「お金がない・時間がない・自信がない」を超える──チャンスを“必然”に変える人が持っているもの

「チャンスをつかめる人」と「いつも逃してしまう人」の、本当の違い

チャンスを生かせる人と、そうでない人の違いは何でしょうか。
一見すると「意志の強さ」や「能力」の違いのように思えますが、もう少し深く見ると、そこには言葉の使い方ものの見方(マインドセット)の違いが色濃く現れています。

以前ご紹介した「お金がない」「時間がない」「自信がない」という三大言い訳は、チャンスを潰してしまう典型的な言葉です。
また、よく使われるフレーズとして、

「○○と相談してから連絡します」

というものがあります。
この一言の裏側にも、たいていは三大言い訳のいずれか、もしくはその全部が潜んでいます。
新しい行動を起こすリスクから逃れるために、私たちはこうした言葉を「安全な退避先」として頻繁に使ってしまうのです。

三大言い訳は、ルサンチマンの“日常形”

「お金がない」「時間がない」「自信がない」という短いフレーズは、
新しい挑戦や未知の領域に踏み出すときに感じる不安や恐怖から、自分を守るための防波堤として機能します。

そして厄介なのは、この言い訳を一度覚えてしまうと、

  • 「お金がない」と言う人は、1年後に会っても同じことを言っている
  • 「時間がない」「自信がない」と言う人も、ほとんど変わらない

という現実が、少なからず存在するということです。

なぜ変わらないのか。
それは、

  • どうすれば『時間』を生み出せるのか
  • どうすれば『自信』を育てていけるのか
  • どうすれば『お金の問題』に向き合えるのか

を、真剣に考えるところまでいかないからです。
「じゃあ、どうするか?」という思考よりも、

「〜したい」「〜なれたらいいな」という“願望言語”が主体になってしまうのです。

このように、現実から目をそらし、都合の良い解釈で自分を慰める態度は、
以前からお伝えしているルサンチマン的な考え方の、ごく日常的なあらわれだと言えます。

言い訳は「性格の弱さ」ではなく、マインドセットの自動反応

ここで誤解してほしくないのは、
三大言い訳を口にしてしまうこと自体を、責める必要はないということです。

多くの人が「お金がない」「時間がない」「自信がない」といった言葉に逃げ込んでしまうのは、
単に性格が弱いからでも、根性が足りないからでもありません。

それは、

  • 生存本能としての「危険を避けたい」「損をしたくない」という感覚
  • 経験や教育、その時代の空気、生まれ持った気質などから形成されるマインドセット

の組み合わせによって、ほとんど自動的に立ち上がる反応だからです。

人事労務の用語辞典では、マインドセットを次のように説明しています。

経験や教育、その時代の空気、生まれ持った性質などから形成されるものの見方や考え方。信念や心構え、価値観、判断基準、暗黙の了解や無意識の思い込み、陥りやすい思考回路などを含む。

この定義からわかるように、
あなたがある場面で「言い訳」を口にしてしまうことは、あなたの意志だけではコントロールしきれない領域から、自然に決定されている部分も大きいのです。

ですから、

  • 「また逃げてしまった」と自分を責め続けること
  • 「弱い自分はダメだ」と自己否定を重ねること

のほうが、むしろ問題をこじらせてしまいます。

それでも差がつくのは、「言い訳の質」とその後の一歩

とはいえ、本来すべての言い訳は、少しずつ意志を弱める方向に働きます。
現実世界では、その弱さが、結果として弱者と強者の分かれ目になってしまうこともあります。

では、どうすればいいのでしょうか。

ポイントは、

「どうせ言い訳をしてしまうなら、次のステップにつながる言い訳に変えていく」

という発想です。

たとえば、

  • 「今は時間がないので、また今度」ではなく、
    「今は◯◯が詰まっているので、△ヶ月後のこの時期に、もう一度検討したい」
  • 「お金がないから無理」ではなく、
    「今の家計バランスだと難しいので、まずは◯◯円を捻出するプランを一緒に考えたい」

といったように、
「完全な拒否」ではなく、「次の具体的な一歩」に接続される言い方に変えてみるのです。

そうすれば、その場のチャンスを逃したとしても、
必ず何かしらの学びや成長へとつながっていきます。

本能が見せる“弱さ”と、本来の“強さ”

そもそも、意志の力は本来それほど強いものではありません。
突然目の前に現れた大きなチャンスに対して、怖気づいてしまうのは、ごく自然な反応でもあります。

恐怖心は、

  • 「失敗したらどうしよう」
  • 「損をしたら取り返せないかもしれない」

といった不安を増幅させ、あなたの視野を狭めます。
すると、チャンスをつかむことよりも、目先のリスク回避を優先させてしまうのです。

このときに必要なのは、
あなたの本能が見せている「見せかけの弱さ」に巻き込まれず、
あなたが本来持っている「強さ」や「可能性」を引き出してくれる存在です。

チャンスを“必然”に変えるために必要な存在

では、あなたが大きなチャンスをつかむ一歩を踏み出すためには、何が必要なのでしょうか。

それは、次のような条件を備えた「伴走者」の存在です。

  • あなたがまだ見えていない世界を、先に見ている人
  • あなたの感じているリスクの一部を、あなたの代わりに背負ってくれる人
  • あなたの弱さだけでなく、強さや可能性も含めて引き受ける覚悟を持った人
  • あなたの幸せな未来に向けて、ともにコミットしてくれる人、あるいはチーム

こうした存在がそばにいることで、
あなたは「自分ひとりの意志」だけに頼らずにすみます。

怖さや不安を感じながらも、
少しずつチャンスに手を伸ばす練習ができるようになります。
その積み重ねが、やがてチャンスを“偶然”ではなく、“必然”としてつかみにいける状態を育てていきます。

三大言い訳を口にしたことがあるからといって、自分を責める必要はありません。
大切なのは、

  • その言葉がどこから来ているのかに気づくこと
  • そこから一歩、別の言い方・別の選択を試してみること
  • ひとりで抱え込まず、リスクを分かち合ってくれる伴走者を見つけること

この三つを、少しずつ意識していくことです。

あなたの中にある本来の強さが、必要なタイミングで静かに立ち上がってくる。
そうした関わりや環境を、これからの対話の中で一緒に育てていけたらと思います。

ではまた。

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