ライフプランニング

ライフプランには、現在の収支把握と将来のライフイベントを金銭換算してシミュレーションする狭義のライフプランと、できるだけ多くの要因を加味してプランニングしていく広義のライフプランがある。

紛らわしいので、前者をライフプラン、後者をライフデザインとさせていただく。

例えば、保険セールスなどで用いられているものは狭義のライフプランに該当する。

今回は、一般的なライフプランで欠落しがちな事柄などについても触れていきたいと思う。

ライフプランを考える際の参考にしていただけたら幸いだ。

ライフデザインについて

私たちは、生活に適した環境づくりを始め、それに伴った経済的な裏付けを確立していかなければ、生きていくことができません。

そして、そのプロセスにおいて多くの悩みや問題等が発生し、それらを解決したり、乗り越えたりしながら暮らしています。

また、私たちはそれぞれ異なる体質を持って誕生し、成長プロセスにおいて類似性(経験や体験)が蓄積され、それらを基本に個々の人生が形成されていきます。

別の言い方をすれば、自立し、成熟し、老後を迎え、それまでに蓄積した資産や経験を後世へ継承していくというオーソドックスな流れがあります。

私たちは皆、そうした流れの中で、個々の素質や類似性に基づく価値観を形成し、その価値観に基づき目的や夢を実現していこうと努力します。

まず、その目的や夢を達成するための正しい手順からお話したいと思います。

最初に「将来に目を向ける」とするガイダンスもありますが、このアプローチはあまり好ましい手順ではありません。

鈴木一郎選手のように将来を明確に、それが現実であるかのごとく描ける人は稀だからです。

ですから、将来を明確にする作業から入ってしまうと、ほとんどの人が路頭に迷うことになります。

これは、2,500例以上に及ぶライフデザインに携わってきた私の経験からも言えることです。

最初に私たちが自分に問わなければならないことは、それは「自分の人生に望まないこと」です。

ライフデザインの目的とは?

想像してみてください。

まず、あなたの人生に望まないことは何でしょうか?

あなたの人生に望むことは何でしょうか?

あなたにとって理想の一日とは、どのようなものでしょうか?

あなたの性格にはどのような特徴があるでしょうか?

あなたは、このようなことに関してじっくりと考えたことがあるでしょうか?

ライフデザインとは富の最大化を設計すること

あなたが人生に望まないことは何でしたか?

多少の違いはあっても人生に望まないこと、というのはだいたい皆似通っています。

それから、あなたの人生に望むことは何だったでしょうか?

例えば、それが「豊かさ」だとするなら、ライフデザインの目的は、その「豊かさ」を最大化することだといえます。

あなたが、ライフスタイルをどう考えるかは自由ですが、それは、あなたの思考プロセスにどのような傾向があるのかによって大きく異なります。

その思考プロセスは、どんなことを学び、何を所有し、誰と一緒にいるか、どんな仕事をしていくのか、などの環境に大きく依存しているといえます。

つまり、あなたの今の価値観は、素質や類似性(過去の経験や体験)によって形成されたものだということです。

したがって、自分の人生において何に価値を見出し、何を選択するかは、その人の素質や類似性によります。

例えば、老後に田舎暮らしをすることが「人生の幸福」だと考えている人がいるとします。

その人の場合、経済的に豊かになることが主たる目的にはならないでしょう。

ライフスタイルの二重構造を知る

別の言い方をすれば、ライフスタイルというものは、その素質を根底とした類似性に即して構成された部分がベースとなり、その上に自己の意志による部分がオーバーラップして習慣化し、体系化していくものです。

したがって、表層部分(自分が意識できる領域)の情報のみでプランを考えてしまうと、おかしな方向へとプランだけが独り歩きしはじめます。

例えば、、、、、

クライアントの中に、将来キャンピングカーで北海道の各地をめぐりながら生活したい。

という希望をもっていた人がいました。

しかし、ちょっと掘り下げてみたら、そのようなことを何かで知って、ただそのライフスタイルに憧れているだけでした。

彼女はそうしたライフスタイルを、本当は望んでいないのです。

コンサルテーションを始めると直ぐにそうしたことがはっきりします。

参考▼

素質の見極め方について詳しく知りたい方は、「心と体をハイクオリティーな領域へ導く方法とは?」などを参考にしてください。

また、彼女のように、チグハグな希望を自分の信念であるかのように勘違いをして、私のところにくる方は少なくありません。

ライフデザインをきちっと考えていく場合、それが単なる一過性のものではなく、素質とその人が培ってきたことの上に重ねていけるような計画であって欲しいのです。

もちろん、そのための金銭的な確保、或いはお金の流れる仕組みを所有していることが前提となります。

企業に例えるなら、事業計画にあたるのが、ライフプランであり、予算計画・財務計画にあたるものが、ファイナンシャルプランです。

つまり、ライフスタイルに基づいてファイナンス計画を立て包括的にプランを仕上げていくことが重要です。

ところが、実際にはパーツであるはずのファイナンスのみに目が向いている人がほとんどです。

そのことによって、ブームや金融商品の仕組に絡め取られてしまい、人生に余計な問題を作り出している人が後を絶ちません。

なぜ、そのような望ましくないことが頻繁に発生しているのでしょうか?

