わずか3.8%の宅地に70%近くが集中している不動産市場

今日は不動産の特徴と不動産を運用する上でのメリット・デメリット、効率的な資産バランスと不動産の関係、不動産キャッシュフローの特徴などについてです。

不動産をロスなく活用する

不動産を運用する際には、まずその特性を理解する必要がある。

まず、不動産市場の仕組みを見ていくことにしょう。

  • 預貯金や有価証券とは異なり、不動産独自の特性を持っている。
  • 不動産は個別性の強い資産で、類似したものはあるが同じものはない。
  • 時間と環境の変化に伴って価値が変動する。

以上が不動産を運用する際に最低限知っておいたほうがいいことだ。

土地の意味と市場構造

  • 都市として定められているのは国土の27%。
  • 宅地として利用できる土地はわずか3.8%。
  • そこに69%の人口が集中している。

これが日本の宅地の現状だ。

さらに、国民共通の貴重な資産であるとする考えが根底にあり、それに私的所有権が認められている形になる。

したがって、所有・使用するにあたって、いろいろな規制が課せられている。

  • 国土利用計画法・都市計画法・建築基準法などの規制。
  • 自分の所有地だからと云って自由に取引や利用ができない。

つまり、これら法的規制の内容についても把握しておく必要があるだろう。

権利関係が複雑な一物多価の資産

もう1つの特長は、複雑な権利関係が成立するところだ。

例えば、Aが所有する土地にBの借地権が設定され、その借地上のBが所有する建物にCの賃借権とDの抵当権を設定することができる。

これは特殊なケースではなく、ごく当たり前に行われている。

このように、複数の権利を同時に存在させることができてしまうのが不動産だ。

その権利関係を把握する

不動産取引は契約によって行われるのが一般的だ。

そして、その取引は高額になる。

したがって、権利法規などの知識も必要になってくる。

また、その価格が適正なのか、その判断基準も重要な要素だ。

ところが、極めて個別性が強い資産なので、適正価格を把握するのは難しい。

その価格が何種類も存在するからだ。

計算の基礎となる価格

不動産は取得・保有・譲渡などさまざまな局面で税金が課される。

計算の基礎となる価格にもいくつかの種類がある。

ということで、不動産価格についての基礎知識も必要になってくる。

不動産の影響力

個人が資産を形成する上で不動産が重要な役割を果たしているのは言うまでもない。

また、不動産は日本経済にも大きく影響している。

例えば、人生一度きりの高額な買い物となれば、一生懸命に働いて、お金を貯金したり、運用したりもするだろう。

マイホームを即金で買う人はまれなので、大概は多額の借金をして長い期間かけて利息も含めて返済していく。

購入時4,000万円の物件を維持するために8,000万円支払ようなイメージだ。

それが経済が活性化する一因にもなるというわけだ。

別な言い方をすれば、他の誰かのために余計に4,000万円支払っているとも言える。

個人の資産形成

不動産が投資対象として頻繁に利用されることは、よく知られている。

その方法は大きく3つに分かれる。

  1. 賃料収入を得る。
  2. 直接投資する。
  3. 証券化したREITなどに投資する。

このように資産形成の手段として用いられているケースは多い。

また、日本の資産家と言われる人たちの資産内容を見てみると不動産が中心だ。

相続税の際に課税された資産のうちの5割近くが不動産、ということからしてもあきらかだ。(平成25年度の国税庁統計)

※相続税の納付額、相続の件数とも3大都市圏が圧倒的多数

ちょっとブレイクスルー

投資の基本は、収益性・安全性・流動性の3つの要素に優れた資産で運用するのがベストだ。

しかし、この3つを兼ね備えたもは現時点においてない。

したがって、複数の資産に分散して運用する方法がスタンダードだ。

例えば、財産三分法といわれる運用法がポートフォリオの基本とされ、貯金・有価証券・不動産に適性配分することが重要だとされてきた。

しかし、貯金と有価証券は上位概念において同じカテゴリーになる。

つまり、どちらもペーパーアセットに他ならない。

要するにペーパーアセットと不動産に配分するというカタチになる。

これを分散投資と言えるだろうか?

