
前回も登場したプラクリティ(心理・生理的な体質)は、どこが起点になっているのだろうか?
遺伝によってある程度個人の特徴は決定づけられている。
その一方、細胞や器官そのものは本質的に誰でも同じ構造をしている。
個々の体質や性格はそれぞれ異なるが、同じように感ずる部分があるのもうなずける。
彼らは、より深いレベルで体質を見いだすために「心と体が出会うところ」に着目している。
心の中でなにかが起こると必ず何かが体で起こる。
子供の頃、夜トイレにいくのが怖くて一人で行くことができなかった。
便器から手が出てくることが有るかもしれない、そう思っていたからだ。
そのような感情が起こる時には、必ず血流の中をアドレナリンが駆け巡っている。
つまり、心と身体の接触面で想念が物質に転換しているというわけだ。
そして、この領域は3つの機能原理によって占有されているらしい。
彼らは、それをドーシャと呼んでいる。
これは心と体の対話をドーシャという言葉で表現した非常にユニークな考え方だ。
「ドーシャ」と聞いて、あぁ・・・アーユルベーダね!
と思う人もあるかもしれない。
しかし、そこで思考することを止めないでほしい。
アーユルベーダをよく知らないうちに、その言葉に絡め取られては困る。
そのため、今までイメージを拘束する言葉を使用してこなかった。
一般的に広く認識されている解釈とは異なっているからだ。
だから、アーユルベーダやドーシャという言葉をあえて避けてきた。
私たちが抱く恐れ、夢、願望は、感情や欲求という部分に関わり、常に体に話しかけ、心身を形成している。
本来であれば、このメッセージは個を進化させ、健康に導くものが望ましい。
しかし、残念ながらほとんどの人は理想的な状態ではない。
成長するにしたがって、ストレスや老化に向かう力の方が、進化や拡大の力より優勢になっていくからだ。
「心は愛や創造性に富んでいるのに、体が年々衰えてるという場合には、ドーシャに注意する必要がある。」と彼らは言っている。
有害物質や要素の増大による減退の力が、進化の力よりも大きくなってしまう理由はドーシャにあるということだ。
このドーシャのバランスを回復すれば、健康で、調和的で、常に進化する心身システムが可能になってくるはずだ。
ドーシャの3つの機能原理
ドーシャの3つの機能原理は、一般的には「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」という名で呼ばれている。
その3つが心身の無数の機能をそれぞれが司っている。
それぞれ、
- 動きの支配⇒ヴァータ
- 代謝の支配⇒ピッタ
- 構造の支配⇒カパ
どんな呼び方をしてもかまわないと思うが、私たちのどの細胞にもこれら3つの原理が、必ず含まれているということをまず認識してほしい。
具体的には、
- 呼吸、血液の循環、消化管の中の食物の移動、脳の神経インパルスの出入りなどを支配。
- 食物と空気と水の代謝を支配。
- 細胞のまとまりを保ち、筋肉や脂肪や骨などの形成を支配。
この3つのドーシャが揃ってはじめて人体が形成される。