
今回は健康保険の給付内容、出産費貸付など社会保険制度についてです。
社会保険の目的は生活保障に寄与することにあります。
収入を得ることができなくなったり、病気やケガ、あるいは障害などをもったとしも生活ができるようにしていくのが社会保険制度の目的です。
それでは早速解説しましょう。
社会保険制度について
社会保険は、医療・介護・年金・雇用・労災の5つに分類されます。
また、加入対象者により適用される保険制度が異ります。
会社員
健康保険・厚生年金保険・介護保険・労働者災害補償保険・雇用保険です。
個人事業主
国民健康保険・介護保険・国民年金です。
公務員や私立学校の教職員
共済組合の短期給付と長期給付・介護保険です。
船員
船員保険・厚生年金・介護保険です。
それぞれ病気・ケガ・死亡・出産などが医療保険の扱いとして給付されます。
注意!ただし、健康保険では業務上や通勤途上で発生した病気やケガは対象外です。
介護保険
要介護状態・要支援状態と認定されれば支給されますが、40歳~65歳未満の人の場合は「特定疾病」に起因する障害が生じた場合という条件がつきます。
年金保険
老齢・障害・死亡による遺族給付などが行われます。
労災保険
業務災害・通勤途上災害などによる病気・ケガ・障害・死亡・二次健康診断などが対象です。
雇用保険
失業・雇用継続・教育訓練などに対して給付されます。
被扶養者とは?
被扶養者になるには、被保険者の収入によって生活をしている必要があります。
- 年収は130万円未満で、被保険者の年収の2分の1未満であること
ただし、被保険者の収入によって生活をしていると認められれば被扶養者となります。
被保険者と同居していない場合
年収が130万円未満で、その金額が被保険者からの仕送り額よりも少ない場合には、被扶養者という扱いです。
ただし、配偶者以外の3親など内の親族、内縁の配偶者の父母および子、内縁の配偶者死亡後の父母などは同居していることが条件です。
健康保険の主な給付内容
- 療養の給付・家族療養費
- 入院時の食事療養費
- 入院時生活療養費
- 保険外兼用療養費
- 療養費
- 高額療養費
- 高額介護合算療養費
- 傷病手当金
- 埋葬料・埋葬費
- 出産育児一時金
以上が主な給付内容です。
それではもう少し詳しく見ていくことにしましょう。
療養の給付・家族療養費
業務災害や通勤途上災害を除き、病気やケガをしたと気に給付されます。
自己負担額は被保険者・被扶養者ともに3割です。
入院時の食事療養費
入院時、1食につき260円が支給されます。(※低所得者の場合、金額が異なります)
入院時生活療養費
入院時、1食につき460円、居住費320円が給付されます。(※低所得者の場合、金額が異なります)
保険外併用療養費
本来は自由診療として全額負担になるところを一般治療と共通する基礎部分を保険適用する制度です。
対象となるのは厚生労働省が認めた「評価療養」と「選定療養」です。
評価療養には、先進医療、医薬品、医療機器、再生医療など製品の治験に係る診療、薬事法承認後で保険収載前の医薬品、医療機器、再生医療など製品の使用、薬価基準収載医薬品の適応外使用(用法・用量・効能・効果の一部変更の承認申請がなされたもの)、保険適用医療機器、再生医療など製品の適応外使用(使用目的・効能・効果などの一部変更の承認申請がなされたもの)などが該当します。
選定療養には、特別の療養環境(差額ベッド)、歯科の金合金など、金属床総義歯、予約診療、時間外診療、大病院の初診、小児う蝕の指導管理、大病院の再診、180日以上の入院、制限回数をこえる医療行為などが該当します。
また、「評価療養」および「選定療養」については、次のような取扱いが定められています。
医療機関における掲示
この制度を取扱う医療機関は、院内の患者の見やすい場所に、評価療養または選定療養の内容と費用などについて掲示をし、患者が選択しやすいようにすることとなっています。
患者の同意
医療機関は、事前に治療内容や負担金額などを患者に説明をし、同意を得ることになっている。患者側でも、評価療養または選定療養についての説明をよく聞くなどして、内容について納得したうえで同意することが必要です。
評価療養または選定療養を受けた際の各費用については、領収書を発行することになっています。
療養費
出先で保険証を持っていないときなは医療費の全額を自分が負担しなければなりません。
この場合、後で申請して払い戻しを受ける手順です。
海外の場合もほぼ一緒です。
高額療養費
特殊な病気、長期療養、入院、手術をした場合などで自己負担額が高額になった場合に一定額をこえた部分に対して支給されます。
対象となるのは、入院時の食事代や差額ベット代を除いた自己負担分です。
注意!1カ月ごとに一定額をこえた場合
高額介護合算療養費
1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担額を合算して高額になった場合にこえた部分を払い戻され負担が軽減されます。
傷病手当金
病気やケガで働けず賃金や給料を受け取れず、4日以上休業した場合に支給されるものです。
支給される額は標準報酬日額の3分の2相当額となっています。
支払期間は最長で1年6カ月です。
老齢厚生年金などを受けることができる時は傷病手当金は支給されませんが、年金額が傷病手当金を下回る時は、差額が支給されます。
埋葬料・埋葬費
被保険者が死亡した時は、5万円の埋葬料が支給され、被扶養者が死亡した時は家族埋葬料として一律5万円が支給されます。
出産育児一時金
妊娠4カ月以上の出産(早産・死産・流産も含む)について、1児ごとに42万円が支給されます。
双子の場合は2人分が支給されます。
出産手当金
出産のために仕事を休み賃金・給料が受けられなくなった時は、休業1日あたり標準報酬日額の3分の2相当額が支給されます。
出産日以前42日(双子以上の場合は98日)~出産後56日間のうちで仕事を休んだ日が対象です。
※標準報酬月額:日本年金機構資料より
厚生年金保険では、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を、保険料や年金額の計算に用います。
現在の標準報酬月額は、 1など級(9万8千円)から30など級(62万円)までの30など級に分かれています。
報酬月額は、通勤手当などを含めた報酬に加え、事業所が提供する宿舎費や食事代などの現物給与(全国現物給与価額一覧表)の額も含めて決定されます。
また、毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われます(定時決定)。
なお、定時決定の算定月以後に報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2など級以上)があった場合には、標準報酬月額の改定が行われます(随時改定)。
海外勤務者に係る報酬の取扱いについては、こちら(PDF 360KB)もご参照ください。
こちらの標準報酬日額は月額の30分の1に相当する金額になります。
出産費貸付制度
全国健康保険協会では出産に要する費用が必要である場合に、出産育児一時金が支給されるまでの間、無利子の貸付制度があります。
貸付金額は1万円を単位とし、出産育児一時金支給見込額の8割相当額が限度です。
対象になるのは、全国健康保険協会管掌の健康保険の被保険者または被扶養者で、出産育児一時金の支給が見込まれる人のうち、 (1) 出産予定日まで1カ月以内、(2) 妊娠4カ月(85日)以上で、病院・産院などに一時的な支払いを要する人です。
貸付金の返済は、全国健康保険協会へ支給申請した出産育児一時金の給付金の支払を返済金に充てます。
残額は支給申請書で指定された金融機関に振込まれます。
詳細はこちらです。
ではまた。