
センチメント指標を「3つの群」に分けて使う
今回のゴール(スマホで30秒)
- センチメント指標を「恐怖」「期待」「信用」の3群に整理して、迷いを減らす
- 指標は増やさず、“役割”で持つ(見たい気分に引っ張られない)
- やることは「当てる」ではなく、行動を固定する
センチメント指標は種類が多く、真面目に集め始めると情報量に飲まれます。結果として起きるのは、「安心できるデータを探す旅」です。
そこで今回は、指標を増やすのではなく、指標を分類して扱いやすくします。
分類の軸は3つだけ。
- 恐怖(Fear):市場が“逃げたがっている”温度
- 期待(Hope):市場が“乗りたがっている”温度
- 信用(Credit / Stress):システムの“詰まり具合”
なぜ「3群」なのか?──同じ“気分”でも意味が違うから
たとえば「株が下がって怖い」という恐怖と、「信用不安で資金が詰まる」という恐怖は、見た目が似ても質が違います。
前者は“値動きの怖さ”で、後者は“仕組みの怖さ”です。仕組みの怖さが出ているときは、価格が戻りそうに見えても、動き方が荒くなりやすい。
つまり、恐怖の種類を見分けるだけで、売買の衝動を減らせます。
① 恐怖(Fear)群:市場の「投げたさ」を測る
恐怖群は、投資家が「もう耐えられない」と感じている度合いを映します。ここでの使い方は明確です。
恐怖群は “売る合図” ではなく、「売りたくなっている自分」を止める合図。
代表的な見方(難しくしない)
- 極端な恐怖:投げ売りが混じりやすい → 追加は“分割”なら検討余地
- じわじわ恐怖:不安が長引く → 生活防衛の確認を優先(投資判断の前に土台)
恐怖が極端なときにやりがちな失敗は、2つです。
- 怖さを消すために、全部売る
- 怖さを取り返すために、一気に買う
恐怖群を見てやるべきことは、売買の正解探しではなく、極端な行動を“しない”と決めることです。
② 期待(Hope)群:市場の「乗りたさ」を測る
期待群は、投資家が「まだ上がる」「乗り遅れたくない」と感じている度合いを映します。
この群で起きやすいのは、上昇そのものより、上昇に対する解釈の過熱です。
期待群は “買う合図” ではなく、「増やしすぎ」を止める合図。
期待が極端になると起きること
- 買いの理由が雑になる(根拠よりノリ)
- レバレッジや集中が増える(短期で取り返したい衝動)
- 下落を想定しなくなる(想定しないから、来たときに崩れる)
長期の資産形成で痛いのは「天井で買う」ことよりも、天井付近で自信が肥大化してルールを壊すことです。
期待群は、その壊れ始めのサインとして扱うのが、いちばん実務に効きます。
③ 信用(Credit / Stress)群:市場の「詰まり」を測る
この群だけは、少し性格が違います。恐怖や期待が“気分”だとすれば、信用は“構造”です。
市場は、信用が詰まると壊れやすくなります。壊れやすいときは、正しい読みでも、値動きが乱暴になります。
信用群は「リスクの量」を調整する合図(=無理をしない合図)。
信用不安の局面でやるべきこと(シンプルに)
- 追加投資は「できる/できない」より、分割と速度で制御する
- 短期の勝負を避け、ルールの頻度(月次→四半期など)を落とす
- 生活防衛と資金繰りの確認を最優先(投資より先)
信用群が荒れているときに「逆張りで勝つ」発想に入ると、相場ではなく、自分の気分に賭け始めます。ここは距離を取るほど強い。
3群をどう“同時に”使うか:判断は増やさず、手順だけ増やす
指標を3つの群に分けた目的は、「判断材料を増やす」ことではありません。むしろ逆です。
判断の回数を減らすために、群で整理します。
実務テンプレ(これだけ)
- 信用(詰まり)が強い? → 追加は急がない/速度を落とす
- 信用が落ち着いていて、恐怖が極端? → 追加は「分割」で検討
- 期待が極端? → 追加は止める/比率を壊さない
この順番が大事です。信用が詰まっている局面では、恐怖や期待の解釈が乱れやすい。だから最初に“道路状況”を見て、次に“運転手の気分”を見る。
最後に:センチメントの最強の使い方は「自分のルールを守る装置」
センチメントを深く学ぶほど、相場を当てたくなります。でも資産形成で欲しいのは、当てる才能より、続ける構造です。
だからセンチメントは、未来を言い当てるためではなく、自分がブレる瞬間を早期発見するために使う。
次回は、この3群を「月1回」だけ点検し、配分や積立を壊さないためのチェックリスト(見る順番・見る回数・やっていい行動)を、コピペで使える形に落とし込みます。



