スキルより「自分」を整える:本質的な自己投資の5つの視点

「自己投資」と聞くと、資格の取得や英語学習など、目に見えるスキルアップを思い浮かべる方も多いかもしれません。

しかし本当の意味での自己投資とは、自分の思考・感情・身体に対する理解を深め、長期的に“ブレない自分”を育てることです。

これからの時代、AIや外部環境の変化に左右されずに自分らしく働き、生きるためには、スキル以上に“自分自身を整える力”が求められます。

本記事では、より深く・実践的な自己投資の考え方と手法についてご紹介します。

1. 思考のクセを整える:自分の「内なるレンズ」を磨く

人は物事を「そのまま」見ているのではなく、自分の思考のフィルターを通して意味づけをしています。

たとえば、上司の一言に「否定された」と感じる人もいれば、「期待されている」と受け取る人もいます。

このフィルター(認知の枠組み)を自覚し、整えていくことが、人生の質を大きく左右します。具体的には:

  • 感情が大きく動いた出来事を、3日後に第三者の視点で書き出してみる
  • 「私は◯◯すべきだ」と思っているルールを洗い出し、それが本当に必要か見直す

こうした習慣を続けることで、思考が柔軟になり、対人関係や仕事のパフォーマンスも安定していきます。

人は感情の渦中にあるとき、自分の視点だけで物事を捉えがちです。
しかし少し時間を置き、意識的に他の視点から出来事を見直すことで、過去の体験が「資源」として再統合されていきます。

ここでは、そうした視点の切り替えを助ける簡単なワークを紹介します。
ご自身の内面と丁寧に向き合いたい方は、ぜひゆっくり取り組んでみてください。

感情が大きく動いた出来事を、第三者の視点で見つめなおすワーク

感情が大きく動いたとき、私たちは無意識に「主観の渦」に飲み込まれがちです。
ここでは、その出来事を冷静に振り返るための簡単なワークを紹介します。
できれば3日ほど時間をおいてから取り組むと、より深い気づきが得られるでしょう。


STEP 1|出来事を「物語」として書き出す

以下の例のように、仮名(例:Aさん)を使って、自分の体験を客観的に描写してみましょう。

Aさんは、職場の会議中に意見を遮られたことで、強い怒りを感じたようです。
相手は時間配分を意識していた可能性もありますが、Aさんは「軽視された」と受け取ったようです。

ポイント:「私は〜」ではなく「Aさんは〜」と書くことで、心の距離が取れます。


STEP 2|5つの視点から見直してみる

同じ出来事を、以下の5つの立場から見てみましょう。
可能であれば、1つずつ時間をあけて書いてみてください。

視点 問いかけ例
1. 冷静な科学者 事実は何だったか? 感情を抜きにして記述できるか?
2. あなたの親友 あなたを大切に思っている人は、どう言葉をかけるだろう?
3. 相手の立場 相手にはどんな事情や背景があったか?
4. 10年後の自分 10年後からこの出来事を振り返ったら、何を感じるか?
5. 赤の他人(部外者) もしこの話を聞いた第三者なら、どう捉えるだろう?

STEP 3|気づきを一言でまとめる

5つの視点から見た後、以下の問いに答えてみましょう。

  • この出来事を通して、どんなことに気づいたか?
  • 今の自分は、当時の自分にどんな声をかけるだろう?

例:「怒りの裏に、評価されたいという思いがあったと気づいた」


ワンポイントアドバイス

  • このワークは紙とペンで行うのがおすすめです。
  • 室内だけでなく、自然の中やカフェなど、少し場所を変えてみると効果的です。
  • 声に出して話しながら記録し、あとから文章にしても構いません。

視点を変えることで、出来事の「意味づけ」が変わり、感情のとらわれから解放されていきます。
ゆっくりと、心の整理を進めていきましょう。

2. 身体感覚に耳を傾ける:パフォーマンスの土台を整える

日々の選択や集中力、判断力は、実は「身体の状態」に大きく左右されています。睡眠が浅い、腸内環境が乱れている、呼吸が浅い——それだけで判断ミスや感情の揺れが増えてしまいます。

たとえば、以下のような簡単なセルフケアも立派な自己投資です:

  • 朝起きて白湯を飲み、腸の動きを整える(冷たい水ではなく)
  • 1日3回、深い腹式呼吸を意識する時間をつくる
  • 夜のスマホ利用を控え、22時半までに眠る

これらはすべて、神経系を整えることで“思考がクリアになる”仕組みに基づいた方法です。心身はつながっています。スキルを学ぶ前に、まずその土台を整えることが先決です。

3. 多様な学びを「統合」する:直線的ではなく円環的な成長

成長には「幅」が必要です。たとえば、FPや会計の知識だけを深めるよりも、哲学・歴史・心理・芸術といった分野に触れることで、視野が広がり、問題解決力も高まります。

私のあるクライアントは、経営職で忙しい日々の中、あえて週に1回「書道」を学ぶ時間を取りました。筆を持つ静かな時間を通じて、自身の内面に向き合い、結果的に経営判断もブレにくくなったと語っていました。

自己投資は、ただ“成果を上げる”ためのものではなく、「世界観を耕す」ことでもあります。

4. 日常の実践で「知」を定着させる:三日坊主にしない仕組み化

新しい知識を得たら、必ず「どの場面でどう使うか」を決めておきましょう。たとえば:

  • 読んだ本の内容を翌日の会議で1つだけ実践してみる
  • 気づきをメモアプリにまとめて、週末に振り返る
  • 友人に学んだことを話す(アウトプットで定着)

脳は「意味づけ」や「文脈」があるときに最も記憶が定着します。学びを日常に落とし込むことで、継続的な成長が可能になります。

5. 投資すべきは「環境と関係性」でもある

自己投資というと「自分だけ」にフォーカスしがちですが、実は人は「環境の影響」を大きく受けています。

たとえば:

  • 少人数で本音を話せる対話グループに参加する
  • 異業種の勉強会やイベントに出て、普段と違う視点に触れる
  • 定期的に、現状を振り返る時間を持てるカウンセラーやコーチと関わる

これらは、思考の偏りを修正し、柔軟性を保つ“鏡”の役割を果たします。良質なフィードバックと対話の場に身を置くことも、重要な投資です。

まとめ:外から足すより、内から整える

これからの時代に求められるのは、「何ができるか」だけでなく、「どんな状態でいるか」です。

思考のクセを整え、身体をケアし、多様な視点を取り入れ、日常に落とし込み、環境を整える——この5つの視点からの自己投資は、派手ではないかもしれませんが、確実にあなたの土台を強くしてくれます。

忙しい日々の中でこそ、自分を「整える時間」を持つこと。

それが、将来の選択肢を広げる最良の投資です。

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