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リスクマネジメントと個人年金について、シリーズ№4

こんにちは、CFP&BTPの斉木です。

FP資格を有し、FP業務を提供するものにとって、年金制度に関する知識は不可欠だ。

また、個人の家計分野において老後の安定化を測る上で年金対策はとても重要になってくる。

そこで今回は、個人年金保険について解説する。

個人年金には例えば、終身年金や有期個人年金などさまざまなものがあるが、ここではその仕組と活用方法について解説していく。

また、生命共済などにおける年金商品の特徴、及び変額個人年金保険の特徴などについても解説しよう。

それではまず個人年金の基礎から見ていくことにしよう。

個人年金の基礎

個人年金は、生命保険会社、損害保険会社等が引き受ける保険型年金(個人年金保険)タイプのものと、銀行、信託銀行、証券会社が扱う貯畜型年金とに分かれます。

個人年金画像
図表2-1

個人年金保険は、基本的には生存保険と死亡保険が組み合わされてできている生死混合保険といえますが、銀行、信託銀行、証券会社が扱う貯畜型年金には、こうした保険としての機能はありません。

また、個人年金保険には、年金の受給スタイルによって、終身年金、保証期間付終身年金、確定年金、有期年金、保証期間付有期年金に分かれます。(図表2-1参照)

また、貯蓄型年金は、元本の取扱方法によって、元本温存型と元本取崩し型に分けられます。

個人年金2017-2
図表2-2

さらに支払われる年金の構造は、その原資の違いによって、保険料を原資とする「基本年金」と、年金開始前の積立配当金を原資とする「増額年金」、年金開始後の配当金を原資とする「増加年金」の3つの部分に分かれていて、(図表2-2参照)これらがまとめて支払われることになります。

 

また、保険料の運用実績によって、将来受け取れる年金額が変動するものを変額個人年金といいます。

1,個人年金保険

  • 契約による基本年金額が一定の定額型
  • 毎年あるいは数年ごとに一定割合で年金額が増加する逓増型

逓増型は物価上昇による年金額の目減りを補う効果が得られますが、年金支払い開始時の年金額が同じである定額型より保険料は高いです。タイプとしては、

  1. 終身年金型
  2. 確定年金型
  3. 有期年金型

などがあります。

1-1,終身年金

終身年金とは、被保険者が生きている限り年金を受け取ることができ、被保険者の死亡した場合、年金が支払われなくなるものをいいいます。

保証期間付終身年金
図表2‐3 保証期間付終身年金

しかし、実際に販売されている商品は、終身年金に10年あるいは15年と保証期間が付いた「保証期間付終身年金」がほとんどで、年金の受取り開始直後に被保険者が死亡しても、保証期間内であれば残りの期間に受け取る予定の年金を相続人が受け取ることができます。

 

したがって、終身年金は、保険料が確定年金や有期年金に比べてかなり高くなります。

また、同年齢の男女では平均寿命の長い女性の方が、男性よりも保険料が高く設定されています。

なお、保証期間付終身年金の場合、保証期間分の年金を一括で受け取り、保証期間経過後に、その後の年金を受け取ることができるものもあります。

1-2,確定年金

契約時に定められた期間、被保険者の生死にかかわらず年金が支払われるものを確定年金型といい、年金の支払期間によって、5年確定年金、10年確定年金、15年確定年金などの種類があります。

確定年金
図表2-4(確定年金)

これらの期間内であれば、被保険者が死亡しても、引き続き遺族に対して年金や、死亡時の年金支給残存期間の年金現価が一時金で支払われることになります。

なお、保険料払込期間中に被保険者が死亡すると、死亡時の年金原資相当額が死亡給付金として支払われることになっています。

そもそも年金保険は、生存保険の一種であり、本来であれば、被保険者が死亡しても保険金等が支払われることはありません。

したがって、年金原資相当額の逓増型の定期保険を組み合わせることによって、死亡給付金の支払が可能な仕組みになっています。

年金受取期間中であれば生死にかかわらず年金が支払われるので、男女による保険料の差はほとんどありません。

一時払い(加入時に保険料を一括して払い込む方法)や全期前納(保険会社に全期分の保険料を預け、そこから毎年の保険料を払い込む方法)という方法をとれば、月払いや年払いの総額よりも保険料を抑えることができます。

また、一定条件を満たしていれば終身年金に移行したり、受取り開始年の繰り延べ、繰り下げなども可能です。

1-3,有期年金

有期年金
図表2-5(有期年金)