お金の流れがわかっていないからです。

本来のお金の流れというものを理解していないがために、被害を被ってしまうのです。

キャッシュフロー(お金の流れ)リスク

そもそも将来のキャッシュフローには、プラスとマイナスの変動があります。

他方、事故や病気などでマイナスのキャッシュフローだけを生じるケースもあります。

そして、これらをまとめてキャッシュフローリスクと呼んでいます。

参考▼

キャッシュフロー全般に関しては「キャッシュフローデザイン」を御覧ください。

賃金形態が大きく変化した。

経済が成長している時代、所謂高度成長期などには、企業の賃金推移を参考にして、ある程度の昇給額の見当が付きました。

そこから将来のキャッシュフローが推測でき、年齢に見合った将来設計も可能でした。

しかし、成果主義賃金へシフトされた今日の成熟経済社会では、個人のキャリアはその人の持つ生産能力という形で評価されます。

したがって、キャッシュフローもそれに伴なって変動するようになりました。

しかし、資格取得や教育といった形で自分自身に投資したからといって、その能力が向上することを約束されるわけではありません。

選択した資格や教育が個人の素質や思考プロセスと異なっているものだと、理解することができず、身につかないからです。

確実に能力を向上させ、実際に生産性の高い人材にならなければ、将来のキャッシュフローを増大させることはできません。

そのためには、その個人の素質と類似性に即したアプローチの方法や手順を計画していく必要があります。

そうすることによって、早く確実にその能力を向上させることができます。

労働時間の長短とキャッシュフローはあまり関係がない

また真面目に仕事をしているからといって、それが必ず報われるものでもありません。

真面目かどうかではなく、その時々で生産性の高い存在かどうかが常に問われているからです。

つまり、将来のキャッシュフローは、その個人の能力次第でプラスにもマイナスにも変動する可能性があり、短期的には確実だと思えるものでも、それを中長期的な視点で見るとそうでもない場合もあるということです。

年功序列賃金制度の職場であれば、比較的安定した賃金を受け取ることができます。

しかし、成果主義賃金制度の職場ではキャッシュフローに関する変動性は高いです。

また、それらの企業が永遠に存続する補償はどこにもありません。

3年後に今の勤務先が消滅するということもありえるわけです。

実際に私自身もそのような事態に見舞われ、当初の計画を大きく変えざるを得ない経験をしたことがあります。

したがって、キャッシュフローの変動要素を十分加味して、ライフプランやファイナンシャルプランのシミュレーションを行うだけでは不十分なのです。

成果主義に変容したこの環境下で生き抜くためには、より生産性の高い人材にならなければならないでしょう。

ライフデザインと人的資本評価

あなたの労働能力は将来の収入を生み出す源泉です。

人的資本は労働市場で賃金や雇用条件という形で評価されます。

こういう言い方をすると実にクールに聞こえますがそれが事実です。

年功序列型賃金が主体だった時代には学歴・業種や経験年数、企業ごとの賃金カーブなどでほぼ確定され、安定した資産形成がある程度可能でした。

しかし、成果主義賃金制度が浸透していくにつれ、労働能力によって個々のキャッシュフローは多様になってきたのです。

また、会社組織の不透明性、指示形態の煩雑化に伴い、生産性が減退し、そのことによってプロ集団へのアウトソーシングが増え、やがて会社組織自体が脆弱化して、雇用形態が更に変化していくことも考えられます。

起業家からみた場合、逆にそこに多くのチャンスが生まれる可能性が高いということになります。

起業や副業を試みる相談者が増加しているのも、そのような状況を感じ取っている人達が増えてきたからでしょう。

しかし、残念ながらその動機は実にお粗末もので、起業できたとしても1年も持たないといった感じです。

起業することは非常に簡単ですが、継続することはその何十倍も難しいからです。

起業する方法は教えられても、収益を上げ続け継続する方法を教えられる人が少ないというのも一つの要因でしょう。

参考▼

人的資本の考え方については「ライフサイクルと人的資本を考え合わせて資産運用を考える必用がある」のなかでも解説していますので合わせてご覧ください。

ライフステージごとのポイント

誕生から相続までの人生のプロセスを大きく4つのライフステージに分けるとすると次のような特徴になります。

誕生・成長期

経済的には親に依拠して労働力の形成を行う時期で、このステージでは将来の経済的自立のためファイナンスに関する能力を身に着けることが求められています。

自立・成熟期

自分の資産形成と子供たちの労働能力形成の援助を行う時期で、このステージでは包括的なライフプランを行い、その中で教育資金や住宅資金、金融資産運用、リスクマネジメントの計画を行っていくことが必要になります。

