ライフプラン相談時に必要な情報とプロセス──“事実→仮説→シミュレーション→合意”で進める

ライフプランは「財務計画」だけではなく、暮らしの前提合意形成を含む設計作業です。
本稿では、相談前に揃える情報と、現状分析→課題特定→シミュレーション→アクション→定期見直しの流れを
短文段落・箇条書きで整理します。画像は使わず、テキストだけでスキャンしやすい構成です。


相談前に揃えるべき情報(実務チェック)

1) 家族構成とワーキングスタイル

  • 家族人数・年齢・健康状態・扶養区分
  • 雇用形態・就業時間・残業/シフトの不確実性・在宅可否
  • 通勤/通学ルート、送迎の有無、家事分担(実態)

2) 収入・資産・負債(現在地の把握)

  • 手取り収入の内訳(給与・賞与・事業・給付)と季節変動
  • 預貯金・投資・保険(解約返戻)・不動産の残高
  • 住宅ローン・教育ローン・カード・その他借入の残高/金利/期間

3) 生活環境と価値観(非金銭の前提)

  • 住環境(通勤距離・学区・医療/保育アクセス)
  • 健康・趣味・学び・コミュニティ参加の実態
  • 優先順位:お金/時間/健康/関係性/貢献の配分感

4) 今後のキャリア形成予定

  • 昇進・転職・独立の可能性と時期の目安
  • 資格/研修の年内予定(費用・時間)

5) ライフイベント年表

  • 結婚/出産/進学/住宅購入/転居/退職などの予定と希望時期
  • 各イベントの概算費用・支払月(入金/出金のタイミング)

プランニングの流れ──“事実→仮説→検証→合意”

STEP1:現状分析

収入/資産/負債/生活時間を棚卸しし、月次キャッシュフローを作成。
年間の季節性(税/保険/学費)も併記して、波を見える化します。

STEP2:課題の特定

  • マイナスリスク: どの月に資金ショートの可能性があるか
  • ゆとり月: 余剰が出る月はいつか(積立・前倒し候補)
  • 制約条件: 時間・健康・地理・家族事情等の非金銭制約

STEP3:シミュレーションと修正

  • 金利/物価/教育費のストレステスト(±の変動を当てる)
  • イベント時期の前倒し/後ろ倒しで手取り曲線を比較
  • 固定費の切替(住居・通信・保険)と収入の多様化(副業/転職)の複合案

STEP4:アクションプラン

  • 今月: 不要契約の停止、借入の金利交渉、緊急資金の自動振替設定
  • 3か月以内: 固定費の年払い化、資格/学習の着手
  • 1年以内: 住居/働き方の再設計の意思決定ポイントを設定

STEP5:定期見直し

四半期に一度、実績 vs. 計画を確認。前提がズレたらプランを更新。
年1回は「価値観の配分(お金/時間/健康/関係)」の再確認を。


Life Plan Pro PFD v2 で、意思決定に直結する試算を

数字の裏側(リスク・感度・逆算)まで1画面で可視化。
未来の選択を「意味」から設計します。

  • モンテカルロで枯渇確率と分位を把握
  • 目標からの逆算(必要積立・許容支出)
  • 自動所見で次の一手を提案

ライフプラン構築の重要ポイントと注意

資産のマイナスリスクと“ゆとり”の見取り図

  • どの月に不足が生じるか、具体月で把握
  • 余剰の出る月を特定し、積立や前倒し支払いの実施月に指定

シミュレーションの考え方

  • 収支マイナスの再現性を下げるために、複数シナリオで反復
  • 結果に応じて、時期・金額・手段を都度修正

資金確保のための打ち手

  • 住宅ローン/保険の見直し(金利・保障・年払い化の検討)
  • キャリア形成(昇給/転職/副業)の投資対効果と回収期間

金融商品の位置づけ

金融商品はプランの一部であり、キャッシュフロー確保とは別問題。
先に家計の流れを整え、商品はその後に目的適合で選定。


ケーススタディ(要約・匿名/数値は全て例示)

ケース1:子育て世帯の赤字月解消と“ゆとり月”の設計

状況: 夫婦+子2人。手取り月36万円/ボーナス年60万円。4月・9月に学費と保険料が集中し赤字。
課題: 季節性の支出に対して月次が平準化されていない。

  • 施策: 年払い保険を月払いへ変更(手数料増は許容)、学費は毎月1.5万円を先取り積立。
  • 施策: 通信プランの見直しで月−4,000円、電気プランの切替で月−2,000円。
  • 結果: 赤字月ゼロ化。6月/12月を「ゆとり月」に指定し、家電更新と旅行積立へ充当。

ケース2:単身×転職予定のキャリア投資と安全余白

状況: 単身。手取り月25万円→転職で一時的に24万円へ低下見込み。資格取得費用20万円を投下予定。
課題: 短期の資金ショートと学習時間の捻出。

  • 施策: 緊急資金を生活費2か月分(50万円)まで先行確保。投資は一時的に減額。
  • 施策: 平日夜の学習2コマ(各45分)を時間割に固定、サブスク2件停止。
  • 結果: 転職後6か月で手取り月27万円へ回復。緊急資金は維持、投資を段階再開。

ケース3:住宅購入検討の“買える”と“買ってよい”の線引き

状況: 世帯手取り月45万円。頭金300万円。希望価格3,800万円。
課題: 返済比率だけを見て意思決定しがちで、教育費のピークと重なるリスク。

  • 施策: 返済比率は25%以下に制限、固定費全体で50%以下に抑制。
  • 施策: 教育費年表(中高・大学)を重ね、子の進学ピーク期にボーナス返済をゼロ想定で試算。
  • 結果: 購入価格を3,400万円に見直し。月次の予備費を確保しつつ購入に踏み切る判断へ。

相談前の準備と進め方(実務版)

自己分析(事実→解釈→選択)

  • 願望と現状のギャップを文章化(1ページでOK)
  • 収支・借入・イベント年表を数値で可視化

専門家の選定

  • 経験・専門領域・実績・倫理の確認(面談時に事例を質問)
  • 費用と提供物(分析/提案/伴走)の範囲を事前に明確化

客観視の獲得

  • データで現状を評価(主観は別メモに切り分け)
  • 家族や第三者の意見も取り入れ、バイアスを中和

継続的な見直しと調整

  • 四半期ごとにアップデート(税・教育費・保険の更新月に合わせる)
  • 予期せぬ変化には、停止/縮小/代替の3手を準備

課題解決の具体行動

  • ToDoは「期限・担当・完了条件」を必ず付ける
  • 行動のログを残し、次回面談で学びを反映

まとめ──数字の安心だけでなく、“合意”の安心へ

相談の生産性を上げる鍵は、必要情報を揃える → 仮説を持つ → 反復で整えること。
今日の一歩は、手取り推移・借入一覧・イベント年表の3点作成です。

暮らしの輪郭を、内側から描きなおす

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