不動産投資

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前回は「不動産の証券化で使われる器、SPVを設立する時のポイント」について解説しました。今回は、主に不動産の価格やその種類、価格形成の要因、不動産の鑑定評価の概要などについて解説します。[/char

不動産価格を決定づけている要因とは?

不動産鑑定評価基準においては、不動産の価格は一般に、

  1. その不動産に対してわれわれが認める効用
  2. その不動産の相対的希少性
  3. その不動産の有効需要

上記の3つの相関結合によって生ずる不動産の経済価値を貨幣額をもって表示したものと定義されています。

「効用」とは、辞書を引くと、「自己の消費する財から受ける満足の度合いを数量的に表現したもの。」と書かれています。

つまり、私たちの欲求を満たしているかどうかの判断基準、日常生活や経済活動などに役立っているかどうかを表すものです。

その不動産にこのような効用がなければ、経済的価値は生まれません。

また、不動産が需要と供給のバランスを保っていなければ経済価値は発生しません。

なぜなら、その不動産に相対的希少性(有限)がなければ、誰も対価を払ってまで所有しようとは考えないからです。

そして、大前提としてそこに購買力のある買い手の存在(需要)がなければ市場は成り立ちません。

土地の特性を知る

土地は他の財産と違って、次のような固有の特性をもっています。

図表4-1

土地の特性
(1)自然的特徴

固定点・硬直点

①地理的位置の固定性
②不動性(非移動性)
③永続性(不変性)
④不増性
⑤個別性(非同質性・非代替性)
(2)人文的特性

可変的・伸縮的

①用途の多様性(用途の競合、転換及び併存の可能性)
②併合及び分割の可能性
③社会的及び経済的位置の可変性

図表4-1の(1)自然的特性とは、土地自体に内在する特性のことです。

(1)④不増性とは、土地全体の面積はほとんど増加も減少もしない。ただし用途別の土地の面積は増減する。

(1)⑤個別性とは、個々に区画された土地は、少なくとも地理的位置が同一のものはないということ。

したがって、大量生産が可能な他の商品とは異なるものだということです。

その意味において、個別の土地は非同質性、非代替性をもっているということが言えます。

しかしながら、土地が取引の対象とされるときには、用途、位置、地積、環境などの条件が類似している土地同士間では代替性が認めらます。

そのため、鑑定評価において類似の土地に係る事例を用いた手法を用いることが可能になってくるというわけです。

(2)人文的特性とは、人間がいろいろな働きかけをすることによって、人間と土地との間に生じてくる特性です。

(2)①の用途の多様性とは、土地はさまざまの用途に活用することができるので多用性があるといえます。

しかも、特定の土地について云えば、商業地と住宅地の競合、農地から住宅地への転換、店舗付マンションのように住宅と店舗の併存などのの可能性が考えられます。

不動産の地域性と特性について

(1)不動産の地域性

まず不動産の地域性についてですが、個々の不動産は、独立して機能し存在するものではなく、通常は地質、地盤、地勢、気象等の自然的条件に影響されます。

また、都心との距離、交通施設の状態、住宅・生垣・街路修景等の街並みの状態、行政区域などを共通にすることによってある地域を構成し、またその地域に所属しています。

したがって、不動産と地域、不動産と同一地域内の他の不動産との間に相互関係が生じます。

その相互関係を通じて、その不動産の社会的、経済的な効果が発揮されるのが不動産の地域性です。

(2)地域分析

個々の不動産は他の不動産とともに地域を形成していますが、このような地域にはその規模、構成の内容、機能等に従って○○川流域、○○通り商店街といった各種のものが認められます。

なお、ある不動産の属している地域は必ずしも1つに限定されるものではなく、その不動産は、ある地域に属していると同時に、異なった観点からみた場合、1または2以上の他の地域に幾重にもかさなって属しています。

それらの地域は、いずれも地域特性があるとともに、他の地域と相互関係にあり、この相互関係を通じてその社会的、経済的位置を決定づけています。

したがって、不動産が属する地域特性や市場特性などを分析し、明らかにする作業が、不動産の鑑定評価にとって非常に重要になってくるわけです。

不動産の種類について

不動産の種類とは、不動産の種別や類型の2面からなる複合的な不動産の概念です。

不動産の種別とは、不動産の用途に関しての区分です。

不動産の類型とはその有形的利用、権利関係の態様に応じた区分です。

たとえば、

(1)地域の種別

宅地地域、農地地域、林地地域等に分けられます。

(2)土地の種別

宅地、農地、林地、見込地、移行地等に分類されます。

(3)不動産の類型

①宅地の類型

更地、建付地、借地権、底地、区分地上権等に分けられます。

a)更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地のことです。

b)建付地とは、建物等の用に供されている敷地で建物等及びその敷地が同一の所有者に属している宅地のことです。

c)借地権とは借地借家法(廃止前の借地法を含む)に基づく借地権(建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権)のことです。

