
ライフプランとライフスタイル、ライフイベントの関係
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※ 医療的診断ではありません。セルフケアの参考情報としてご活用ください。
前回の記事では、2,000件を超える実例をもとに、ライフプランの本質的な考え方を整理しました。
今回は、「ライフプランはなぜ必要なのか」という根本的な問いから出発しつつ、ライフイベントやライフスタイルとの関係、そして具体的な作成手順とファイナンシャルゴールの設定までを辿っていきます。
ここで扱うテーマは、単に「初めてライフプランを作る方法」ではありません。環境の変化、家族構成の変化、自分の感覚の変化によって、かつて描いた計画がどこか現実と噛み合わなくなってきたときに、どのようにライフプランを再構築していくかという視点です。「一度決めたから変えてはいけない計画」ではなく、「今の自分たちに合わせて描き直してよい設計図」として捉え直してみましょう。
なぜライフプランが必要なのか?
人生には、結婚、出産、住宅購入、転職、退職といったさまざまなライフイベントがあります。しかし、これらは教科書に載っているような綺麗な順番でやって来るわけではありません。いくつかの出来事が同時に重なったり、まったく予想していなかったタイミングで発生したりします。
たとえば、住宅ローンの返済が本格化してきたタイミングで、子どもの教育費が一気に増え始める。あるいは、親の介護が始まる時期と、自分自身のキャリアの転機が重なる。そこに、病気や事故、リストラといった予期せぬ出来事が重なれば、家計だけでなく、心のエネルギーも一気に削られてしまいます。
こうした現実の中で、「なんとなくうまくやっていけるだろう」と思いながら日々を回していると、ふとした瞬間に説明のつかない不安や違和感として現れてきます。「このままで本当に大丈夫なのだろうか」「将来のどこかで無理が出るのではないか」。ライフプランは、この不安を完全に消すための「正解の答え」ではありません。むしろ、起こりうる出来事と、自分たちの資源(お金・時間・体力・つながり)との関係を、一度言葉と数字で照らし出してみるための道具です。
「いつ」「どのようなライフイベントが起こりそうか」「そのとき何がどれくらい必要か」を仮に置いてみる。実際の人生はその通りには進まないかもしれませんが、そのズレをきっかけに、計画を見直し、優先順位を組み替え、何度でもライフプランを再構築していける状態をつくること。そこにこそ、ライフプランの本来の役割があります。
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ライフスタイルとの関係 ― 価値観の整理
ライフプランは「お金の計算をきれいに整える作業」と誤解されがちですが、実際には「どのような暮らし方を大切にしたいのか」を明らかにする作業と分かち難く結びついています。数字だけを先に決めてしまうと、どこか自分の感覚とズレた計画になり、「頑張ればできるかもしれないけれど、心がついていかない」という状態を生みやすくなります。
そこで、次の3つの視点から、自分にとっての「価値ある生活」を一度棚卸ししてみてください。
- 目に見えないけれど重要なもの(健康・家庭・友情・地域とのつながり・心の安定など)
- 経済的基盤に関わるもの(職業・収入・能力・資格・働き方の自由度など)
- ある程度の支出を伴うもの(住居・車・教育・趣味・レジャー・体験への投資など)
ここで大事なのは、「どれが正しいか」を競うことではなく、「自分たちはどこに比重を置きたいのか」を見つけることです。そのうえで、これらの価値観を次の3つの切り口に整理していくと、具体的なライフプランへと結び付きやすくなります。
- 目標の設定:何を実現したいのか
- 資産の管理:そのために、どんなお金と時間の使い方が必要か
- リスクへの対応:うまくいかなかった場合、どこで・どう修正するか
ライフプランの再構築とは、これまで無意識に優先してきたものと、これから大切にしたいものを見比べながら、これら3つのバランスを丁寧に組み替えるプロセスだと言えます。
例:ある職業に就くためのライフプラン
