ライフプランやファイナンシャル・ゴールの設定は不要!?

前回は2,000例をこえる事例から導いたライフプランの考え方などについて解説しました。

今回は、ライフプランとライフイベントやライフスタイルとの関係、ファイナンシャルゴール設定など、その作成手順などについて解説しましょう。

それではまず最初にライフイベントにかかる費用を見積もる作業からスタートします。

ライフプランは必要なの?

人生にはさまざまなライフイベントがあり、必要とする資金も環境によって異なります。

いずれにせよ、夢・目標・目的をかなえるにはある程度まとまったお金が必要でしょう。

ライフイベントに必要な費用をあらかじめ準備しておく必要もあります。

病気やケガで働けなくなったとき、急なリストラで収入が滞ってしまった時などの緊急時の備えも大切です。

また、結婚、出産、住宅購入といったライフイベントは、1つずつ順番にやってくるわけではありません。

たとえば、結婚と同時にマイホームを購入する場合もあれば、退職後に住宅を購入するケースもあるでしょう。

子どもの教育費準備と住宅ローン返済が重なるケースも少なくないでしょう。

いつ、どんなライフイベントをどのようなタイミングで迎えるか。

そこにかかるお金もライフスタイルの選択によって異なります。

必要なお金を蓄えたり、漠然と描いていた夢をより現実に近づけるためにはそれなりの計画が必要です。

価値観が多様化した昨今では、自己責任がより強く求められるようにもなりました。

自分の歩む道を積極的に選択・決定していかなければならない場面も増えたわけです。

先行きが不透明な時代に、ただ漠然と将来のことを考えているだけでは不安が増すばかりでしょう。

ライフプランを作成することで、心理的不安を軽減することも可能です。

経済的な側面よりも心理的不安の軽減の方が重要な場合もあります。

当然ながら、人的資産(時間・情報・人脈・情熱・能力)も考慮して有効に活用する計画も重要です。

こうした要素を加味して、生きがいのある人生設計に仕上げましょう。

ライフプランとライフスタイルの関係

次にライフスタイルを3つの側面から見直してみましょう。

  1. 目に見えないけど価値のあるもの
  2. 収入・経済的な部分にかかわるもの
  3. ある程度の支出を伴うもの

目に見えないけど価値があるものにはどんなものが考えられるでしょうか?

たとえば、健康・生きがい・家庭・家族・友人・地域交流などが考えらるでしょう。

職業・仕事・能力資格などは経済面。

支出を伴うものとしては、住居、車、留学、趣味、レジャーなどが考えられます。

これらを次の3つのカテゴリーに当てはめてライフプランを見直しましょう。

  1. 目標の設定
  2. 資産の管理
  3. リスクへの対応

例えば、ある仕事に就きたいという希望や目標があるとします。

どのとうな準備が必要でしょうか?

  1. 資格取得のための勉強時間や教育機関への通学時間などを確保する時間資産の管理
  2. 専門書の購入費用や通学費用を捻出する金銭的な計画と管理
  3. 職業に就いている親戚や先輩などの話、人脈との交流、教育機関などから得る情報の収集

こうした事柄を効果的に計画・管理するのもライフプランの役割の一つです。

では、計画通りにいかなかった場合はどうしますか?

例えば、再度受験するケースなどはそのために要する時間と費用をあらかじめ計画に織り込んでおく必要があります。

あるいは、難易度の低い資格取得へ軌道を修正したり、周辺業種への職種変更といった見直しが必要でしょう。

そう、計画通りいかなかった場合の計画も必要なのです。

ライフプランを行う過程で時間やモノを大切にする感覚を身に付けるきっかけになることもあります。

管理は金銭感覚を養うことにもつながります。

次にライフイベント表の作成手順について触れておきます。

ライフイベント表をつくる手順

  1. 「年」の欄を作り、わかりやすいように暦年・元号などを記入します。
  2. 「家族」の欄に家族構成を記入します。
  3. 「年」に合わせて、家族の年齢(年度末現在)を記入します。
  4. 「年」に合わせて、ライフイベントを記入します。
  5. 人生の節目のイベント:結婚・出産・転職・退職予定など
  6. 大きな支出:住宅購入・子どもの入学金、自動車購入・旅行など

それぞれのイベントを実現するために必要な金額を調べて記入します。

次はファイナンシャルゴールについてです。

ファイナンシャルゴールについて

ファイナンシャルゴールとは、ライフプラン(人生設計)における経済面の目標です。

それを前述したライフイベント表をもとに決めていきます。

例えば、以下のように具体的な目標をあげるようにしましょう。

  • 35歳までにマイホームを購入。
  • 頭金を500万円ためる。
  • 家族で3年に1回は国内旅行に行く。
  • 資格取得のための費用として30万円準備する。

