医療保険、医療特約、がん保険を活用したリスク対策
医療保険、医療特約、がん保険を活用したリスク対策は、病気や怪我による経済的負担を軽減し、安心して治療に専念できるようにするために重要です。これらの保険商品は、予期せぬ医療費や長期治療による収入減少に対する安全網を提供し、患者や家族の負担を軽減します。以下では、それぞれの保険商品を活用したリスク対策について解説します。
医療保険
医療保険は、病気や怪我で入院した場合や手術が必要になった場合に、給付金が支払われる保険です。入院日数に応じた日額給付金や手術給付金、先進医療給付金などがあり、治療にかかる費用をカバーします。
活用ポイント
- 入院給付金: 長期間の入院による収入減をカバーします。
- 手術給付金: 手術に関わる費用を補填します。
- 先進医療給付金: 最新の治療を受ける際の高額な費用に対応します。
医療特約
医療特約は、終身保険や定期保険などの主契約に追加できるオプションで、医療保険と同様の給付を提供します。主契約の死亡保障に加え、医療特約を利用することで、病気や怪我に対する保障を強化できます。
活用ポイント
- 追加保障: 主契約の保障に加えて、医療給付の受け取りが可能です。
- 保険料の効率化: 主契約と一緒に加入することで、個別の医療保険に比べて保険料を抑えることができる場合があります。
がん保険
がん保険は、がんと診断された場合に、治療費や生活費などをサポートするための給付金が支払われる保険です。がん治療の進歩により長期間の治療が一般的になる中、がん保険はがんによる経済的リスクに特化した保障を提供します。
活用ポイント
- 診断給付金: がんと診断された時点で一時金が支払われます。
- 治療給付金: 入院や手術、放射線治療など、がん治療に関わるさまざまな状況に対して給付金が支払われます。
- 再発・転移時のサポート: 再発や転移にも対応する給付金がある場合があります。
医療保険、医療特約、がん保険を活用することで、病気や怪我、特にがんといった重大な疾病に対する経済的リスクをカバーし、治療に専念するための安心を得ることができます。自身と家族の健康と経済状況を考慮し、適切な保険商品を選択しましょう。また、定期的に保険内容の見直しを行うことで、ライフステージの変化に合わせた最適な保障を維持することが重要です。
医療保険の主な商品
- がんの保障を手厚くしたタイプ
- 3大疾病を手厚くしたタイプ
- 7大疾病(8大疾病)を手厚くしたタイプ
- 入院一時金を重視したタイプ
- 入院ではなく処方された薬剤に対して保険金が支払われるタイプ(2019年5月)
- 女性特有の病気の保障に重点を置いたタイプ
- 逆に健康還付や満期金といった祝い金を付加したタイプ
上記のような多様なタイプの医療保険商品が発売されている。
また、最近では、先進医療を保障する先進医療特約が組み込まれた医療保険がスタンダードになった。
がん保険
がん保険とは、医療保険の中でも特にがんの保障に特化したものだ。
保障の対象をがんに絞っているため、保険料は医療保険よりも割安になっている。
入院給付金の日額は1日5,000~10,000円が一般的だ。
最大の特徴は、入院給付金の支払い日数に制限がないというところだろう。
しかし、現在加入しているものから新たにがん保険に加入し直すときなどは注意が必要だ。
なぜなら、責任開始日から3カ月、あるいは90日などの免責期間が設けられているからだ。
また、がんと診断された場合には診断給付金が支払われるタイプが一般的でもある。
そして、再発した場合にも再度、診断給付金を支払う会社もある。
再発に関しては、一定期間経過していないと支払対象にならないので加入する際にその期間を確認しておこう。
さらに、先進医療やホスピスでの治療、通院での抗がん剤治療なども保障するがん保険なども登場している。
保障内容が多岐にわたるがん保険や健康保険の対象とならない自由診療であっても補償する自由診療型のがん保険商品もある。
最近では、健康還付を付帯した商品も登場した。
がん保険も医療保険と同様に、契約期間10年などの更新タイプと終身タイプがある。
終身タイプは保険料を一生涯払う終身払いが主流となっているようだ。
また、60歳や65歳などの一定年齢で終了する有期払いタイプのがん保険も発売されているので選択肢は広い。
過去にがんで闘病した経験のある人でも、一定期間が経過するなど、すべての条件を満たせば加入できるがん保険を扱っている会社もあるくらいだ。
医療特約
医療特約は、単体の医療保険とは異なり、主契約の特約として付加するタイプだ。
つまり、医療特約は主契約の保険と同じ保険会社の特約の中からしか選択できない。
また、主契約が終身保険であっても、医療特約の保険期間は80歳までとなっているが一般的だ。
しかし、保険会社によっては、90歳まで、あるいは終身保障もあつかっているところもある。
最近では、特定の病気や症状、ケガの状態など、単独の保険会社でしか扱っていない医療特約が増えてた。
災害入院特約
災害入院給付金
不慮の事故で180日以内に入院したときに入院給付金が受け取れる。
※1入院6o日分や120日分、通算700日分~1,o95日分が限度。
傷害特約
災害死亡保険金
不慮の事故で180日以内に死亡、または所定の感染症で死亡したとき、主契約の死亡保険金に上乗せされて災害死亡保険金が受け取れる。
障害給付金
不慮の事故で180日以内に所定(1~6級)の身体障害になった障害など級に順じて支払われる。
災害保険金の10~1割の障害給付金が受け取れる。
通算して災害保険金の10割が限度。
特定損傷特約
特定損傷給付金
不慮の事故で180日以内に骨折、関節脱自、腱の断裂の治療を受けたとき給付金が受け取れる。
