不動産運用設計2
masa

こんにちは、MSインテグラル・デザイン研究所の斉木です。

前回の投稿「日本の場合、保有資産の46%が土地や固定資産」では、ファイナンシャルプランを考える上で重要なカテゴリーである、不動産とその運用、その特徴とメリット・デメリットについて解説しました。

今回は不動産に投資する際の投資分析のポイントと税金や収益計画のポイントについて解説しましょう。

不動産活用の研究:投資分析

  • 投資判断はNPV(正味現在価値)、IRR(内部収益率)を用いる
  • 不動産の運用収益に係る税金や内容について知る
  • 総収入の金額と計上時期について知る
  • 減価償却と必要経費の内容について知る
  • 賃貸に関する税金の問題点を知る
  • 事業収支計画の考え方を知る
  • 投資判断は会計上ではなく、経済的な利回りで決める
  • TMK、REATの概要を把握し、証券化不動産の特性を知る

不動産の投資対象は実に様々で、大きな括りとしては現物と証券化したものに分類されます。

そして、不動産の投資判断の指標として用いられるものの一つにNPV(正味現在価値)があります。

NPVを用いた投資判断基準は以下のとおりになります。

  • NPV>0 その投資は承認される
  • NPV<0 その投資は承認されない
  • NPV=0 その投資は採算上にある
参考▼

NPVとは、キャッシュインフローの現在価値合計-キャッシュアウトフローの現在価値

この場合注意しなければならないことは、例えNPV=0の場合であってもその投資は承認されるが、NPV<0つまりNPVが負となる投資は承認しないということです。

逆にNPVが負でなければそれは収益をもたらしてくれるということを意味しています。

複数の案件のNPVがプラスになる場合は、最大のNPVをもたらす案件を選択することが重要です。

例えば、ワンルームマンションへの投資を例にとってNPVの計算をしてみましょう。

  • 物件価格:24000千円
  • 取得費用:1200千円
  • 賃料収入:1920千円(家賃16万×12:10年間一定とする)
  • 営業費用:192千円
  • 正味営業収益(NOI):1728千円(賃料収入1920-営業費用192)
  • 10年後の物件正味売却価格:19600千円(10年後に売却する想定)

キャッシュインフローは10年間で36,880千円-キャッシュアウトフロー24,000千円になりますが、ここで間違えてはいけないのがキャッシュインフローの計算です。

キャッシュインフローはすべて将来価値なので、現在価値に換算し直す必要があります。

つまり割引率を適用して導き出された数字を用いなければいけないということです。

現在価値、将来価値、そして割引率の関係性は以下のとおりです。

  • 現在価値=将来価値×複利原価率
  • 複利現価率=1÷(1+割引率)期間

例えば割引率を年率5%とすると1年後の複利現価率は0.9523806952・・・・

2年後だと0.907029478・・・・・このように計算していくと10年後のキャッシュインフローは約25,380千円、キャッシュアウトフローは24,000千円ですからNPVは1,380千円ということになりNPV>0という結果になるのでこのワンルームマンションは投資できるということになります。

不動産の収益に係る税金

不動産の運用収益は賃料が一般的ですが、法人の場合は益金として所得税、住民税、事業税が課されます。

個人の場合は必要経費を控除した上で所得税、住民税が課せられるほか、それが事業規模である場合は事業税も課されます。

また住宅以外の家賃収入は消費税及び地方消費税の課税対象になります。

そして不動産所得は事業所得や給与所得と合計し総所得なりあす。

不動産所得が赤字の場合は他の黒字所得と損益通算が可能です。

個人の所得における不動産所得とは貸付、不動産の上に存在する権利の貸付や設定、船舶、航空機など資産の貸付によるものですが、資産の貸付のうちで区分の難しいものがあります。

例えば商品ケース貸し、ネオンサインや広告看板の使用料の収入は何だと思いますか?

実はこれらも不動産所得なんです。

不動産業者の棚卸資産の一時貸付によるものや事業主が従業員に貸しつけた寄宿舎の賃料、下宿などのように食事供給を伴う場合はどうでしょうか?