たとえば、「◯◯という職業に就きたい」という願いがあるとします。この一つの願いを、先ほどの3つの切り口で眺めてみると、次のように整理できます。
- 目標設定:◯◯という職業に就き、その分野で一定の専門性を身につける
- 資産の管理:資格取得のための学費・生活費の確保、勉強時間を生み出すための働き方の調整
- リスク対応:不合格だった場合の再受験計画や、方向性を変える場合の候補(他業種・関連職種など)
このように、一つの目標を「目標・資源・リスク」というレイヤーで分解しておくと、「どこまでなら踏み込んでよいか」「どこから先は条件が整ってから挑戦するか」といった線引きが見えやすくなります。やみくもに前に進むのではなく、自分たちなりの納得できるペースと深さで道を選ぶことが、ライフプラン再構築のポイントです。
ライフイベント表の作成手順
次に、今後の人生で起こると予想されるライフイベントと、それにかかる金額を一覧にした「ライフイベント表」を作成してみましょう。ここで重要なのは、「当てること」を目的にしないことです。むしろ、これまで頭の中でバラバラに浮かんでいた出来事を、一度同じ紙面に載せてみること自体に意味があります。
- 縦軸に「年(西暦/元号)」を記入する
- 家族構成と、それぞれの年齢(年度末時点)を記入する
- 予想されるライフイベント(結婚・出産・転職・住宅購入・独立・介護など)を記入する
- それぞれに必要となるおおよその資金を見積もって記入する
こうして一覧にしてみると、「同じ数年間に、どれだけのことを詰め込もうとしていたか」が見えてきます。もし、その密度に自分の感覚がついていかないのであれば、どこかのタイミングを後ろにずらしたり、別の形に置き換えたりする余地があるはずです。ライフイベント表は、未来を縛るためのものではなく、選択肢を見直すための下書きとして扱ってください。
ファイナンシャルゴールを設定する
ライフイベント表で「いつ」「どのような出来事が起こりそうか」の見通しを立てたら、その内容をもとに、経済的な目標(ファイナンシャルゴール)を具体的な言葉と数字に落としていきます。
ここで設定するゴールは、「達成できなければ失敗」という性質のものではなく、現在の前提条件に基づいた仮の目安です。状況が変われば、ゴールの中身や期限を変えても構いません。ゴールを固定するのではなく、「なぜそのゴールなのか」を意識しておくことが、後から再構築するときの手がかりになります。
具体例:
- 35歳までにマイホームを購入する
- 頭金として500万円を用意する
- 資格取得のために30万円を準備する
- 家族で3年に一度、国内旅行に行く
ポイントは、「買う・行く・やる」といった行動だけでなく、それを可能にするための資金と時間の配分を、ひとまとまりのゴールとして捉えることです。そうすることで、「どのゴールを優先し、どのゴールは少しペースを落とすか」という調整もしやすくなります。
5WHの視点で目標を明確化
目標が曖昧なままだと、いくら数字を整えても、どこかモヤモヤが残ります。そこで役に立つのが、5WHの視点です。チェックリストというよりも、「その目標と本当に付き合っていけるか」を確かめるための問いとして使ってみてください。
- Why:なぜその目標を実現したいのか(どんな背景や物語があるのか)
- Who:誰が中心となって実現するのか(自分・パートナー・家族の役割分担)
- When:いつまでに/どのタイミングで達成したいのか(期限・優先順位)
- Where:どこで実現するのか(居住地・職場・生活のフィールドなど)
- What:何を具体的に実現するのか(「満たされている状態」を言葉にしてみる)
- How:どのくらいの金額や時間が必要なのか(手段・数値・行動のステップ)
この6つの問いに向き合う過程で、「本当は重要度が低いのに、何となく周りに合わせて立てた目標」や、「逆に言語化されていないけれど、実はずっと大事にしたかったこと」が浮かび上がってきます。ライフプランの再構築とは、この棚卸しを通じて、目標の中身そのものを入れ替えていく作業でもあるのです。
キャッシュフロー表の作成手順
