ライフイベント表とは、あなたや家族の将来の予定、望むことや目標を時系列で表したもので、ライフプランと将来キャッシュフローの関係を把握する際に必要になるものです。
ライフイベント表を作成する際に必要になる、主だったものは下記の通りです。
- 年次、年齢、各のイベント、それらに伴う予算
- 3年以内に予定されるイベントがある場合には、そのことに関して詳細にしておく。
- 家族以外にも資金計画に関係してくる人(親や兄弟)がいる場合には、その人の予定も記入。
この時のポイントは、不確定要素の多い遠い将来のことはあまり考えすぎず、大まかな概要を押さえておく程度にしておくことです。
以上を踏まえた上で、ライフイベント表の作成方法とその要点を見ていくことにしましょう!
ライフイベント表とライフプランの関係
- 漠然としていた自分と家族のイベントが再確認できる。
- 将来に向けて個人を成長させるきっかけになる。
- イベントに必要な費用が数値化できる見通しが付きやすくなる。
- 家族の思いを認識できるようになり、コミュニケーションがとりやすくなる。
以上がライフイベント表を作成するメリットです。
※予算は現在価値で捉え、満期金などの一時的な収入も把握しておくといいでしょう。
費用を見積もる時の留意点
具体的なプランがあり、費用も把握している場合はそれを使用できます。
しかし、ほとんどの方は十分なデータを準備できていないと思います。
でも安心してください、最初はそれでいいのです。
むしろその方が最終的にうまくいくことが多いです。
何が把握できていないかを明確にすることも大切です。
また、できる限り具体的に正確に把握したくても、あまりリサーチに時間を割けないというのが実情でしょう。
そのような場合は各種の統計データが役に立ちます。
一時的にデータをうまく活用して、時間のある時に個々のライフスタイルに合わせて修正してください。
「修正」することを習慣化できると、あらゆるシュチュエーションで役立ちます。
キャッシュフロー表とライフプランの関係
キャッシュフローとは、一定期間の収入と支出、つまり資金収支の流れのことです。
※その結果増減する金融資産残高も含まれる。
最初に月間の収支を把握しましょう。
月間のキャッシュフ ローは細部の分析に役立ちます。
そして、中長期的な分析の基礎となるのが年間キャッシュフローです。
この年間キャッシュフローをもとに、将来の収支状況や金融資産残高を予想して、数値を表にしてまとめたものがキャッシュフロー表です。
なぜキャッシュフロー表が必要なの?
キャッシュフロー表によって、年次別にお金の流れの状況を把握できます。
現在の収支、金融資産の残高と将来の収支、金融資産の残高の推移が一覧できるからです。
キャッシュフロー表の効果
- 資金面から見て目標達成が可能かどうか、ある程度予測できる。
- 現状と目的のひずみから問題点などを、より鮮明に認識できるようになる。
- 問題や課題の対策を早期から実行できる可能性が高まる。
つまり、キャッシュフロー表はライフプランを速やかに進める上で重要な役割を担っています。
キャッシュフロー分析 将来の収支の予測をするために連年のキャッシュフロー分析を行います。
ポイント!その際、ライフイベント表に記入した現在価値の予算や将来の収入を、将来価値に変換するのを忘れないでください。
※キャッシュフローに関して詳しく知りたい方は「キャッシュフローをデザインする!」を参考にしてください。
運用益の計算 必要資金を準備するには毎年いくらの貯蓄額にすればいいのか、などの計算も必要です。
変動と運用利率の予測
キャッシュフロー表を作成する際には、収入、支出、物価などの変動率の予測や将来にわたる運用利率の予測はある程度必要です。
デフレが続いている今日ですが、インフレへの転換の可能性、将来の経済・社会情勢も織り込んだ変動率を採用するケースも考えられます。
収入の減増は誰にも起こりうることです。
例えば、失業して一定期間収入がなくなり、貯蓄を取り崩して生活する時期もあるかもしれません。
3年後に今の会社がなくなる可能性もあるでしょう。
このようなことは誰しも考えたくないことです。
しかし、現実に起こりうることです。
また、雇用形態や賃金形態が変わることもあるでしょう。
いずれにせよ、個人の生産能力の変動も考慮しておく必要がありそうです。
リスク許容度がポイント
個人のリスク許容度によって運用利率の設定数値は大きく異なります。
ですから、プランによっては、何パターンかのキャッシュフロー・シミュレーションが必要になるでしょう。
また、リスク許容度は可処分所得で判断するのが一般的です。
可処分所得とは、自由に使えるお金のことです。
キャッシュフロー表を作成することで、可処分所得を明確できます。
