コールとプットの関係、プレミアムを加味したオプション・ペイオフ

今回のマネープランのガイダンスは、コールとプットの関係、コールオプションの事例、ブラック=ショールズモデル、プレミアムを加味したオプションペイオフについてです。

株価がどのように変動しても買いポジションのペイオフはゼロか正の値にしかならない。

また、売リポジションのペイオフはゼロもしくは負の値にしかならない、ということは前回解説した。

例えば、オプション価格がゼロ円と仮定した場合、誰もが買いポジションをとるだろう。

元手がなくても利益を得ることができるからだ。

しかし、買いポジションをとるためにはそれに見合ったオブション価格を支払う必要がある。

その際、売リポジションをとればオプション価格を得ることも可能だ。

つまり、売る権利であるプットと買う権利であるコールとの間には一定の関係があるということだ。

コールとプットの関係

例えば、満期時の株価がSTになる原資産があると仮定する。

その時の権利行使価格をKとしたときのコールとプットのペイオフの関係を見てみよう。

※コールのペイオフ=満期時の株価(ST)ー権利行使価格(K)十プットのペイオフ

上記の関係と無裁定の理論を適用し、コール価格をCとし、現在の株価をSOとする。

※無裁定理論:裁定取引が存在しないことを仮定して商品の価格付けを行う。

コール価格(C)=現在の株価(So)-権利行使価格(K)の現在価値+プットの価格(P)

ということで、上記のようなプット・コール・パリティが成立する。

参考▼

プット・コール・パリティ:同一の原資産、同一限月、同一行使価格のプット・オプションとコール・オプションの間に成立する価格(プレミアム)の相関関係のこと。

※(コール・オプションの価格)ー(プット・オプションの価格)=(原資産価格)ー(権利行使価格÷時間割引率)

このコールオプションの価値は、債券や株式といった資産と同じだ。

なぜなら、コールオプション価格Cは将来のキャッシュフローの現在価値=資産価値だからだ。

つまり、コール価格=[(満期時の株価―権利行使価格)が正である場合の期待値]/割引率、ということだ。

コールオプションの事例

例えば、下記のような条件でコールオプションを行使する場合を考えてみよう。

  1. ST:満期時の株価
  2. rf:無リスク金利
  3. K:権利行使価格
  4. T:満期までの期間
  5. C:コール価格
  6. E[ ]:[ ]内の期待値
  7. Max( , ):( )内の2つのうちで大きい方の値

上記条件を式に当てはめると、、、、

C=1/(1+rf)×E[Max(Sr-K,0)になる。

因みに1/(1+rf)は現在値に割り戻す部分で、E[Max(Sr-K,0)は、満期時の株価が権利行使価格より大きい場合はその差額、それ以外のときはゼロをとる。

各々の変数による影響

今度は、各々の変数によるオプションの価格に対する影響についてだ。

例えば、下記のような条件のコールオプションについて、いくつかのケースを比較してみよう。

  1. 原資産の株価は500円
  2. 権利行使価格500円
  3. 満期までの期間1カ月
  4. 1カ月後の株価550円。
株価を600円に引き上げた場合

今度は現在の株価を600円とし 、他の条件は変わらないものとする。

つまり、1カ月後の株価は650円になる。

この場合、コールオプションにおいて正のペイオフを得られる確率は高くなる。

したがって、原資産価格が高いほどコール価格は高くなり、プツト価格は低くなる。

権利行使価格が高いほどコール価格は低く、プット価格は高い。

権利行使価格を600円に引き上げた場合

今度は他の条件は同じで、権利行使価格を600円に引き上げたときの影響を見てみよう。

この時、コールオプションにおいて正のペイオフを得られる確率は低くなる。

つまり、権利行使価格の上昇によってコール価格は下落し、プットの価格は上昇する。

株価の分布散らばりを2倍にした場合

今度は、原資産である株式の1カ月後の株価の分布散らばりを2倍に引き上げた場合を見てみよう。

当然ながら株価上昇・下落とも分布が広がる。

この時、コール価格には上昇方向のみが影響し、プット価格には下落方向のみが影響する。

つまり、コール価格もプット価格も高くなるということだ。

満期までの期間を長くした場合

通常、満期までの期間が長いほどオプション価格は高くなる。

満期までの期間が長いほど、満期時点の株価の分布が広がるからだ。

したがって、権利行使の確率が高くなるので、コールもプットも通常は価格が高くなる。

※例外的に逆に低くなるケースもある。

無リスク金利が上昇した場合

無リスク金利の上昇は、コール価格を上昇させ、プット価格を下落させる。

では、無リスク金利が上昇した場合はどうだろうか?

無リスク金利が上昇するとコール価格は上昇し、プット価格は下落する。

無リスク金利の上昇と株価の下落が同時に発生した場合

では、無リスク金利の上昇と株価の下落が同時に発生した場合はどうだろうか?

この場合、コール価格が下落し、プ ット価格が上昇するケースもある。

ブラック= ショールズ・モデル

ブラック=ショールズ・モデルとは、オプション価格の決定モデルのことだ。

これは昭和47(1972)年にブラッ ク(F.Black)とショールズ(M.Scholes)が提示したもので、その後、多くの学者によって修正・拡張されたが、そこから得られる理論価格式が簡単で操作性が高いことから、現在でも多く用いられてる。

実際のプレミアムは市場の需給関係で決まるが、原資産の価格、権利行使価格、満期までの期間、ボラティリティ、金利といった価格形成要因をもとに、ブラック= ショールズ・モデルなどを使ってオプションの理論価格を算出することも可能だ。

プレミアムを加味したオプション・ペイオフを考える

例えば、ヨーロピアンタイプのオプション契約のペイオフについて見てみよう。

※買建て時に払った金額=売建て時に受け取った金額=取引開始時のコールオプションの価格を加味したペイオフ

プレミアムを加味したコールオプション・ペイオフ

コールオプションの買いポジション満期時の株価ー権利行使価格ープレミアム満期時の株価>権利行使価格のとき
ープレミアム満期時の株価≦権利行使価格のとき
コールオプションの売リポジション権利行使価格ー満期時の株価+プレミアム満期時の株価>権利行使価格のとき
プレミアム満期時の株価≦権利行使価格のとき

プレミアムを加味したプットオプション・ペイオフ

プットオプションの買いポジション権利行使価格ー満期時の株価ープレミアム満期時の株価<権利行使価格のとき
ープレミアム満期時の株価≧権利行使価格のとき
プットオプションの売リポジション満期時の株価ー権利行使価格+プレミアム満期時の株価<権利行使価格のとき
プレミアム満期時の株価≧権利行使価格のとき

次回はオプションでリスクを回避する方法についてです。

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