そこにはコモディティもオプションも為替取引も欠落している。

最も利益を生み出す可能性のあるビジネスも抜け落ちている。

つまり、既にほとんど使い物にならない考え方だ。

実は、世界の名だたる資産家は例外なくビジネスを所有している。

  1. ビジネスでキャッシュフローを生み出す。
  2. そのキャッシュフローをビジネスに再投資。
  3. キャッシュフローを更に増やす。

世界の名だたる資産家はこうした仕組みづくりに長けている。

残念ながら日本の資産家はお金の流れを生み出すことに疎い。

その根拠は、、、、、

  • 資産の5割が不動産。
  • お金の流れを生み出す教育を受けていない。
  • 終身雇用制度などの影響で起業が敬遠されてきた。
参考▼

金融資産運用については「マネープランコーチングのガイダンス」、キャッシュフローについては「キャッシュフローを無限に創り出すプロセスをデザインする」、ビジネスについては「キャリアデザインの質が変わる・・」や「ビジネスコーチング」を参考にしてください。

不動産投資のメリット、デメリット

不動産投資の旨味はインカムゲインとキャピタルゲインの2つを享受できるところだ。

もちろん、その分リスクも伴う。

つまり、不動産投資には最初から2つのリスクが存在しているということだ。

不動産投資のメリット

土地神話の崩壊によって収益性の判断が難しくなったとはいえ不動産には次の強みがある。

  • 価格や賃料は物価との連動性があるのでインフレに対する回避性が高い。
  • 実物資産であるため、それ自体の利用価値がある。
  • 登記による公示制度が整備されていることなどから、比較的安全性も高い。

不動産投資のデメリット

流動性に乏しい

不動産を換金する際には、不動産業者に仲介を依頼して売買を行うのが一般的だ。

したがって、換金までに数カ月かかるケースも多い。

多額の投資が必要で回収までに時間もかかる

青空駐車場のような暫定的な土地の利用は別として、不動産事業は多額の投資が必要だ。

また、回収には長期間を要し、建物の構造や用途によっては数十年に及ぶ事業になる。

したがって、目先の収益性に目を奪われず、長期展望にたった見極めが必要だ。

転用コストが莫大

また、他の投資商品と比較して不動産の転用コストは莫大だ。

例えば、オフィスビルで失敗したから、マンションに建て替えようとしても、多額の資金を必要とするため現実的には難しい。

したがって、まず最初に運用の方向性を慎重に判断しなければならない。

他に考えられること

不動産には固定資産税や都市計画税などの保有コストもかかる。

不動産からの収益がなくても、その費用が軽減されることはない。

つまり、資産価値に応じた適切な活用ができなければ、保有し続けることすら困難になってくる。

なお、不動産と税金の関係については「タックスプランの記事一覧」を参考にしてほしい。

不動産投資とアセットクラス

土地、現金・預金、株式・債券、建物など同じような収益率やリスクを持つグループをアセットクラスと呼んでいる。

投資とは「キャピタルゲイン」や「インカムゲイン」を得るためにアセットクラスを取得する行為のことだとも言える。

こうした資産クラスの組み合わせのことをアセットアロケーションと呼んでいる。

例えば、日本の場合、保有資産の46%が土地や固定資産で、そこに現金・預金を加えると84%にもなる。

注意点▼

平成25年度の国民経済計算を見てみると日本の家計は2600兆円の資産を保有している。その内の33%が現金・預金で、土地が25%、保険・年金準備金が16%、固定資産が13%、株式や債券などの証券が10%という内訳。

相続税の課税対象者を見ると、それが顕著に現れているのだ。

だからどうしても高齢者になると不動産の占める割合が大きくなっている。

土地が 42%で家屋が5%、土地と家屋だけで47%を占めている。

これに現金・預金の26%を合わせると73%まで跳ね上がる。

なお、この数値は資産家と呼ばれている人たちに限定したものだ。

実際に相続税が発生するのは全体の 4.3%(平成25年現在)程度に留まるからだ。

このデータからも日本の資産家は、不動産によって資産を形成してきたことがわかる。

一般家庭では、土地の割合は年々低下している。

つまり、保有資産が多様化している傾向がある。

ということは、効率的な資産バランスの考え方も変化しているということだ。

次回は「効率的な資産バランスと不動産投資!?」についてです。

ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。

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