※通算10回が限度。
疾病入院特約
疾病入院給付金
病気で入院したときに入院給付金が受け取れる。
1人院60日分や20日分、通算700~1,095日分が限度。
手術給付金
病気や不慮の事故で所定の手術をしたとき、手術給付金が受け取れる。
総合医療特約
災害入院給付・疾病入院給付金・手術給付金
「災害入院特約」と「疾病入院特約」を1つの特約にまとめたもので、不慮の事故・病気による所定の手術をしたとき、給付金が受け取れる。
その他、「放射線治療給付金」などが受け取れるタイプもある。
退院給付特約
退院給付金
入院給付金の支払事由に該当する入院を継続5日など、所定の日数以上したあと生存して退院したとき、退院給付金が受け取れる。
通院特約
通院給付金
災害・疾病入院給付金の支払事由に該当する入院をし、退院後120日以内にその治療を目的として通院したとき、通院日数分の給付金が受け取れる。
※1入院30日分が限度。
先進医療特約
先進医療給付金
厚生労働大臣が認める先進医療に該当する治療を受けた時、その技術料相当額の給付金が受けられる。
※通算で500万円~2,000万円が限度、自己負担分の全額を支払う会社もある
女性疾病入院特約
女性疾病人院給付金
乳がん、子宮筋腫、甲状腺の障害、分泌の合併症など、女性に発生率の高い所定の病気で入院した時、入院給付金が受け取れる。
1入院60日分や120日分、通算で700日分~1,095日分が限度(手術給付金が受け取れる会社もある。)
成人病(生活習慣病)入院特約
成人病(生活習慣病)入院給付金
がん、心疾患、脳血管疾患、高血圧、糖尿病など所定の成人病(生活習慣病)で入院した時、入院給付金が受け取れる。
1入院60日分や120日分、通算で700日分~1,095日分が限度(手術給付金が受け取れる会社もある。)
がん入院特約
がん入院給付金
がんで入院したときき、がん入院給付金が受け取れる。
支払日数が無制限のタイプがほとんどだ。
がん診断給付金、がん手術給付金が受け取れる。(通院給付金も受け取れる)
特定疾病(三大疾病)保障特約
特定疾病(三大疾病)保険金
がん(悪性精年物)、急性心筋梗塞、脳卒中により所定の症に該当したとき、保険金が受け取れる。
その他の原因で死亡・高度障害のとき特定疾病保険金額と同額の保険金が受け取れるタイプを取り扱う会社もある。
※一般的には、いずれかの保険金を受け取った時点で特約は消滅する。
生命保険会社によって、特約や給付金の名称・内容が異なる場合がある。
また、これら以外の特約を取り扱っている保険会社もある。
出所:『医療保障ガイド』(公財)生命保険文化センターを参考にして作成。
さいごに。。
ライフプランを考える歳、リスク対策は必須だ。
そのリスク対策の一部が保障設計だ。
その保障設計の核になるものが保険プラン。
保険に関する質問の多くは、加入するべきなのか、さらに加入したほうがいいのか、何か付加したほうがいいのか、削除したほうがいのか、期間はどうしたらいいのか、といったところが大半だ。
- 医療保険に入るべきか、貯蓄でまかなうべきか。
- 医療保険にはすでに入っているが、がん保険にも入るべきか。
- 医療保険とがん保険のどちらに入るべきか。
- 入院給付金の日額はいくらが適切か。
- 先進医療の保障を付けるべきか。
- 掛け捨てタイプと解約返戻金が有るタイプとどちらが得なのか。
死亡保障とは異なりかなり細かい保障内容にも言及する答えが求められる。
自分が受ける保障なので臨場感があるのだろう。
その中でも最近は特に「医療保険とがん保険のどちらを重視すべきか?」というご質問が多い。
結論から言えば、がん保険だ。
一般的に見れば医療保険を選択するアドバイザーは多いと思う。
医療保険を選択しておけば、がんの入院に関しても、入院給付金が受け取れるが、がん保険ではがん以外の病気で入院した場合に、入院給付金を受け取れないというのが主な理由。
しかし、実際に病気で入院したり、闘病した経験のある人、あるいは専門職関係、例えば看護師さんなどに話を聞いた場合、解答は極めて明瞭だ。
「がん保険です」と言う。
どの病気になるかを選択することはできない。
だから、まずは医療保険への加入が無難な考えだろう。
しかし、この考え方は投資で手痛い思いをしている人のパターンと酷似している。
どの病気になるのか分からない。
確かにそうかもしれない。
しかし、実際に調べてみると入院の70%近くが3大疾病に該当する。
そのなかでガンは突出している。
例えばその確立は、男性の場合は2分の1、女性の場合は3分の1と言われている。
自分の周りを見回してみてほしい、最近入院したり手術した人はいないだろうか?
その原因がガンである確立は非常に高い。
よくある誤解に、「うちはガン家系ではないから・・・」というものがある。
がんが遺伝によるものだという見解は大昔の話だ。
実際、ガンになった知人やクライアントの家系を見てみると本人だけということも多い。
中には、がんに対する恐怖心を過剰に抱いている人もいる。
ガン家系だから「がん」になるという因果関係は大いに疑わしい。
がん保険に加入すると、がんと診断された場合の診断一時金が得られたり、抗がん剤治療やホルモン療法など、がんでの通院治療に対する保障も確保できる。
ここで診断給付金の事例を一つ掲載しておこう。
アドバイザーとしては相談者の考え方や希望などをよく聞き、複数の選択肢の中で最適なものをアドバイスすることが肝とされる。
しかし、はたしてそれでアドバイザーとしての役割を果たしたことになるのだろうか?
保障プランが、その人生を左右するとしたら、それはあまりにも安直すぎないだろうか。
ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。