老 後

自分の有形資産+公的年金などでキャッシュフローをカバーする時期で、このステージでは、包括的なリタイアメントプランを行い、老後に見合った金融資産運用、不動産運用、スクマネジメントを行う必用があります。

起業家の場合は、ここにビジネスからの収入が加味されます。

参考▼

老後プラについいてはこちらを参考にしてください。

相 続

自分の資産を次世代へ継承していく時期で、このステージでは、相続や事業承継の設計が必要です。

相続される資産は相続税法に基づき評価され、税引き後の資産が時価評価されて次世代に継承されます。

起業家の場合は、この事業継承の成否によって、キャッシュフローバランスが大きく変わってきます。

 

参考▼

相続に関してはこちらを参考にしてください。日本FP協会サイト:ライフイベントにかかる費用の目安

 

社会的責任

経済の成熟化によって、これまでの一連の制度が不安定化し、直接金融への志向、貯蓄から投資への志向が強まる中で、個人はより一層、明確な自己責任による意思決定を迫られています。

したがって、限られた時間の中で限られた資産とキャッシュフローを適切に配分し、人生設計上の目的を実現していくためには、あなたの選択と意思決定がとても重要になってきます。

同時に個人の金融資産がどのように貯蓄され、投資され、使われるかは国や自治体、あるいは企業に大きな影響を及ぼし、強いては日本経済に大きな影響を及ぼします。

つまり、あなたのファイナンスに関する選択と意思決定には社会的責任があります。

ライフプランとライフデザインの関係

FP理論を理解していない

冒頭でも申し上げましたが、ライフデザインの目的は、個々の価値観に基づく「豊かさ」を最大化することにありますが、人の価値観には経済、文化、道徳、環境などに起因するものやその地域特有の価値などがあります。

つまり、それらをどう評価するかは人によって異なります。

また個人の生き方が多種多様になった現代においては、シングル、ディンクス、共働きファミリーといった形態があります。

就業形態においても会社員、個人事業主のほか派遣社員など多様な働き方があり、転職などの機会も多くなってきています。

こうした個人の生き方を方向付けるものをライフデザインと呼んでおり、「ライフスタイル」もライフデザインにほかなりません。

これに対してライフデザインを具体化したものがライフプラン、つまり生涯の生活環境を整えていく設計図です。

一言でライフプランと云ってもその範囲は実に広く、キャリアプランやファミリープラン、生きがいに関する活動プラン、健康増進や健康管理プラン、ファイナンシャルプランなどが含まれます。

ライフプラン

繰り返しになりますが、この広義のライフプランに対してライフプランを数値化したものがファイナンシャル・プランニングにおける狭義の意味のライフプランということになります。

ファイナンシャルプランナーなどが行っているライフプランは、この狭義のライフプランということになります。

ライフプランを具体的に申し上げますと。。

  • キャリアプランとそれに基づく収入予測。
  • 住宅取得の具体的な数値プラン。
  • 教育資金に関する数値的な計画。
  • 老後資金プラン

などをキャッシュフロー表とバランスシートで表現 していくことが、ファイナンシャル・プランニングにおけるライフプランということになります。

1,リスクマネジメントとライフプラン

リスク=危険!まずこの解釈をやめてください。

リスクはブレ幅のことです。

リスクが大きい、これはブレの幅が大きいということです。

上にも下にも大きく振れるからリスクが大きい、このように解釈してください。

変動リスクはあたり前

個人の収入には不確実性要素があり変動リスクがあります。

また個人の生活には不測の事態、つまり死亡・病気・けがなどの経済的損失のみが生じるリスクもあります。

また運用面においても金融資産や不動産といった運用には投機的リスクも存在します。

したがって、ライフプランニングにおいて、収入、資産運用、死亡・病気といった個人の3つのリスクにわたってリスクマネジメントを行うことが必要不可欠になってきます。

リスクマネジメントには4つの方法がある。

リスクマネジメントには、「リスク回避」「リスク軽減」「リスク保有」「リスク移転」など大きく4つの手法があります。

純粋リスクについては、保険によるリスク移転が考えられます。

その場合、どれくらい保険の手段を活用するかは、

  • 国の社会福祉制度。
  • 社会保障制度による補償内容。
  • 企業福祉(企業年金・弔慰金制度など)

