
ライフイベント表は、あなたや家族の将来の予定・望み・目標を時系列で整理し、
ライフプランと将来キャッシュフローの関係を把握するための基礎資料です。
ここでは作成の要点と、キャッシュフロー表・年間キャッシュフロー報告書との繋げ方を解説します。
ライフイベント表の作成ポイント
- 最低限のカラム: 年次/年齢/イベント名/概算予算(現在価値)
- 3年以内のイベント: 日付・費目・支払い月・準備方法まで詳細化
- 関係者の予定: 親や兄弟など、資金計画に影響する人のイベントも記入
ライフイベント表を作るメリット
- 漠然とした家族のイベントを再確認できる
- 将来像が言語化され、個人の成長のきっかけになる
- 必要費用を数値化でき、見通しが立つ
- 家族の思いを共有しやすく、合意形成が進む
※予算は現在価値で記入。満期金などの一時収入も把握しておく。
費用を見積もるときの留意点
具体プランがない段階でも問題ありません。まずは「何が分かっていないか」を明確に。
詳細は後で上書きすれば十分です。最初は統計データ等を仮置きし、時間のあるときに
自分のライフスタイルへフィットさせていきましょう。
「修正を習慣化」できると、どんなシチュエーションでも意思決定の質が上がります。
ライフイベント表テンプレ(コピー用)
- ■ 2026年|本人32歳|第二子出産|予算:——円(出産費用・里帰り・育休中収入減)
- ■ 2027年|配偶者35歳|転職予定|予算:——円(資格・面接交通・ブリッジ資金)
- ■ 2029年|子6歳|小学校入学|予算:——円(学用品・学童・習い事)
- ■ 2031年|本人37歳|中古住宅購入|予算:——円(頭金・諸費用)
- ■ 2042年|子18歳|大学進学|予算:——円(入学金・授業料・家賃)
キャッシュフロー表とライフプランの関係
キャッシュフローは一定期間の収入と支出、すなわち資金収支の流れ(増減する金融資産残高を含む)です。
月間キャッシュフローで細部を、年間キャッシュフローで中長期の傾向を把握します。
これを年次で並べ、将来の収支と資産残高を予想したものがキャッシュフロー表です。
なぜ必要か
- 目標の資金面での実現可能性を見積もれる
- 現状と目的の歪みが可視化され、課題が鮮明になる
- 対策を早期に実行しやすくなる
ポイント: ライフイベント表の予算(現在価値)や将来収入は、
キャッシュフロー表では将来価値へ変換して扱う。
必要額と運用益の試算
目標時点に必要な資金から逆算して、毎年(毎月)いくら積み立てるかを試算します。
変動率と運用利率の前提
- 物価・金利・教育費の上昇、税・社会保険の負担増などを複数シナリオで
- 失業や雇用形態・賃金形態の変更、健康・家族事情の変化も想定
リスク許容度の設定
リスク許容度は可処分所得(自由に使えるお金)の範囲で判断するのが基本。
可処分所得は、キャッシュフロー表を作ることで明確になります。
- 会社員: 年収 −(社会保険料・所得税・住民税)
- 事業所得者: 事業収入 −(必要経費・社会保険料・税金)
数字の裏側(リスク・感度・逆算)まで1画面で可視化。
未来の選択を「意味」から設計します。
- モンテカルロで枯渇確率と分位を把握
- 目標からの逆算(必要積立・許容支出)
- 自動所見で次の一手を提案
年間キャッシュフロー報告書を作成する
年間キャッシュフロー報告書は、総収入 −(社会保険料・税金などの非消費支出)=可処分所得を起点に、
支出の内訳をまとめる年次版の家計報告です。分類は任意ですが、以下の3区分が実務的です。
① 貯蓄・投資: 将来支出に向けた準備額(学費・住宅・老後など)
② 固定支出: 収入に関係なく出ていく費用(ローン、保険料、固定資産税、教育費など)
③ 変動支出: 収入や生活に応じて変わる費用(食費・水道光熱・通信・交通・医療・雑費など)
分析の視点
- 年間の貯蓄・投資額/ローン返済額/税・社会保険料
- 水道光熱費・食費・通信費・交通費・医療費・雑費
- 費目ごとの無駄・前倒し・平準化の余地
キャッシュフロー表の形式と年数
形式は自由。ただし横長(年次を横並び)で作ると推移が見やすい。
検討対象は通常20〜30年以上。主要項目は「年次・年齢・収入・支出・変動率・年間収支」。
チェック:マイナスの性質を見極める
- 単発的なマイナス: 額が大きいと他プランへ波及。対策の優先順位を上げる。
- 継続的なマイナス: 放置は破綻リスク。収入増(転職・副業)や固定費抜本見直しが必要。
チェック:論点別の追加分析
- ローン: 残高・期間・金利。借換や繰上返済の余地。
- 保険: 保障額・期間・免責。家族構成と整合しているか。
- 金融資産: アセットアロケーション・商品コスト・リスク許容度。
- 税金: 所得控除・税額控除・制度活用(iDeCo・NISA等)。
年間収支を合理化する打ち手
- 優先順位を明確化: 何を守り、何を削るかをルール化
- 資産運用力を強化: 商品コストと税制優遇を最適化
- 遊休資産の活用: 不要資産の売却・貸与・用途変更
- 収入増: 転職・副業・スキル投資/配偶者就労/定年後再就職
- 支出減: 外食・レジャー・交際費の上限設定/イベントの時期・グレード調整/補助金活用・中止判断
まとめ──“作って終わり”ではなく“更新して効かせる”
- ライフイベント表は粗く作って、定期更新で精度を上げる
- キャッシュフロー表は将来価値の前提で複数シナリオ比較
- 年間キャッシュフロー報告書で現実の数字と常に照合
今日の一歩は、年次・年齢・イベント・予算の4項目だけで良いので、
来年から5年分のライフイベントを5件書き出すことです。