これは事業所得に該当します。

敷金の運用益は利子所得になり、権利の貸付、設定の対価として受け取った一時金は不動産所得または譲渡所得に該当します。

このように一口に所得と言っても色々と種類があるわけです。

不動産所得は損益通算ができるため赤字の場合は税額を少なくすることが出来ますが、幾つかの規制があります。

一つ目は損失金額が土地を取得するための借入金利子の額より多い場合は土地代の利子分は損益通算できません。

二つ目は、損失金額より、土地代利子分のほうが多い場合は損益通算が出来ません。

このように土地代利子分の損益通算が規制されているため、実際に損益通算するためには土地代利子分を確定するため土地代と建物代を区分する必要があります。

分譲マンションの場合は消費税額から建物代を割り出すことが出来ます。

土地建物を一括して借入により取得した場合、通常は区分されていませんので、その場合は借入金をまず建物代に充当し、残りを土地代に充当することが認められています。

減価償却

減価償却は支出と連動するものではないため、収支計画や税務対策などの重要なポイントとなっています。

減価償却資産の償却方法には、「定額法」と「定率法」の2つがあります。

どちら方法を選択するかを確定申告書の提出期限までに所轄の税務署に届け出なければなりません。

届け出がない場合は、定額法になります。

ただし、法人の場合、平成10年4月1日以前に取得した建物は定率法になります。

もし、現時点で採用している方法を変更するときには、個人の場合はその年の3月15日まで、法人の場合は、事業年度の開始の日の前日までに、変更の申請書を提出して、所轄税務署の承認を得なければなりません。

ただし、相当期間(3年)を経過していない場合や所得計算が適正に行われ難いと判断された場合には償却方法の変更が認められないこともあります。

年又は事業年度の途中の場合は上記算式によっての金額の12分の該当月数になります。

参考▼

耐用年数については国税庁のサイトを御覧ください。

中古物件の場合は合理的に見積もった耐用年数によりますが、見積もりが困難なときは、簡便法による耐用年数が認められています。

簡便法では、法定耐用年数を全部経過したものは、(法定耐用年数)×20/100、一部残っている場合は、(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数)×20/100という計算式になります。

またサービス付き高齢者向け住宅を新築又は取得した場合は、賃貸した日から5年間、通常の減価償却費の割増償却が認められます。

耐用年数35年未満のものは28%、35年以上のものは40%ということになっております。(国土交通省参考資料

その他

不動産の賃貸等の業務をはじめて行う場合は、業務開始までの期間に支払った利子は、必要経費ではなく、建物等の取得価格に算入し、その建物の減価償却の対象とされます。

そして業務開始後の利子に関しては、全額必要経費に算入します。

税金

支払った税金のうち必要経費となるものは、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税、事業税、利子税です。

地代・家賃

借地上の建物を賃貸したり、建物を転貸しする場合に支払った地代・家賃は、必要経費になります。

ただし、生計を共にする親族に支払う地代・家賃は必要経費になりません。

法人が支払った賃貸したは損金になります。

給料など

管理などに従事したものに支払った給料などは必要経費になります。

ただし生計を共にする親族に支払う給料などは貸付が事業として行われている場合に限り必要経費になります。

立ち退き料

原則として必要経費になります。

ただし、不動産譲渡に際しての立ち退き料は、譲渡費用になり、取得の時に支払う立ち退き料は不動産取得価額となります。

その他

火災保険料、修繕費、維持管理費、広告宣伝費などがあります。

大規模な修繕は減価償却の対象となり、必要経費や損金にはなりません。

事業的規模での貸付

この場合、生計を一にする親族に対する給料も必要経費になる他、固定資産の損失も全額必要経費として認められます。

事業的規模でない場合は、損失額控除前の不動産所得の金額までとされています。

また事業規模に該当する場合は、青色申告特別控除(65万)も受けられるようになります。

事業的規模かどうかの実質基準は、建物・土地ともに収入状況、管理状況によって判断されます。

形式基準としては、建物場合、「5棟10室」基準によって判断されます。

土地の場合の形式基準は建物の貸付に相当する土地の貸付件数を「概ね5」として判断します。

参考▼

例えば、貸室8と貸地10件を有する場合、8室+10件÷5=10室という解釈になります。

平均課税

変動所得や臨時所得がある人は、平均課税にによって計算することになっています。

臨時所得の定義は3年以上の期間、他人に貸し付けることにより、一時に受け取る権利金等で、使用料年額の2倍以上のものです。詳細は国税庁サイトをご参照ください

事業税

事業税とは事業を行う法人または、第一種・第二種、または第三種事業を行う個人を納税義務者とする都道府県税。

法人の所得は全て事業税の対象となります。

個人事業税の課税対象となる不動産貸付業者または駐車場は、貸付規模が基準となります。

詳細はタックスプランのコーナーをご参照ください。

税率

個人事業税において、不動産貸付・駐車場業、不動産売買業は第一種事業に分類され、標準税率は5%です。

ただし、課税標準の計算において事業所得から事業主控除の290万円を控除することが出来ます。

これに対し法人事業の税率は業種別に分類されていません。

詳細はタックスプランのコーナーをご参照ください。

次回は、不動産事業の収支計画の立て方について解説しましょう。

ではまた。。

ご相談・お問合せ

ライフデザイン、キャリアデザイン、キャッシュフローの改善・創造、ビジネスに関するご相談を承ります。
お気軽にお問合せください。

MSID研究所