などによる保障内容を把握したうえで検討することがポイントになってきます。

参考▼

リスクマネジメントに関しては、「リスクマネジメントと保険」も合わせてご参照ください。

2,金融資産運用とライフプラン

個人の資産運用つまりライフプランにおける運用のポイントは、

  • 個人のライフプラン上の目標を達成すること。
  • 相続による次世代への資産の移転も考慮すること。

即ち、長期間にわたるライフプラン上の目標達成を目指すことになります。

目標リターンとリスク許容度の設定

資産運用では個々のライフプランに基づいて住宅資金、教育資金、老後資金などのファイナンシャルゴールを数値化して明確にし、それらを達成するために運用が行われます。

人生設計上のファイナンシャルゴールを達成するためには、収入の増大、支出の減少、節約、資産運用の目的リターンの設定、個人のリスク許容度等の要素を総合的に勘案していくことが必要不可欠です。

参考▼

金融資産運用の詳細を知りたい方は「マネープラン」を参考にしてください。

ライフプランとアセットアロケーション

個人資産のアセットアロケーションには、3つのレベルがあります。

1つは、その価値が大きく変動するかの性のある資産であり、長期投資を目的とする債権や株式を中心とする証券ポートフォリオ。

2つ目は、証券ポートフォリオに短期の流動性を確保することを目的とする預貯金も含めたマネーポートフォリオ。

3つ目は、不動産やその他の資産を含めた総資産ポートフォリオです。

日本人の資産構成の6割は不動産で、預金、有価証券と続きます。

地価の変動や低金利などを背景にこうした総資産アセットアロケーションの問題点もさまざまなかたちで生じてきています。

また、不動産は収益性をより重視した運用や証券化といった点が、総資産アセットアロケーションを考える場合に新しい検討材料となっています。

アセットアロケーション構築には十分な分散投資を考慮することが重要で、株式と債券への分散、国際分散、不動産と金融商品への分散、そして時間分散などを総合的に勘案することが重要です。

参考▼

アセットアロケーションについては「分散投資を考えた場合、資産配分によって投資成果が大きく変わる」等のなかで詳しく解説しています。

コストと税金の考慮

投資を行う場合には、金融機関に支払う手数料や税金の負担は無視できません。

個々の運用資産に係る手数料や所得税などの税金について綿密に検討して運用を実行しましょう。

特に譲渡所得や相続などにかかわる税金、証券税制などについて総合的な判断が必要になります。

3,タックスプランニングとライフプラン

ライフプラン上の資金計画において税制に関し複数の選択肢がある場合、いずれの合法的行為を選択するかによって税コストと税引き後のキャッシュフローが異なることがあります。

この場合税引き後のキャッシュフローを最大にする選択を行うことが重要になります。

収入(売上)、支出、資産保有、資産運用、資産譲渡、借入、贈与、相続のそれぞれの場面には必ず税コストの問題が発生します。

それ故にライフプランに基づく包括的なファイナンシャルプランニングを行う上で、タックスプランニングは極めて重要になってきます。

参考▼

タックスプランの詳細を知りたい方は「タックスプラン」を参考にしてください。

まとめ

ライフプランによってあなたの生き方を束縛してはならない。

ライフプランとは、より自由な時間やお金を生みだすためのものであり、ライフデザインを決めつけるためのものではないからだ。

そして、それは、実現可能なことに基づいて作成されているものでなくてはならない。

シミュレーションだけで終わっては全く意味がない。

そのためには、自分の人生に望まないことや本当に欲しているものを明確にしつつ、今実行可能なレベルまで細分化して落とし込んでいく必要がある。

実践していく事柄を明確にしないまま、安易にライフプランの作成を行ってはいけない。

ライフデザインは、どんなことを学び、何を所有するか、誰と一緒にいるか、どんな仕事をしていくのか、などの環境に大きく依存していると言える。

雇用形態や賃金形態の変化、個人に対する資産価値評価の変化、こうした環境変化にスピーディーに対応できる能力を鍛えつつ新たな市場を作り出す個人が、世界経済を大きく変える時代は近いだろう。

したがって、ライフデザインという概念においては、個々の性格に即したアプローチが不可欠であるとともに、単なるキャリアデザインにとどまらず、これまでとは違ったもっと個人のユニークさを際だたせるようなデザインが必要になってくる。

次回はシングルマザーのライフプランやその潜在能力などに特化してお話します。

ではまた。CFP® Masao Saiki

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※上記は2018年7月末現在の実績事例であり、確実な利益を保証ずるものではありません。
※今流行のバイナリーオプションや自動売買ではありません。

3度の起業経験を持つキャッシュフロークリエイター
マイナス資産からでも起業できる戦略など、統括的デザイン戦略を用いたキャッシュフローの創造・改善を得意としている。

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