
メンターとの対話で価値観を再構築する
経験ある第三者の視点は、自己の思い込みをほぐし、価値観を露出→言語化→行動へ橋渡しします。本稿は、選定→合意→面談→記録→実験→レビューまで、対話を実装するための完全ガイドです。
1. メンターの役割と選び方
1-1. 役割
- 鏡:あなたの言葉・行動のパターンを映す。
- 越境:業界/世代/価値観の違いから前提を揺さぶる。
- 同行:意思決定の過程に伴走し、責任は本人へ返す。
1-2. 選び方(3条件)
- 価値観の共鳴/相違のバランス:完全一致より「30%違う」人。
- 再現性のある経験:運ではなくプロセス言語化ができる。
- 率直さと安全:率直な指摘と心理的安全の両立。
探し方の一手
自分の価値語2つ(例:誠実/自由)を伝え、「最近の難所」を3行で共有して反応を見る。
2. 合意設計(目的・境界・頻度)
2-1. 目的の明確化
例:「価値観を言語化して資源配分(時間/お金/注意)に反映」「意思決定の基準を作る」。
2-2. 境界線
- 守秘・録音:守秘範囲と記録方法の合意。
- 助言の限界:法務/税務/医療は専門家へ繋ぐ。
- 関係の上下:支配/依存を避け、主体は本人に。
2-3. 頻度と形式
推奨:月1回×60分+中間15分チェック(テキスト可)。
合意メモ(コピペ)
目的:__
期間/頻度:__(例:3か月、月1回+中間チェック)
守秘:__/録音:可・不可
境界:法務/医療は紹介、意思決定は本人
費用/謝礼:__
キャンセル/振替:__
期間/頻度:__(例:3か月、月1回+中間チェック)
守秘:__/録音:可・不可
境界:法務/医療は紹介、意思決定は本人
費用/謝礼:__
キャンセル/振替:__
3. 面談プロトコル(60分テンプレ)
3-1. 流れ
- 到着(5分):価値語の再確認(例:誠実/自由)。
- 事実整理(10分):出来事を時系列で3点。
- 意味づけの分解(15分):事実/解釈/感情/行動を分離。
- 価値の露出(10分):何が大事だった?何が傷ついた?
- 選択肢設計(10分):3案+反事実(やらない案)。
- 最小実験の決定(5分):翌日5分でできる一手。
- 合意の1行契約(5分):誰が・いつ・何を・完了定義。
3-2. 役割分担
- 本人:事実と価値の提示、選択。
- メンター:問いとリフレーミング、前提の可視化。
4. 質問テンプレ(価値観に効く)
4-1. 露出させる問い
- この出来事で守りたかったものは?(価値語に名付ける)
- もし逆が真なら、何が変わる?(反事実)
- 成功/失敗の必要条件は何?十分条件は?
4-2. 行動に接地する問い
- 明日5分だけやるとしたら?
- 完了の定義は?誰が見ても分かる表現に。
- やらない基準は?撤退線はどこ?
5. 記録テンプレ(コピペOK)
5-1. 面談メモ
日付:__/メンター:__
価値語:__/__
出来事(事実3点):1)__ 2)__ 3)__
解釈:__/感情:__/行動:__
選択肢:A__ B__ C__(反事実:__)
決定:__ 完了定義:__ 期日:__
価値語:__/__
出来事(事実3点):1)__ 2)__ 3)__
解釈:__/感情:__/行動:__
選択肢:A__ B__ C__(反事実:__)
決定:__ 完了定義:__ 期日:__
5-2. 合意の1行契約
【決定】__を__までに__が実施。
【基準】完了の定義=__。
【見直し】__/__。
【基準】完了の定義=__。
【見直し】__/__。
5-3. フィードバック・ループ
実施結果:__(事実のみ)
気づいた価値:__
修正:__(次の5分の一手)/期日:__
気づいた価値:__
修正:__(次の5分の一手)/期日:__
6. 最小実験:翌日5分で動かす
6-1. 例(価値語ごと)
誠実
約束の「完了定義」を1行で書き換え、関係者に共有。
自由
通知を朝昼夕の3窓に限定(端末設定)。
家族
金曜19時〜の予定を先にカレンダー確保。
学び
読書10分の時間固定と本の栞に「問い」を1行。
7. 効果測定ダッシュボード
7-1. 週次KPI
面談実施:__回/月 中間チェック:__回/月
価値語の露出:__件/週
合意の1行契約:__件/週(達成:__件)
最小実験の実行:__件/週
満足支出比率:__%(“使って良かった”支出/総支出)
価値語の露出:__件/週
合意の1行契約:__件/週(達成:__件)
最小実験の実行:__件/週
満足支出比率:__%(“使って良かった”支出/総支出)
7-2. レビュー様式
KEEP:__(続ける)
STOP:__(やめる)
LEARN:__(学び)
NEXT:5分の一手__/期日__
STOP:__(やめる)
LEARN:__(学び)
NEXT:5分の一手__/期日__
8. よくある誤作動と修正
8-1. 依存/権威主義
決定権は本人。メンターの意見は仮説として検証。
8-2. 成果主義に偏る
面談は価値の露出→行動。数値は手段、価値を先に。
8-3. 守秘の曖昧さ
録音・共有範囲を文章で合意(テンプレ使用)。
8-4. テクニック過多
質問やフレームは3つまで。過剰な枠は本音を隠す。
9. 倫理と境界線(違いの要点)
- メンター:経験と問いで同行。意思決定は本人。
- コーチ:目標達成のプロセス支援。枠組み重視。
- セラピスト/医師:症状の評価と治療。医療判断を伴う。
メンタリング中にトラウマ反応/うつ等の兆候が出たら、医療・専門家に接続。
面談→最小実験→ログ→読書/瞑想での再検討…の循環を設計する。
まとめ
メンター対話は、価値観を露出→言語化→資源配分へ接続する場。
合意→面談プロトコル→1行契約→5分実験→レビューを回し、日常の選択(時間・お金・注意)を静かに変えていきましょう。