

今回はオプション効果、組み合わせ方法、金利オプション商品、オプションを行使した場合の課税などについて解説しよう。
1,保有資産の価格変動リスクはある程度回避できる。
結論から言えば、プレミアムを負担することによって、保有資産の値下がリスクを回避することができる。
例えば、保有資産を原資産とするプットオプションを買う方法がある。
また、何かしらの資産購入を予定しているなら、購入までの値下がりリスクを回避することもできる。
コールオプションを買うという方法がそれだ。
2,少ない資金で大きな収益を狙える
プレミアムの負担のみで、原資産を買ったのと同様の効果をオプションの買い手は得ることができる。
3,危険を限定できる
先物取り引きの場合、損失は限定されないが、オプションの買い手の損失はプレミアムが限度になる。
4,将来価格の情報を告知する機能がある
例えば、行使価格が100円、残存期間1年のヨーロピアン・コールオプション価格が変動すると、1年後の原資産価格が100円以上あるいは100円以下になる可能性が高いことを示している。
同じ権利行便価格のコールとプットを組合せる。
この同じ権利行便価格のコールとプットの組合せを「ストラドル」と呼んでいる。
ストラドルの買い
ポジションの内容 | コールの買い+プットの買い(同一限月・同一権利行使価格)。 | |
投資判断 | 株価が権利行使価格の近辺にあって、先行き上下どちらかの方向に大きく変動する可能性が高いと予想したとき。 | 株価が損益分岐点をこえて上昇または下落した場合に利益。株価が大きく変動すればするほど利益が増大。 |
株価が権利行使価格にとどまったときに損失は最大。最大損失は「支払いオプション料の合計」に限定。 |
ストラドルの売り
主に株価の変動が先行き横ばいか小動きのときに取る戦略。
これは、コールの売り+プットの売り(同一限月・同一権利行使価格)の組合せのことだ。
異なつた権利行使価格のコールとプットを組合せる
異なつた権利行使価格のコールとプットの組合せのことを「ストラングル」と呼んでいる。
ストラングルの買い
ポジションの内容 | プットS1の買い+コールS2の買い(同一限月、S1<S2) | |
投資判断 | 株価が権利行使価格の近辺にあって、先行き上下どちらかの方向に大きく変動する可能性が高いと予想したとき。 | ストラドルの買いと似ているが、権利行使価格が異なったオプションの組合せのため、ストラングルの方がコストが安いが、株価は大きく動く必要がある。 |
ストラングルの売り
両損益分岐点の間に納まったときに利益が発生する。
逆に、大きく変動すればするほど損失が増大することになる。
例)プットS1の売り十コールS2の売り(同一限月、Sl<S2)。
その他
バーティカル・ブル・スプレッド
権利行使価格の異なった2つのコールを用いるバーティカル・ブル・コール・スプレッドと2つのプットを用いるバーティカル・ブル・プット・スフレッドがある。
ポジションの内容 | コールS1の買い+コールS2の売りかプットS1の買い+プットS2の売り(同一限月、S1<S2)。 | |
投資判断 | 株価の先行きについて強気の見通しを立てているものの、必ず上昇するという確信が 持てないようなとき。 | 味価が上昇したときに利益が限定される代わりに、株価が下落したときの損失を限定。 |
バーティヵル・ベア・スプレッド
コールS1の売り+コールS2の買い、またはプットS1の売り+プットS2の買い(同一限月、S1<S2)
金利オプション商品
近年非常に高い成長・発展を遂げているのが、店頭市場で取引されているキャップ、フロア、カラー、スワップションといった金利オプション商品だ。
例えば、日本のオプション取引は、金融商品取引法(平成19(2007)年9月30日に施行)において分類され、下図のようになっている。
- 取引所で取引されている市場デリバティブ
- 相対取引が行われている店頭デリバティブ
市場デリバティブ | 金融商品などオプション取引 | 金融商品オプション取引 |
金融商品先物オプション取引 | ||
金融指標先物オプション取引 | ||
金利などスワップション取引 | ||
クレジット・オプション取引、その他のオプション取引 | ||
店頭デリバティブ | 金融商品など店頭オプション取引 | 金融商品店頭オプション取引 |
金融商品先渡しオプション取引 | ||
金融指標先渡しオプション取引 | ||
金利などスワップション取引 | ||
金融指標店頭オプション取引 |
それでは、店頭市場における代表的な金利オプション商品について簡単に解説しよう。
金利上昇リスクを回避するオプション
「キャップ」という名称を聞いたことがあるだろうか?
「キャップ」とは金利の上限を限定する仕組みだ。
例えば、市場の実勢金利が契約した水準をオーバーした場合に、買い手は売り手からオーバーした部分の金利差を受け取ることになる。
買い手は、売り手にキャップ料を支払うことで金利上昇に対するリスク・ヘッジが可能になるのだ。
また、それと同時に金利下降時のメリットを受けることもできる。
例えば、以下のような取引をある銀行が行ったと仮定する。
- 変動金利型のローンを利用し、ローン金利に上限を設定
- ローン金利が設定した上限をこえた場合でも、上限金利を適用してもらえる
上記の手順によって、上限金利付貸出(キャップ付ローン)として他の企業に対して行うことが可能になる。
金利低下リスクを回避するオプション
金利低下リスクを回避するための金利オプション商品を「フロア」と呼んでいる。
先程のキャップの逆で、短期変動金利に下限を設定する取引だ。
例えば、短期変動金利を基準に、約束した一定水準以下に金利が低下した場合に約定金利より低下した分の金利差を受け取ることができる。
つまり、金利低下によるリスクを回避するための有効手段だ。
金利にキャップとフロアの両方を設定するオプション
取引の金利に上限(キャップ)と下限(フロア)の両方を設定する金利オプション商品を「カラー」と呼んでいる。
つまり、カラーとは、キャップとフロアを適宜組み合わせた取引だ。
買い手は売り手にカラー料を支払うことでキヤップ同様の金利上昇に対するリスクヘッジが可能になる。
ただし、下限金利を限定しているため、それ以上に金利が下落しても低下のメリットを受けることはできない。
スワップを原資産とするオプション取引
スワップとオプションを合成したハイブリッド商品が「スワップション」だ。
スワップションは、スワップそのものをスタートするかどうかの権利を売買するオプションだ。
したがって、主に将来の金利変動(上昇、低下)リスクヘッジや他の資金取引に組み合わせて利用される。
次回は「住宅ローンと金利スワップ取引の関係を理解する」です。
ではまた。。
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