d)底地とは、宅地について借地権の付肴している場合における当該宅地の所有権です。

e)区分地上権とは、工作物を所有するため、地下または空間に上下の範囲を定めて設定された地上権です。

②建物及びその敷地の類型

自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地、借地権付建物、区分所有建物及びその敷地等に分けられます。

a)自用の建物及び敷地とは、建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であり、その所有者による使用収益を制約する権利の付着していない場合における当該建物及びその敷地のことです。

b)貸家及びその敷地とは、建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であるが、建物が賃貸借に供されている場合における当該建物及びその敷地のことです。

c)借地権付建物とは、借地権を権原とする建物が存する場合における当該建物及び借地権のことです。

d)区分所有建物及びその敷地とは、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分並びに当該専有部分に係る同条第4項に規定する共用部分の共有持分及び同条第6項に規定する敷地利用権のことです。

不動産の価格を形成する要因について

不動産の価格を形成する要因とは、不動産の効用や相対的希少性、不動産の有効需要に影響を与える要因のことです。

不動産の価格は、多数の要因の相互作用の結果として形成されるものです。

そしてその要因自体も常に変動する傾向を持っています。

したがって、不動産の鑑定評価を行うにあたっては、不動産の価格を形成する要因を明確に把握し、かつ、その推移や動向、諸要因間の相互関係を十分に分析して、その影響を判定する必要があります。

なお、価格形成要因は(1)一般的要因、(2)地域要因、(3)個別的要因の3つです。

(1)一般的要因

一般経済社会における不動産のあり方やその価格の水準に影響を与える要因のことで、さらに自然的要因、社会的要因、経済的要因、そして行政的要因に大きく別れます。

(2)地域要因

一般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能等にわたる各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因のことをいいます。

(3)個別的要因

個別的要因は、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因のことです。

不動産の価格に関する諸原則について

不動産の価格は、不動産の効用や相対的希少性、そして不動産に対する有効需要に影響を与える諸要因の相互作用によって形成されることは先に申し上げましたが、その形成の過程において基本的な法則性を認めることができます。

これらの法則性は価格形成という経済現象のなかで見出されるものです。

いずれも一般の経済法則に基礎を置くものですが、鑑定評価の指針として用いられるものなので、鑑定評価の立場からこれらを捉え、表現したものということになります。

具体的には、

①需要と供給の原則、

②変動の原則、

③代替の原則(代替性を有する財の価格は相互に影響する)、

④最有効使用の原則(不動産の価格は最有効使用を前提に形成される)、

⑤均衡の原則(構成要素の均衡により最有効となる)、

⑥収益逓増及び逓減の原則(追加投資の判断)、

⑦収益配分の原則(収益は資本・労働・経営・土地に配分される)、

③寄与の原則、

⑨適合の原則(周囲の環境との適合により最有効となる)、

⑩競争の原則、

⑪予浪1の原則があり、相互に関連している。

ということです。

公的土地評価について

土地面格の種類

土地については、公的な価格がそれぞれの目的に応じて設けられています。

  • 国土交通省土地鑑定委員会が公表する「公示価格」
  • 都道府県知事が公表する「基準地標準価格」

上記2つが一般的な価格指標として公開されています。

その他には、

  • 相続税評価に用いられる「相続税路線価」
  • 固定資産税等の課税標準のもととなる「固定資産税評価額」

土地価格には、以上の公示価格・基準地標準価格、相続税路線価、固定資産税評価額に実際の売買実例より推定される実勢価格を加えて四種類の価格があるとされています。

図表4‐2 公的土地評価の比較一覧表

公示価格 基準地標準価格 相続税路線価 固定資産税評価額
評価

目的
①一般の土地取引の指標
②公共事業の適正補償金の算定基準
③毎年公示(毎年1月1日時点)
①国土利用計画法による土地取引の適正かつ円滑な実施
②一般の土地取引の指標
③毎年公表(毎年7月1日時点)
①相続税、贈与税、地価税課税のため
②毎年評価替え(毎年1月1日時点)
①固定資産税等課税のため
②3年に1度評価替え
評価
方法
標準地について2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、国土交通省に設置された土地鑑定委員会がその結果を審判し必要な調整を行って正常な価格を評定し公示 基準地について、都道府県知事が、1人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、知事がその結果を審査し、必要な調整を行って公表 市街地的形態を形成する地域において公示価格、精通者意見価格、売買事例価格等をもとに、国税局長が各路線、各地域のバランスをとって路線価を評定 売買事例価格から求める正常売買価格をもととして適正な時価を求め、これに基づき評価額を算定し、市町村長が固定資産課税台帳等に登録
評価割合は公示価格の8割程度(平成6年分より) 評価割合は公示価格の7割程度(平成6年
分より)
価格

