生物学は我々に、全ての生命体がその独自の生化学的特性を持つという驚くべき事実を教えてくれます。
しかし、悲しいことに、この生物学的多様性はしばしば薬物製造や医療現場では見過ごされがちではないでしょうか。
かつて私は、中国伝統医学の流れをくんだ韓国の伝統療法に強い興味を抱きました。
そのきっかけは、日本の医師たちから見放された知人が、韓方療法によって健康を取り戻したという体験にあります。
私の10人のクライアントが、私の韓方の効果に対する探求心に共鳴し、共にその効果を体験しました。
治療に使われた薬は漢方薬で、韓国と漢方との深い結びつきが感じられました。
韓国人の妻が語るには、かつてはどの家庭にも主治医がおり、生まれた瞬間から生涯を通じてその医師が寄り添っていたという。
そして、事あるごとに漢方薬が処方され、各家庭で煎じていたのだそうです。
そして、朝になると漢方薬の香りが街中に広がっていたと言います。
私たちが臨床試験を行った病院の一つは、キム・ヨナさんの主治医として知られる韓方病院でした。
その病院では、私たちが薬がどのように調合されているのかを見学する機会を与えてくれました。
案内された郊外の7階建てのビルの全てが漢方薬の製造施設であり、患者の名前が記された煎じ釜が丁寧に並べられていました。
その場を訪れることによって、漢方は本質的に個々の体質に合わせて調合されるものであるという事を再認識しました。
個々の体質に則せず平均化された成分で市販されている薬は、真の漢方の概念からは外れるのではないでしょうか。
たとえば、日本で漢方と銘打って販売されている商品。
これを漢方という言葉で一括りにしてしまうことに違和感を隠せません。
誤解が固定化され、いつしか一人歩きを始める、その結果として苦しむ人々が増えてしまうからです。
それから、「四象体質」といって体質を4つの大きなカテゴリーに分けた治療法も体験することができました。
その後、私は某使節団の一員として10箇所以上の大学病院や施設なども訪問させていただきました。
それぞれが疾患そのものではなく、個々の体質に目を向けていました。
パソコンの画面をただ眺めるのではなく、患者と真摯に向き合い、じっくりと話し合うことが彼らの治療の基本。
どの病院を訪れても、これが通常のスタンスでした。
この体験により、一部のクライアントは深く感銘を受け、その後私と一緒に5回も韓国で予防医療を受けています。
その全ての施設が予約制なので、診察を待つ人々は一人もいません、そのことにも感心させられました。
健康保険が適用されないため、費用は日本の5倍近くになりますが、それが治療を受けない理由にならなかったのは、私だけではなかったようです。
もちろん、私には医師の免許はありません。
しかし、自分自身の体を使って生命そのものに向き合ってきたという自信はあります。
私たちの細胞や組織に含まれている酸素、二酸化炭素、鉄、ビタミンCなどは常に一定ではありません。
時間や体調、感情によって微妙に変化します。
つまり、その瞬間において私たちの体内に存在する各要素は独自のもの。
これらの体験は「私たちの体は無数の微小な変化が、三次元的に集まって形成され、これらの変化が何であるかを理解すれば、私たちは自身の健康状態を劇的に改善できる」と教えてくれます。
科学的な知識と古代の知恵が絶妙に結びついた形で表現される、と。
この知識と経験により、私は自身のクライアントに対してより深い理解を持つことができたと同時に、一人ひとりに最も適したアプローチを見つけることが大切であると再認識しました。
体質、症状、ライフスタイル、そしてそれぞれの特性を尊重することは、私たちが最高の状態を維持するための鍵となるのです。
これらの概念とアプローチは、二項対立ではなく、両者間のバランスを見つけ、自己の健康を最大限に活用する方法を探求する尊さを示唆してくれています。
我々が体質に基づく個々の特性を理解し、それを尊重することで、真の健康とは何かを理解することができるのです。
この体験を通じて、私は漢方という伝統的な医学の概念を深く理解することができました。
それは個々の体質に焦点を当て、自然と体のリズムを調和させることを重視するためのプロセスでした。
だからこそ、我々が健康を最大限に活用し、全ての人がその生命の豊かさを感じられるような社会を目指すためにも、医療が真に意味するものを理解し、それを尊重することが不可欠だと思います。
私のクライアントが私の探求心に共感し、一緒にその旅を歩んでくれたことは、私にとって大きな喜びであり、その経験は私の人生の一ページに深く刻まれました。
ではまた。