※リスク許容度やリスクについて詳しく知りたい方は「リスクの記事一覧」、金融資産運用については「マネープラン・ガイダンス」、不動産運用については「不動産運用の記事一覧」を参考にしてください。
可処分所得を把握する
会社員:年収ー(社会保険料、所得税、住民税)。
自営業などの事業所得者:事業収入ー(必要経費、社会保険料、その他税金)。
社会保険料には厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料などが該当します。
自営業者の場合は国民健康保険料と国民年金保険料です。
※社会保険については「社会保険の仕組みを理解してライフプランに活用する」も参考にしてください。
年間キャッシュフロー報告書を作成する
年間キャッシュフロー報告書とは、年間のキャッシュフローをまとめたものです。
※総収入ー(社会保険料、税金などの非消費支出)=可処分所得。
支出の分類は自由ですが、例として3つの分類をご紹介しておきます。
①貯蓄・投資
将来の支出に向けどれだけ備えているかを明確にするために掲載。
②固定支出
収入の増減とは関係なく一定金額が出て行く支出。
例えば、自動車税、各種ローン、生命保険料などの保険料、固定資産税、教育費などが該当します。
③変動支出
収入の増減に応じて変化する支出。
例えば、社会保険料、所得税、住民税、その他食費や水道光熱費、生活費や一時的な支出などが該当します。
年間キャッシュフロー報告書を分析する
年間キャッシュフロー報告書を作成し、データに基づいて分析を行います。
分析のポイント例
- 年間貯蓄額や投資額
- 年間ローンの返済額
- 年間の税負担額
- 年間の社会保険料負担額
- 水道光熱費や食費
- 通信費や交通費
- 医療費
- 雑費
例えば、上記の各費目ごとに無駄がないかどうかを分析していきます。
キャッシュフロー表の形式
キャッシュフロー表には決まった形式はないので、自由に作成していただいて結構です。
ただし、用紙の向きに注意してください。
中長期的な資金計画の検討や将来の収支のトレンド(数値変動の傾向)を分析するために作成するものなので、通常20年~30年以上と記載年数が多くなるからです。
さらに、トレンドの問題点や対策後の改善点などもわかりやすく表記できるものだとベターです。
主な項目は、年次設定、年齢、収入と支出、変動率の設定、年間収支です。
キャッシュフロー表のチェック
入力ミスや計算ミスはないかを再度確認し、問題点を把握してください。
例えば、マイナスキャッシュフローの性質、ローン、保険契約、金融資産のバランス、税金などについて分析していきます。
マイナスキャッシュフローの性質を見極める
単発的なマイナス
額が大きい場合は、他のプランにも影響が出るので注意してください。
継続的なマイナス
そのまま放置しておけば破綻する可能性もあるので、抜本的な解決策が必要です。
例えば、収入を増やすために転職する必要があるかもしれません。
また、キャッシュフロー表から直接読み取れない問題点もあるので注意しましょう。
キャッシュフローについては「キャッシュフローデザインの記事一覧」を参考にしてください。
ローンの内容
負債状態を分析し、金額、期間、金利、借り換えや繰上返済を検討しましょう。
ローンの分析については「ローンの記事一覧」を参考にしてください。
保険の内容
保障の分析を行い、保障額、保障期間など保障内容とライフスタイルの関係性を検討しましょう。
保険の分析については「リスクと保険の設計」を参考にしてください。
金融資産のバランス
アセットアロケーション、ポートフォリオ、商品選択、リスク許容度などの資産分析を行いましょう。
金融資産の分析については「マンープラン・ガイダンス」を参考にしてください。
税金
節税の余地はないか、軽減できないか改善策を考えてみましょう。
税金については「税金の記事一覧」を参考にしてください。
年間収支を合理化できるか検討する
ローンの見直しや整理、保険の見直しや整理、使途不明金の把握、貯蓄の強化などを実施してキャッシュフローバランスを整えましょう。
例えば、以下のようなことを試みるといいでしょう。
- 優先順位を明確にする
- 資産運用能力を強化する
- 遊休資産を活用する
次に収入を増すことは可能でしょうか? 例えば、、、、
- 転職する、副業を始める、スキルを研く。
- 配偶者が働く、定年後も再就職する、長く働く。
支出は減らせないでしょうか? 例えば、、、、
- 外食費、レジャー費、交際費などを減らす。
- イベントの時期をずらす、グレードを下げる、回数を減らす。
- 補助金を受ける、イベントそのものをやめる。
ではまた。。
CFP® Masao Saiki ※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。