定義
地価公示法第2条第1項「土地鑑定委員会は、……一定の基準日における標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、これを公示する」 国土利用計画法施行令第9条第1項「都道府県知事は、一定の基準日における当該画地の単価面積当たりの標準価格を判定するものとする」 相続税法第22条「相続、遺贈または贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による」 地方税法第341条第5号「価格適正な時価をいう」

公示価格、基準地標準価格の調査方法

公示価格、基準地標準価格の性格等については上記図表4-2のとおりです。

国土交通省の土地鑑定委員会では、標準地の毎年1月1日現在の価格(公示価格)を3月下旬の官報に公示しています。

基準地標準価格については、毎年9月下旬に公報として発表されますが、各市町村の担当課でも閲覧できます。

参考▼

なお、国土交通省のホームページ(土地総合情報ライブラリー)で、全国の公示価格と基準地標準価格が公開されていますので参考にしてください。

標準地の概要の記載例を以下の図表4-3に示します。

図表4‐3 標準地(住宅地)の概要(例)

(1)
標準地番号
(2)
標準地の所在及び地番並びに住居表示
(3)
標準地のlm2当たりの価格(円)
(4)
標準値の地積(㎡)
(5)
標準地の形状
(6)
標準地の利用の現況
横浜○○-12 ○○台1丁目××番△2 400,000 280 1:1:2 宅住W2
(7)
標準地の周辺の土地利用の現況
(8)
標準地の前面道路の状況
(9)
標準地についての水道、ガス供給施設及び下水道の整備の状況
(10)
標準地の鉄道その他の主要な交通施設との接近の状況
(11)
標準地に係る都市計画法その他法令の制限で主要なもの
中規模の一般住宅が多い区画整然とした住宅地域 南6.5m樋市道 水道、ガス、下水 ○○台620m 1低専(40、60)

一般的な土地評価のプロセスについて

ー般の人は土地の売買にあたってどのような方法でその土地価格を把握しているのでしょうか。

恐らく売買の対象となる土地の周辺で土地の売買(取引)の事例がないかを調べることでしょう。

そして事例があれば、どこで、いつごろ、いくらで取引されたかなどを知ることができます。

もし、取引事例がない場合は、売り希望価格や買い希望価格から取引価格の見当をつけようとするでしょう。

このようなプロセスが一般的な方法であり、土地評価の基本的な形だといえます。

取引事例の価格を基準にして、取引事例と対象地との条件等を比較し、それに両者の取引時点での地価の変動を考慮して、対象地の価格を求めることになります。

このプロセスは最も重要な部分になるので、専門的な知識も必要とされることから、実際には専門家に依頼することも多いはずです。

以上の基本型を簡易な式で示すとすると、例えば次のようになります。

取引事例地の売買価格×時点修正率×対象地の条件/取引事例地の条件=対象地の価格

公示価格等の利用方法

(1)公示価格の利用

取引事例の価格は、それぞれの特殊な要因を含んでいることも多い。

例えば、売主については資金繰りに追われてやむなく相場に比べて安く売ったかもしれない。

また買主については営業上の利便性のためどうしてもその土地が必要であり、割高を承知で購入したかもしれないのである。

このような事情があるため、一つの取引事例だけから価格を求めるのではなく、数多くの取引事例を集めて、これらの価格と比較して取引のための価格を求めることになる。

しかし、一般の人が数多くの事例を集めることは簡単ではない。

そこで、こういう場合に取引事例に代えて、「一般の土地取引の指標」となるものとして、公示価格が設けられている。

公示価格を用いて対象地の価格を求める簡易な式は次のようになる。

公示地(標準地)の公示価格×時点修正率×対象地の条件/公示地の条件=対象地の価格

例) 公示価格210,000円/㎡ ×時点修正率 103%×要因比較90※2/100≒ 対象地の価格195,000円/㎡

注意点▼

※1 :1月1日(公示価格の基準日)以後価格時点まで3%の地価上昇と判断した場合
※2 :公示地を基準として対象地の要因が10%劣ると判断した場合

 

さいごに▼

(2)基準地標準価機の利用

都道府県地価調査の基準地は地価公示の標準地(以下「公示地」という)と同じような性格であり、公示地の不足地点と調査時点を補う性格のものである。

公示価格は毎年1月1日の価格が公表されるが、基準地標準価格は毎年7月1日時点のものである。

基準地は原則として公示地の設定されていない地域に設定されるのであるが、公示価格の価格時点からの地価変動(半年間)を示すために、公示地と同一地点が基準地として設定される場合もある。

公示価格は国土交通省土地鑑定委員会、基準地標準価格は各都道府県知事の所管となっているが、両者は評価の仕方も類似しており、互いに均衡がとれるように決定されています。

したがって、基準値標準価格は公示価格と同様「一般の土地取引の指標」などとして活用できます。

ではまた。

 

この投稿はNPO法人日本FP協会CFPカリキュラムに沿って記述しています。

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