
今回の住宅プランのガイダンスは、住宅取得を投資の観点から見た場合、ライフスタイルの多様性を生かした住居選択の必要性など、住宅を購入する際に気をつけてほしいことなどについてです。
個人にとってマイホームは、人生設計上の大きな買い物の1つと云われています。
また、ライフプラン上の大きな目標の一つにしている方もいらっしゃるようです。
いずれにせよ、住宅取得は個人のライフスタイルやキャッシュフローに大きく影響します。
また、マイホームを所有することが、資産形成になると思っている方も多いようです。
確かに、高度成長時代には地価が上昇し、所有住宅の資産性は土地を中心に大きく増大しました。
しかし、今は値上がりするのは都市部の一部だけで、地方の土地は値下がり傾向にあります。
そうした環境下で、土地ではなく建物自体の資産価値が増大し始めました。
そしてその価値は、さまざまな要因によって変化します。
例えば、転勤や老後に備えての住宅の買い替え、海外での長期勤務や老後の資金不足から発生した住宅の賃貸化、あるいは相続による次世代への移転など、
そうしたさまざまなライフスタイルに順応するためには、住宅取得に留まらず、その資産価値を定期的に見直し、価値を高めていくことが必要です。
住宅取得は所有から投資へ!
住宅を売却した際、資産価値の上昇により生じる利益(キャピタル・ゲイン)や逆のパターンで生じるキャピタル・ロス、貸し出すことによって生じる賃貸収益(インカム・ゲイン)などは住宅の資産価値に基づいています。
こうした視点から見れば、住宅取得の意味は所有ではなく投資の一部になります。
では住宅を借りるのはどう解釈できるでしょうか?
基本的な住サービスに対する消費と解釈できます。
家賃という支出は固定支出のなかでも金額的に大きく、また生涯にわたる支出になる可能性があります。
したがって、キャッシュフロー全体にあたえる影響は、とても大きくなるわけです。
しかし、転勤、転職などの場合は、比較的簡単に転居ができるというメリットがあります。
また、固定資産税を払う必要がなく、その他の費用が軽減できる場合もあります。
ですから、賃貸よりも所有したほうがいいと一概には言えません。
資産形成や利便性よりも大切なこと!
こうした資産形成、投資、利便性といったこと以前に、住宅には大切な役割があります。
そもそも住宅は、個人や家族が自らの生活文化を作りあげる生活空間です。
安らぎや思い出など目には見えない、決して金銭に置き換えることのできない価値を育む場所なのです。
ですから、住宅そのものだけではなく、周囲の環境が非常に重要です。
その住環境には、自然環境と構築環境とがあります。
学校・病院・交通機関・コミニュティ意識といった構築環境が、住みやすさや暮らしやすさに関わるだけではなく、住宅の資産価値にも大きな影響を及ぼします。
ライフスタイルにあった住居選択を!
住宅には所有する形だけではなく、いくつかの形態があります。
例えば、定期借地権住宅、賃貸住宅、社宅・借り上げ社宅などが考えられます。
定期借地権には、所有権に比べると出費が少なくて済むというメリットがあります。
ですから、定年後も含め比較的に余裕のある生活ができます。
しかし、借地期間が終了した時にどうするか、という問題はあります。
賃貸の場合は、家族構成の変化や転勤などで住み替えが必要な場合に対応しやすいというメリットがあります。
しかし、老後になっても多額な住居費が必要なため、対応できるだけの蓄えがあらかじめ必要です。
社宅の場合は、定年までなら最も出費の少ない選択肢といえます。
しかし、終身雇用制度の崩壊や企業福祉の見直しなどで定年まで住み続けることができなくなることも考えられます。
他の選択肢も考慮しておく必要があるでしょう。
二世帯住宅
最近では2世帯住宅を検討する人が増えてきました。
子どもと一緒にいられたら、孤独ではなくなるという考えや増改築費の負担を軽減するために2世帯住宅を選択する場合が多いようです。
2世帯住宅には税金面のメリットもありますが、建て方によっては相続税法上の扱いに注意が必要になるケースがあるので注意してください。
また、新築で取得する場合、一定条件をクリアすれば、評価額から一定金額が控除されます。
さらに、固定資産税の軽減措置も世帯ごとに受けられます。
また、二世帯住宅には同居型と共有型、それから生活空間を完全に分離した分離型がありますが、それぞれのタイプによって税制面、登記方法などが異なります。
分離型
各世帯別に税金が課税され、それぞれに軽減措置が受けられます。
また住宅ローンが有る場合はそれぞれに控除が受けられます。
登記方法は単独、共有、区分のいずれでもかまいません。
共有型・同居型
二世帯住宅を一戸の住宅として登記し、所有権を単独登記および共有登記にすると、一世帯の住宅として課税され、軽減措置が受けられます。
住宅ローンが有る場合は控除は一世帯の住宅として受けられます。
節税効果の最も高いものは区分登記です。
親と子がそれぞれの名義で登記する方法です。
さらに、同居世帯が親から兄弟に代わったり、建物を賃貸するケースも考えられるので、資産活用の観点からすれば分離型の区分登記ということになります。
次回は「相続時精算課税制度などを活用した住宅資金の作り方」です。
ではまた。