「妻に彼女ができたんです」──3度の離婚とV字回復が教えてくれた、信頼のプランニング
私のクライアントの約3割は、離婚経験をお持ちの方です。その中でも、「3回の離婚」という稀な経験を持つ一人の男性とのケースは、パートナーシップとビジネスに共通する「信頼」のテーマを、とても生々しい形で浮かび上がらせてくれました。3回目の離婚理由を尋ねたとき、彼の口から出てきたのは、少し理解に時間が必要な一言でした。

「妻に彼女ができたんです。」

耳を疑って、思わず聞き返したくなるような一文から、このケースは始まりました。

ケースの背景──3回の離婚と、「妻に彼女ができた」という告白

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※ 医療的診断ではありません。セルフケアの参考情報としてご活用ください。

彼は、これまでもパートナーとの関係が長続きせず、結果として3回の離婚を経験していました。3回目の離婚の理由を尋ねたとき、彼はこう説明しました。

「えっと、ですから妻に彼女が…それが離婚した決定的な原因です。」

価値観や時代背景の変化も含め、様々な要素が絡んでいるとはいえ、最初は正直なところ、どう対処したらいいのか戸惑いました。そこで私は、一旦その複雑な感情と状況から距離を置き、

「まずは彼自身の事業をV字回復させることに、意識とエネルギーを集中してもらおう」

と決めました。なぜなら、彼がパートナーシップの場でつまずく理由と、ビジネスで何度もつまずいてしまう理由は、本質的には同じところにあると感じていたからです。

人当たりのよさと、どこか「信頼しきれない」感覚

彼はとても人当たりがよく、屈託のないタイプでした。一緒に話していると場が和み、初対面の人ともすぐに打ち解けることができます。その一方で、どこか落ち着きがなく、ふわふわと地に足のつかない印象もありました。

あなたの身近にも、そんな人はいないでしょうか。

  • 一緒にいると面白くて、場の空気を明るくしてくれる。
  • 飲み会や雑談の場にはいてほしいけれど、
  • いざ「何かを一緒に始めよう」となると、相手に選ぶのを少しためらってしまう。

彼はまさに、そういうタイプでした。パートナーとの関係が長続きしないのも、ビジネスでスムーズに軌道に乗らないのも、「一緒に未来をつくる相手として信頼しきれない」という感覚が、相手側のどこかに生まれてしまう構造があったのだと思います。

あえて「新事業の構想」を共有してみた結果

とはいえ、私はそこに可能性も感じていました。人当たりのよさや、瞬発的な行動力は、本来ビジネスにとって大きな武器になり得るからです。

そこで私は、あえて彼に、自分が温めていた新事業の構想を話してみました。すると彼は目を輝かせて、

「ぜひ参加したいです!」

と即答しました。こうして、翌月からそのプロジェクトに参加してもらうことになりました。

もちろん、この時点で私は「うまくいけば彼の強みが活きるし、もしうまくいかなければ、それはそれで一つの重要なフィードバックになる」と、ある程度の覚悟はしていました。彼の行動パターンが、良くも悪くも“予想できてしまう”ところがあったからです。

想定通りの「裏切り」──しかし、それは期待通りの行動でもあった

結果は、ある意味で「案の定」でした。

プロジェクトの打ち合わせの場で、私は事業の全体構想やアイデアを彼に共有しました。その後しばらくして分かったのは、

彼が、そのアイデアを持ち出して単独で事業を始めてしまっていたという事実でした。

準備も検証も不十分なまま、見切り発車もいいところです。とにかく無鉄砲な動き方でした。信頼関係という意味では、これは立派な「裏切り」です。

一方で、以前の私をよく知る人間としての視点で言えば、彼のこの行動は「期待通り」でもありました。かつての私自身にも、似たような無鉄砲さがあったからです。だからこそ、「きっとこう動くだろうな」という予感が、どこかでしていたのだと思います。

お蔵入りになった事業と、そこから始まったV字回復

結局、その新事業の構想は、私の側ではお蔵入りとなりました。しかし、その「苦い経験」がきっかけとなり、彼の事業はむしろV字回復していくことになります。

なぜか。

それまでの彼は、「アイデア」「お金」「情熱」が足りないから、うまくいかないのだとどこかで思っていました。ところが、単独で動いてみたことで、

  • アイデア自体はそこそこある。
  • 情熱も、それなりにある。
  • お金は決して潤沢ではないが、工夫しながらなんとか回していける。

という現実に気づきます。それでもなお、同じところでつまずいてしまう。

そこで初めて、彼は自分に本当に欠けていたものに向き合わざるを得なくなりました。それは、

「行動する前に、信頼を計画する」という視点

でした。

欠けていたのは、「信頼を計画する」という一手間だけだった

彼に足りなかったのは、アイデアでも、お金でも、情熱でもありませんでした。それらはむしろ、人並み以上に持ち合わせていたと言っていいでしょう。

それでも同じパターンを繰り返していたのは、

  • 誰と、どんな役割分担で動くのか
  • どこまでを自分の責任範囲とし、どこから先を共有財産とするのか
  • アイデアや信用を預かるとき、どういうルールを事前に確認しておくのか

といった、「信頼関係を設計するためのプランニング」をすっ飛ばして、いきなり走り出してしまうことでした。

ビジネスにおいても、パートナーシップにおいても、これと同じ構造が働いていました。相手との関係性を丁寧に組み立てる前に、勢いだけで踏み込んでしまう。その結果、誤解や不信が生まれ、関係が続かない。

このポイントに気づき、「行動する前に信頼を計画する」という習慣を少しずつ身につけることで、彼のビジネスはV字回復し、その後、再婚という形でパートナーシップも再構築されていきました。

※上記はあくまでも一つの事例であり、絶対的な成果や効果を保証するものではありません。

あなたへの問いかけ──「信頼の設計」を、行動の前に置いていますか

このケースは、一人の男性の「3回の離婚とV字回復」の物語ですが、その根底にある問いは、私たち誰にとっても無関係ではありません。

もし今、あなた自身が

  • 人間関係やパートナーシップが、なぜか長続きしない
  • ビジネスで、何度も似たようなつまずきを繰り返してしまう
  • アイデアや情熱はあるのに、成果に結びつきにくいと感じている

そうだとしたら、一度こう問いかけてみてください。

「行動する前に、信頼をどう設計しているだろうか?」

誰と、どの距離感で、どんな約束を交わしたうえで動き始めるのか。そこにほんの少し意識を向けるだけで、同じ行動でも、まったく違う結果につながっていくことがあります。

こうした「信頼のプランニング」を含め、あなたの物語と現実のテーブルを結び直していく対話を大切にしましょう。

もし、自分のパターンをそろそろ変えてみたいと感じたときは、どうぞ一度ご相談ください。

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