

今回は、不動産に投資する際の分析方法、不動産収益にかかる税金、減価償却の計算方法、不動産収支計画のポイントと注意点、収支計画の作成例、事業収支の改善策と不動産の関係などについてです。
不動産の投資分析(基本)
- 投資判断はNPV(正味現在価値)、IRR(内部収益率)を用いる。
- 不動産の運用収益に係る税金や内容について知る。
- 総収入の金額と計上時期について知る。
- 減価償却と必要経費の内容について知る。
- 賃貸に関する税金の問題点を知る。
- 事業収支計画の考え方を知る。
- 投資判断は会計上ではなく、経済的な利回りで決める。
- TMK、REATの概要を把握し、証券化不動産の特性を知る。
不動産の投資対象はさまざまで、大きく現物と証券化したものに分類される。
また、不動産の投資判断の指標として用いられる一つにNPV(正味現在価値)がある。
NPVを用いた投資判断基準は以下のとおりだ。
- NPV>0 その投資は承認される。
- NPV<0 その投資は承認されない。
- NPV=0 その投資は採算上にある。
※NPV:キャッシュインフローの現在価値合計-キャッシュアウトフローの現在価値
NPV=0の場合でもその投資できるが、NPV<0つまり、NPVが負となる投資はしない。
逆にNPVが負でなければ、収益をもたらしてくれることを意味している。
複数の案件のNPVがプラスになる場合は、最大のNPVをもたらす案件を選択する。
ワンルームマンションへの投資を例にして考えてみよう。
- 物件価格:24000千円
- 取得費用:1200千円
- 賃料収入:1920千円(家賃16万×12:10年間一定とする)
- 営業費用:192千円
- 正味営業収益(NOI):1728千円(賃料収入1920-営業費用192)
- 10年後の物件正味売却価格:19600千円(10年後に売却する想定)
キャッシュインフローは10年間で36,880千円-キャッシュアウトフロー24,000千円になる。
しかし、ここでキャッシュインフローの計算を間違えないでほしい。
まず、キャッシュインフローを現在価値に換算し直す必要がる。
なぜなら、すべて将来価値になっているからだ。
つまり、割引率を適用して導き出された数字を用いることになる。
現在価値、将来価値、そして割引率の関係性は以下のとおりだ。
- 現在価値=将来価値×複利原価率
- 複利現価率=1÷(1+割引率)期間
例えば、割引率を年率5%とすると1年後の複利現価率は0.9523806952・・・2年後だと0.907029478・・・
このように計算していくと10年後のキャッシュインフローは約25,380千円。
キャッシュアウトフローは24,000千円。
したがって、NPVは1,380千円だ。
結果、NPV>0になるので、このワンルームマンションには投資できる。
次回は、不動産所得は損益通算ができるけど!?・・・です。
ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。