ライフイベント表とファイナンシャルゴールを作成したら、それらを「年ごとのお金の流れ」としてつないでいきます。それがキャッシュフロー表です。ここでも完璧さよりも、「どの時期に負荷が集中しそうか」「どのあたりに余白があるか」といった流れの傾向をつかむことを目的にしましょう。
収入欄の記入
- 給与収入:税金・社会保険料を差し引いた可処分所得(手取り)
- 自営業の場合:生活費に充てられる事業収入(売上ではなく、実際に使えるお金)
支出欄の記入
- 基本生活費(食費・光熱費・通信費・日用品など)
- 住居費(家賃・住宅ローン・管理費・修繕費など)
- 教育費・保険料・一時的支出(旅行・買い替え・冠婚葬祭など)
年間収支と貯蓄残高の確認
- 年ごとの収入・支出を記入する
- 年間収支 = 収入 − 支出
- 貯蓄残高 = 前年の貯蓄残高 + 年間収支
赤字が連続する年がある場合は、支出の見直しや目標時期の調整、働き方や収入の増加策など、どこで修正をかけるのかを検討します。このとき、「すべてを削る」のではなく、削らないと決めるものを先に選ぶ視点も大切です。何を守り、何をあえて緩めるのかを意識することで、ライフプランの数字と、自分たちの感覚とのズレが小さくなっていきます。
キャッシュフロー表(サンプル)
| 年 | 年齢 | 主なライフイベント | 収入(万円) | 支出(万円) | 年間収支(万円) | 貯蓄残高(万円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025 | 35 | 第一子誕生 | 600 | 500 | +100 | 300 |
| 2026 | 36 | 育休・収入減 | 450 | 520 | -70 | 230 |
| 2027 | 37 | 復職・保育料開始 | 580 | 530 | +50 | 280 |
バランスシートで資産状況を可視化する
キャッシュフロー表が「時間の流れ」を扱うのに対して、バランスシートは、ある一時点における家計の全体像を示します。ここでは、資産と負債を一覧にして、家計全体の健全性を確認します。
- 資産:預貯金・有価証券・不動産・保険解約返戻金など
- 負債:住宅ローン・自動車ローン・クレジットカード残高など
バランスシートを作成すると、「資産はそれなりにあるが、負債の比重が大きい」「現金は少ないが、将来の年金や保険で一部カバーされている」など、自分の家計の特徴が客観的に見えてきます。ここで大切なのは、単に数字の大小を評価することではなく、今のポジションを知ったうえで、これからどの方向に舵を切るかを考えることです。
家計のバランスシート(サンプル)
| 資産 | 負債 | ||
|---|---|---|---|
| 預貯金 | 300万円 | 住宅ローン残高 | 2,500万円 |
| 有価証券(株・投信) | 200万円 | 自動車ローン | 100万円 |
| 保険の解約返戻金 | 150万円 | クレジット残高 | 20万円 |
| その他資産 | 50万円 | その他負債 | 0万円 |
| 資産合計 | 700万円 | 負債合計 | 2,620万円 |
| 純資産(資産 - 負債) | ▲1,920万円 | ||
まとめ ― ライフプランは「描き直してよい前提」で持つ
ライフプランとは、単なる「お金の計画」ではなく、自分と家族の時間をどのように配分し、どのような物語として生きていくかを考えるための設計図です。一度作ったら終わりの完成品ではなく、環境の変化や心境の変化に合わせて、何度でも書き換えることのできる「下書き」として扱う方が現実的です。
価値観の整理から始まり、目標の設定、リスク対応、資産管理、そしてシミュレーションまでを一貫して行うことで、数字だけに振り回されない、しかし感覚だけにも流されない、「納得して選べる状態」に近づいていきます。
もし、今のライフプランにどこか違和感がある、あるいはこれから描き直したいという思いがあるなら、その感覚自体が「再構築のタイミングが来ている」というサインかもしれません。一人で抱え込まず、第三者の視点も借りながら、自分たちなりのペースで設計図を整えていきましょう。
「今のライフプランを、いちど丁寧に見直してみたい」と感じたときは、対話形式での整理も選択肢のひとつです。



