住まいに関するリスクを火災保険や地震保険によってカバーする、というのが一般的な方法だろう。
その対象は、建物と家財に大分される。
建物と家財の両方、あるいはいずれか一方だけを保険契約の対象とすることもできる
それでは、火災保険を中心に保険設計のポイントを解説していこう。
どの保険を選択すればいいのか?
火災保険にはさまざまな種類がある。
火災保険の違いを極簡単に表すと以下のようになる。
利用状況 | 補償範囲 | |
比較的狭い | 比較的広い | |
住居のみに利用 | 住宅火災保険 |
|
住居以外の目的でも利用 | 普通火災保険 | 店舗総合保険など |
つまり、目的物件の利用状況によって、どの保険に加入できるか決まっているということだ。
住居目的がメインであっても一部を事務所や店舗として使用していれば、住宅火災保険には加入できず、保険料も異なってくる。(保険料率が違う)
いずれの場合も、補償範囲の狭い保険か、補償範囲の広い保険か、その選択は自由だ。
補償範囲が広いの保険の方が、保険料が高いということは言うまでもないだろう。
損害保険商品自由化により、各社独自の保険商品が開発され保険料もそれぞれ違う。
したがって、火災保険に加入する際はいくつかの保険会社を比較検討するといいだろう。
また、ネットの保険比較サイトを活用してもいいと思う。
※企業物件については、割安に加入できる場合(ブランケット、デビエイトなど)もあるので各保険会社に打診してみるといい。
契約する際のポイント
保険の対象にならないもの
建物の保険に加入したからといって家財も自動的に補償されるわけではない。
したがって、家財の補償も必要な場合は、家財についても契約する必要がある。
ただし、家財として認められないものがあるので注意してほしい。
図に表すと以下のようになる。
A | 通貨、有価証券、預貯金証書、印紙、切手など |
B | 稿本、設計図、図案、証書、帳簿その他これらに類する物 |
C | 貴金属、宝玉および宝石並びに書画、骨とう、彫刻物その他の美術品で、1個または1組の価額が30万円をこえる物 |
D | 自動車 |
しかし、保険証券に明記すれば補償の対象にすることができる物もある。
住宅火災保険の場合は上記全てが可能で、住宅総合保険の場合はBとCがこれにあたる。
価額協定保険特約
現在の建物や家財と同程度のものを新たに購入できるだけの保険金額を設定したいなら、価額協定保険特約を付ければいい。
保険料負担も増えるが、比例填補(ひれいてんぽ)の心配もなくなる。
価額協定保険特約を付けない場合は、保険金額を設定する際に気をつけてほしい。
保険金が支払われないことがある。
- 建物の構造や用途を変更し、変更後の保険料が変更前の保険料よりも高くなる場合
- 家財を他の建物に移転した場合
- 建物や家財を譲渡した場合
- 建物を引き続き15日以上にわたって修繕する場合(普通火災保険、店舗総合保険の場合)
これらのことが発生し、それを保険会社に通知しなかった場合、保険金が支払われないことがあるので注意してほしい。
その他のポイント
地震保険
地震保険は限度額が定められている。
具体的には、火災保険金額の30%~50%の範囲内、かつ建物は5000万円、家財は1000万円が上限となっている。
これ以上の損失が出た場合、自己負担しなければならない。
したがって、地震・津波・噴火などによる被害に備えた資金計画を立てておく必要があるだろう。
住宅金融支援機構特約火災保険(旧住宅金融公庫特約火災保険)
住宅金融公庫特約火災保険には、家財の補償が含まれていないので注意してほしい。
家財については別途一般の火災保険を付ける必要がある。
もっと懸念されることのは、旧住宅金融公庫特約火災保険は、保険金額の設定が不適切だということだ。
つまり、一部保険になっている場合があるということだ。
その場合、適切な保険金が支払われない恐れがあるので注意してほしい。
ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。