次にファイナンシャルゴールを達成するためのキャッシュフロー表を作ります。

キャッシュフロー表によって、具体的な解決策を立てることができます。

月々あと1万円ずつ積立額を増やす、投資商品で運用する、マイホーム購入の時期をずらす、など改善計画を立てることもできます。

ファイナンシャルゴールを決めるときのポイント

ファイナンシャルゴールを決める際は、「5WH」の視点で考えてみてください。

目標が明確になるからです。

  • Why:なぜそれを実現したいのか?(理由)
  • Who:誰が実現したいのか?(主体)
  • When:いつまでに実現したいのか?(期限)
  • Where:どこで実現したいのか?(場所)
  • What:何を実現したいのか?(目的)
  • How:どのくらい時間やお金を使うのか?(具体的数値)

次はキャッシュフロー表の作成手順です。

キャッシュフロー表の作成手順

「収入」欄の作成

給与の場合、給料と賞与それぞれから税金・社会保険料を引いた額(可処分所得)の合計を 記入します。

定期昇給が見込める場合は加味し、昇給が不明な場合は定額で記入します。

自営業の人は、事業収入のうち生活費として使うことができる金額を記入します。

「支出」欄の作成

主な項目は、

  • 基本生活費(食費・光熱費・被服費などの基本的な家計支出)
  • 住居費(家賃・住 宅ローンなど)
  • 教育費、保険料(生命保険料・損害保険料)

車の買い替えや海外旅行といった一時的な支出、交際費、娯楽費などは、その他支出や一時的支出にまとめて記入します。

年ごとに、収入と支出の合計金額を記入

年ごとに、

  • 年間収支(収入合計支出合計)」の金額を算出。
  • 「収入合計」よりも「支出合計」のほうが多い場合は、マイナスの金額をそのまま記入

年ごとの「貯蓄残高」を以下の計算式で算出していきます。

収支の合計額

前年の貯蓄残高+その年の年間収支の金額

年間収支がプラスの場合は、そのまま貯蓄残高に組み入れが可能ですが、年間収支がマイナスになってしまった場合は、貯蓄残高を取り崩すことになります。

できあがったキャッシュフロー表を見て、

  • 年間収支がマイナスになる年がないか
  • 貯蓄残高が増加しているか
  • または減少しているか

など、数値の推移をチェックします。

年間収支が一時的にマイナスになってしまった場合は、貯蓄を取り崩すことでカバーできますが、何年も連続して(断続的に)マイナスが続く場合は、貯蓄が目減りする一方なので策を講じなければなりません。

次の解決策を折り込んで、再度キャッシュフロー表で確認していきましょう。

このように、いろいろな可能性を試してみることを「シミュレーション」といいます。

ですから、キャッシュフロー表はライフプランシミュレーションを行うためのツールでもあります。

バランスシートを作成する

バランスシートは、資産と負債をまとめたものです。

資産には、預金や株式、不動産などの貯蓄や所有する財産などが含まれます。

負債には、クレジットカードやローンなどの支払いに対する負債も含まれます。

バランスシートは、資産と負債の残高を比較して、財務状態を把握するために役立つ指標です。

BSの例(単位:万円)

現金・預貯金          300
株式など(金融資産運用)     300
生命保険(解約金など)     600
マイホーム          4,000
マイカー            150
住宅ローン     4,500
自動車ローン     200
その他借入金     100
負債合計      4,800
純資産        550
資産合計           5,350 負債+純資産     5,350

バランスシートは本来、企業や組織の財務状況を把握するために重要なツールです。

企業の資産、負債、所有者資本を一定の時点でのスナップショットとして表現します。

これにより、企業がどのような財務状況にあり、資金がどのように使われているかが明確になります。

また、投資家やクレジットレーティング会社などの外部のステークホルダーに対して、企業の財務健全性を確認するための情報源として使用されます。

そしてまた、経営者にとっても、企業の財務状況を把握し、将来の予算計画や投資決定などに役立てることができます。

さらに、バランスシートは、法的義務として要求される場合もあります。

例えば、企業が上場している場合、セキュリティーエクスチェンジ委員会(SEC)が要求する年次決算報告書に含まれる必須項目の一つです。

つまり、個人の家計においてもその状況を正確に把握するために不可欠なツールであり。

本人にとっても重要な情報源となりえます。

ではまた。

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