あらかじめ年金の支払期間を定め、その期間中は被保険者の生存を条件に年金が支払われるものを有期年金といいます。

したがって、支払期間中であっても被保険者が死亡すれば年金は支払われなくなります。

一方、「保証期間付有期年金」は、有期年金に保証期間が付いたもので、保証期間中は被保険者の生死にかかわらず年金が支払われます。

保証期間内に被保険者が死亡した場合は、保証期間の残存期間に対応する年金現価が相続人に支払われるます。

また、保証期間終了後有期期間内に被保険者が死亡した場合は、その時点で年金は終了します。

保険料払込期間中に被保険者が死亡すると、死亡時の年金原資相当額が死亡給付金として支払われます。

なお、有期年金は一部の保険会社のみで、主に変額個人年金として扱われています。

1-4,夫婦年金

夫婦年金
図表2-6(夫婦年金)

夫婦年金は一部の会社のみで扱っている商品です。夫婦のいずれかが生きている限り年金が支払われるタイプものを夫婦年金といいます。

まず一方の被保険者に年金が支払われ、その被保険者死亡後は配偶者が生存している限り、年金が支払われるというものです。

つまり、被保険者が死亡すると配偶者に権利を引き継ぎ―生涯年金を受け取れるというメリットがあります。

契約者死亡後の年金額、夫婦間の年齢差条件などは各保険会社、取扱機関によって異なります。

「保証期間付夫婦保険」もあり、保証期間内であれば夫婦とも死亡しても遺族に年金が支払われることになります。

夫婦がそれぞれ個人年金に加入するよりも保険料は害」安になるというメリットがあります。ただし、離婚した場合は解約になるか、年金受給権が被保険者だけとなり配偶者には支払われないこともあるので注意が必要です。

また、初めから「夫婦年金」として加入していなくても、個人年金に加入していて、年金受取り開始前に夫婦年金を選択することができる場合もあります。

1-5,利率変動型年金

予定利率が加入時から年金の受取り終了時まで固定であった従来の商品と異なり、市場金利に応じて予定利率が変動する仕組みとなっています。

そして、利率変動型年金の予定利率は、他の保険の予定利率と異なり、市場金利が指標となっています。

予定利率の変更時期は商品ごとに異なりますが、契約時に保証された最低保証年金額を割り込むことはありません。

低金利時に予定利率を固定したくない場合や金利上昇局面に適している商品と言えます。

1-6,外貨建て個人年金

外貨建て個人年金
図表2-7(外貨建て個人年金)

日本が低金利に伴い注目されるようになったのが、外貨建ての個人年金商品です。

外貨建て個人年金は、円をアメリカドルやユーロ或いはポンドなどの外貨に換えて、格付けの高い海外の国債や社債で資産運用を図る年金保険商品です。

保険料は全額積立金に投入され、据置期間内は外貨建ての債券で運用されます。

そして、据置期間満了後には積立金と運用益を年金または一時金として受け取ることもできます。

注意事項としては、為替相場変動の影響を受けるので、外貨を円に交換する際には為替差損益が生じる可能性があるということです。

なお、被保険者が死亡した場合には、外貨建て積立金相当額の死亡給付金が支払われることになります。

1-7,かんぽ生命の個人年全保険

かんぽ生命は、生命保険型年金商品と同じように、「終身年金保険」と「定期年金保険」を扱っていましたが、平成28(2016)年4月現在、終身年金保険については販売を停止しています。

「定期年金保険」は、年金の受取期間が10年の定額型の年金で、年金の受取開始年齢は、55歳~70歳までの間で選択できるようになっています。また、保険料の支払いについては一括払いのみとなっています。

年金受取人が年金支払期間中に生存している場合、年額90万円を限度に基本年金額が支払われます。

また、年金受取期間中に年金受取人(=被保険者)が死亡したときは、契約者に返戻金が支払われ、必要に応じて、災害特約や介護特約などの特約を付加することもできます。

1-8,JA共済の年金共済

予定利率変動型年金共済
図表2-8予定利率変動型年金共済

全共連(全国共済農業協同組合連合会)が引き受けている年金共済は予定利率が変動するタイプで、年金の受取期間により「終身年金」と「定期(確定)年金」があります。

いずれも契約の当初5年間は予定利率が固定され、6年目以降は毎年予定利率が見直される予定利率変動型の年金共済です。

「終身年金」はlo年、または15年間の年金受取保証期間がある上で、被保険者が死亡するまで年金を受け取ることができ、年金受取開始前に被保険者が死亡した場合には、所定の死亡給付金を受け取ることができます。

「定期年金」は5年または10年、15年の年金受取期間となっています。

1-9,ねんきん共済

全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会)が引き受けているねんきん共済には「終身年金」と「確定年金」の2種類があり、契約者になるためには全労済に出資金を払って組合員になる必要があります。

終身年金には、15年間の受取保証期間があり、確定年金の年金受取期間は5年間と10年間、そして15年間から選択できます。なお、終身年金の保険料は一時払のみとなっています。

ねんきん共済の特色は、通常の基本型の年金のほか、基本型にセットする「家族年金・重度障害年金付帯型」にあります。

「家族年金・重度障害年金」は、保険料の払込期間中に本人が死亡した場合、遺族が契約年金の2倍を10年間受け取れる「家族年金」と、保険料の払込期間中に本人が重度障害になった場合に、本来の年金が払われるまで受け取れる「重度障害年金」です。

