より、そのことを誇示しない。その佇まいもまた、私が目指したい姿のひとつです。

派手な演出より、「まだ成功していないクライアント」への配慮

昨今、SNS上での派手な演出や「散財アピール」をよく見かけるようになりました。
そのことについて、Y氏はこんなふうに語りました。

ビジネスのための演出も、まったく意味がないとは言えません。
ただ、あなたのクライアントの中に、まだ成果を出せていない人が一人でもいるなら、自分の散財をひけらかすのは慎重であるべきです。
そういう演出が好きな人ほど、実際にはお金がなく、経済的な不安を抱えていることも多いものですよ。

マインドセットについて業界随一とも言われる彼の言葉は、私の中に強く残りました。
「見せ方」よりも、「まだ届いていない誰かへの責任」を優先する視点。これはコーチングの姿勢とも深くつながっています。

「環境」と「反復」が人を変える──毎日触れられる仕組みづくり

ダン・ケネディとY氏、二人の教えから、私が最初に実践したのは、「学び方」そのものの変革でした。
それは、難しいことではなく、ごくシンプルなことです。

  • 毎日目に触れ、耳に入る位置に教材を置く
  • 同じ教材を、飽きるほど繰り返し読む・聴く
  • そのたびに「いまの自分の状況」と照らし合わせて解釈を更新する

つまり、「優れている」と感じるものに繰り返し触れ続ける環境を、意図的に設計することです。

多くのことを成し遂げた人たちは例外なく、

  • 繰り返し
  • 飽きのこない見直し
  • その都度の「再解釈」

というサイクルを大切にしていました。

これは、マーケティングに限らず、心の成長プロセスにもそのまま当てはまります。
「一度理解したつもり」のものを、「いまの自分」で読み直す。
そこから、見え方や感じ方が変わっていく。その繰り返しが、視点そのものを育てていきます。

マーケティングが教えてくれた「いちばん大切な存在」

私が彼らの教えを実務に落とし込んだのは、実は2002年頃まで遡ります。
当時はまだ、「それがダイレクトレスポンスである」と自覚してはいませんでした。

ある友人から、こんな教えを受けたのがきっかけです。

  • ビジネスでいちばん大切なのは、人脈でも、スキルでも、ノウハウでも、資金でもない。
  • 仕組みでもない。いちばん大切なのは「顧客」である。

今となっては当たり前のように聞こえますが、当時、私の周囲でそれを本気で理解して動いている人はほとんどいませんでした。

さらに、こう続きます。

  • 顧客だけでなく、「商品」も大切にしなさい。
  • うまくいっていないとしたら、今見えている場所ではなく、その一歩手前に原因がある。
  • 揺るぎないコアコンセプトやUSP(Unique Selling Proposition)を軸に据え、それをビジネスの土台にしなさい。

広告を作るのではなく、PR(パブリック・リレーションズ)を作る
お金を直接求めるのではなく、信用を積み上げる。
エビデンスやテスティモニアル(お客様の声)という「社会的証明」をきちんと提示する。
ビジネスの本質は、「機能」ではなく、「そのビジネスを通じて顧客にもたらされる変化やベネフィット」を届けることだ――。

そして、一度ご縁を持った人を、単なる「お客さん」ではなく「ファン」に変えていくこと。
ターゲット市場の中で、「あの人(あのサービス)は、ちょっと特別だ」と感じてもらえること。
この戦略は、おかげさまで大きな成果をもたらしてくれました。

ライフデザイン・コーチングにマーケティング思考を応用する

その後、私はコーチング系のビジネスにも軸足を広げていきました。
一見すると、「個人を対象とするコーチング」と「マーケティング」は別の世界の話に見えるかもしれません。
しかし実際には、深いレベルでつながっています。

なぜなら、

  • お金の流れを変えずに人生を変えることは、現実的には難しい
  • 生産性や価値提供の質を変えずに、生き方だけ変えるのも難しい
  • 他者の信用を得ないまま、自分だけが変わることもまた難しい

からです。
「絶対に不可能」とまでは言いませんが、その可能性はかなり低くなってしまうのが現実です。

マーケティングの原則を「その人の人生」に当てはめる

そこで私は、マーケティングの基本原則を、そのままライフデザインの枠組みに移し替えて考えるようになりました。

  • 顧客を大切にする → 自分の「大切な人たち」や「関わる相手」を大切にする設計にできているか
  • 商品価値を磨く → 自分自身の「提供できる価値」を磨き続けるプロセスを持てているか
  • コアコンセプト・USPを明確にする → 自分の生き方の「軸」や「スタンス」が言語化されているか
  • ファンを増やす → 数ではなく「深くつながり続ける人」を育てる意識があるか
  • 信用を積み上げる → 小さな約束の積み重ねによって、自分への信頼と自己信頼を同時に育てているか

こうして見ると、マーケティングは、単なる「売上を上げる技術」ではなく、
「自分と他者との関わり方をデザインするための、非常に実践的なフレーム」であることが分かります。

「学び」と「ビジネス」と「生き方」を分けない

クライアントからの質問に対する、今の私なりの答えをまとめると、次のようになります。

  • ダン・ケネディからは、「人が行動に移るまでの構造を、具体と数字で見抜く視点」を学んだ。
  • 時給290万円の師匠からは、「視点の高さ」と「まだ成果が出ていない人への配慮」というエレガンスを学んだ。
  • それらのエッセンスを、ビジネスに閉じ込めず、「一人の人間のライフデザイン」にまで拡張して応用している。

マーケティングの学びは、売上アップのためだけにあるわけではありません。
コーチングの学びもまた、目の前の悩みを解決するためだけのものではありません。

両者をつなぎ直していくと、
「どう生きたいか」という問いと、
「そのために、誰と、どんな価値を交換していくのか」という問いが、同じ地平の上に並び始めます。

その地平の上で、これからも学び続け、実験し続けていきたいと思っています。
そして、その過程で見えてきたものを、クライアント一人ひとりの「問い」と「選択」に丁寧に引き渡していく。
私にとってのマーケティングとコーチングの関係は、今のところ、そんなイメージです。

ではまた。

暮らしの輪郭を、内側から描きなおす

すぐに“答え”を出すより、まずは“問い”を整える。
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