1-10,変額個人年金保険

変額個人年金
図表2-9(変額個人年金)

変額個人年金保険とは、運用実績によって、将来受け取れる年金額が変動するものをいいます。

  • 平成11(1999)年4月に、外資系生命保険会社から発売。
  • 平成12(2000)年12月には証券会社。
  • 平成14(2002)年10月には銀行での窓日販売がスタート。

などを背景に変額年金保険を取り扱う保険会社が増えていったといった経緯があります。

現在でも一部の会社で扱っていますが、2008年秋の金融危機により運用状況が悪化し、新規加入を中断する保険会社が続出したという一幕もありました。

保険料の支払い方法は、一時払いが主流ですが、月払いなどの平準払いや、中には積立方式を取り扱う保険会社もあります。

年金種類は保証期間付終身年金と確定年金が主ですが、有期年金を扱う保険会社もあります。

加入する時点で年金額は定まっていませんが、基本年金額を最低保証したり、中には経過年数によっては基本年金額を超える金額を保証するタイプを扱っている会社もあります。

そして、年金支給開始後は、ほとんどの商品が年金開始日の予定利率に基づく一般勘定で運用することになっています。そのため、年金開始時点で年金額が定まることになります。

死亡給付金額は、死亡時点での積立金額となりますが、払込保険料合計額を最低保証するものがほとんどです。

また、運用実績に応じて積立金額が増えた場合、死亡給付金額の最低保証が切り上がっていくステップアップ型(ラチェット型)もあります。

ラチェット型の場合には、一度切り上がった最低保証額は、その後運用が不振であっても引き下げられることはなく、災害死亡の場合、死亡給付金に払込保険料の10%を上乗せする保険会社が多くなっています。

保険料の運用は特別勘定という枠で行われます。特別勘定で行われる運用の多くは投資信託であり、それ以外は保険会社の特別勘定の自主運用です。

保険会社が自主運用している変額個人年金保険には、特別勘定が1つしかないものもあります。

特別勘定が複数用意されているタイプの変額個人年金保険を選択した場合には、複数の特別勘定から運用先を選定することになります。

この場合、契約者は特別勘定を変更することができ、これをスイッチングといいます。

一般的には、年間12回~15回程度までは無料でスイッチングできますが、所定の回数を超えるスイッチングを認める会社もあります。

しかし、その場合は有料でのスイッチングとなります。

また、運用の途中で積立金の一部を引き出したり、保険金額を増減できるタイプもあります。

変額個人年金保険は加入する会社によって運用にかかるコストや保険関係コストが異なるため、運用状況のチェックとともにコスト比較することも大切です。

保険商品以外の年金型商品

保険型年金商品でない貯蓄型年金は、基本的には通常の貯蓄商品と同じで、積立てや一括払いなどで年金の原資を貯めていき、利息と元本を取り崩して年金的に使うというものです。

したがって、本人の生死は年金受け取りの要件にはなりません。

一方で、加入時に保険料や基本年金額が決まる保険型に比べ、貯蓄型は積立金額や年金額が柔軟に設計できるというメリットがあります。

例えば、若い世代は老後の前に子どもの教育、住宅取得などのライフプランがあり、そちらを優先した資金プランを立てる必要があるでしょう。

また、中年世代でも雇用環境の変化などで転職・独立するなど、予期せぬライフプランの修正が考えられます。

そうした場合、積立ての減額や一時中断、積立金の引出し・解約などが柔軟にできる貯蓄型年金商品は、保険型に比べて解約に伴うロスの可能性が少ないといえます。

ただし、貯蓄型年金の元本になる商品が投資信託などの場合、必ず解約時に元本が確保できる保証はないということを認識し、積立てに利用される商品は何か、利息の支払われ方はどのようになっているかを確認し、その商品の特性がニーズに合っているかどうかを検討する必要があります。

さいごに

銀行などの商品

銀行の主力商品である定期預金を利用した年金商品には年金型積立定期預金があり、払込み方法には、「積立型」と「一括預入型」とがあります。

積立型は毎月の指定日に口座から自動振替で積立てが行われ、一定の積立期間終了後、一定の据置期間を経過したのち、元利金を一定の受取期間内に年金式に分割で受け取るスタイルです。

元利金が貯まるまで時間がかかるため、老後までにある程度の期間がある世代向けのプランということになります。

一括預入型は元金を一括で払い込む方法で、据置期間、受取期間は積立型と同様です。

したがって、退職金などのまとまった資金が手元にあり、近々年金受取りを開始したい世代に適していると言えるでしょう。

また、契約後も受取期間や受取周期を変更でき、一部解約、中途解約で不意の出費などの状況の変化に柔軟に対応できる特性を活かすといいでしょう。

ではまた。

 

この投稿は日本FP協会CFP®カリキュラムに沿って作成しています。

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