
6つのキー領域で「測定基準」を持つということ
ライフプランを具体化するとき、私たちはつい「目標」を数字で書き出すことから始めがちです。しかし、実際に行動と結びつけていくうえで重要なのは、静的な「目標」よりも、日々の選択を導く動的な「測定基準(ものさし)」を持つことだと前回も申し上げました。
ここでは、
- 健康
- 家族・家庭
- 人間関係
- 仕事・職業
- 能力開発(学び)
- 蓄財・資産形成
という6つのキー領域について、「どんな問いを立てると、自分の測定基準が見えてくるのか」を整理していきます。
美容や健康を例にとると、漠然と「いつまでも若々しくいたい」という願いを持つよりも、例えば「10年後に今より5歳若く見えるコンディションを保つ」という測定基準を置き、
- 5年後の状態はどうなっていたいか
- 1年後には何ができていればいいか
- 今日からどんな行動を積み上げるか
といった時間軸に分解していくことで、日々の選択が変わっていきます。喫煙本数、睡眠時間、運動量、体重・体脂肪率など、具体的な「測れる指標」で自分をモニターしていくイメージです。
同じ発想を、ビジネスや仕事、教育(自己啓発を含む)、健康管理、趣味や娯楽、財務戦略といった領域にも広げていきましょう。そのときに欠かせないのが、“パートナーシップ”です。
各分野で、関係性を軸にしながら協力や共感を育てていくこと。それが、測定基準を現実に落とし込んでいくうえでの土台になります。
たとえば、こんな問いを自分に投げかけてみてください。
- 誰がすでに、その領域で結果を出しているのか
- 誰から学ぶと、最短距離で身につきそうか
- 誰を手本にすると、納得感を持って無理なく続けていけそうか
ここで大事なのは、「正解の型に自分を押し込むこと」ではありません。誰を参照軸にすると、自分の息苦しさが減り、続ける力が出てくるのか。その“相性”を確かめる作業です。
参考までに、私自身の経験をひとつ紹介します。初めて起業したとき、会社設立の具体的な手順は何もわかりませんでした。とりあえず本を読み、そこで「税理士のサポートが必要だ」と知り、親戚に税理士がいることを思い出して相談しました。そのご縁から、わずか16日後には3,000万円の資金調達と会社設立が整いました。私がしたことは、問いの磨きとビジョンを語っただけです。
こうしたエピソードを通して実感するのは、結局のところ「問いの質」が人生の質を決めていくという事実です。世の中に“完成された答え”は存在しません。優れた問いを立てることが、有益な解決策を導き、大きなチャンスを生み出します。
では、6つのキー領域ごとに、測定基準のヒントとなる問いを見ていきましょう。
健康管理の測定基準──「何を、どう維持・強化するか」
- 今の体力を維持していく必要があるか?
- 必要だと感じるなら、そのために「何を続けるか」を具体化します。
- 方法の例: 定期的な有酸素運動、軽い筋トレ、バランスのよい食事、十分な睡眠。
- 測定基準の例: 1日の歩数、週あたりの運動時間、体重・体脂肪率、休息後の疲労感など。
- 体力をさらに増強していく必要があるか?
- よりアクティブな生活や、特定の目標(登山・マラソンなど)がある場合は重要になります。
- 方法の例: 高強度インターバルトレーニング、筋力トレーニング、栄養補助食品の活用。
- 測定基準の例: 最大筋力(重さ)、タイムの向上、持久力テストの結果。
- 健康管理面で特に注意することはあるか?
- ストレス、睡眠不足、不規則な食生活など、自分にとっての“危険サイン”を言語化します。
- 改善方法の例: リラクゼーションの習慣、就寝時間の固定、カフェインやアルコール量の調整。
- 測定基準の例: 睡眠時間と睡眠の質、自覚的ストレスレベル、血圧やコレステロール値。
- 持病をコントロール・改善する必要があるか?
- 持病が生活の質に影響しているなら、「悪化を防ぐ」だけでなく「どう付き合うか」も測定基準になります。
- 方法の例: 医師の指示に従った治療、生活習慣の調整、定期検診。
- 測定基準の例: 症状の頻度、発作の有無、必要な薬の量や種類。
- 健康管理についてアドバイザーが必要か?
- 一人でコントロールしきれないと感じるなら、専門家の視点を測定基準に組み込む段階です。
- 候補の例: かかりつけ医、栄養士、フィットネストレーナー、メンタル面の専門家。
- 測定基準の例: 状態の改善度、目標達成のスピード、専門家とのコミュニケーションのしやすさ。
- 即応してくれる主治医は必要か?
- 急変リスクや不安があるなら、「どの医師なら安心して電話できるか」が重要な測定基準になります。
- 測定基準の例: 予約の取りやすさ、相談へのレスポンス、こちらの事情への理解度。
数字の裏側(リスク・感度・逆算)まで1画面で可視化。
未来の選択を「意味」から設計します。
- モンテカルロで枯渇確率と分位を把握
- 目標からの逆算(必要積立・許容支出)
- 自動所見で次の一手を提案
人間関係とパートナーシップ──「誰とつながり、支え合うか」
- 多様な分野に人脈を広げる必要があるか?
- 異なる分野の人とつながるほど、視点と情報の幅が広がります。
- 方法: セミナー、勉強会、オンラインコミュニティ、SNS。
- 測定基準: 新たに出会った人の数だけでなく、「深く話せる相手」の数。
- 資金的な援助手段を確保しておく必要があるか?
- 緊急時に頼れる先があるかどうかは、心理的な安心にも直結します。
- 候補: 金融機関、親族や友人、仕事上のパートナー。
- 測定基準: 実際に相談できる人の数、相談から実行までにかかる時間。
- プライベートを充実させる仲間は足りているか?
- 趣味を一緒に楽しめる人、安心して弱音を吐ける人がいるかどうかを振り返ります。
- 測定基準: 月に何回、気の置けない人と会話や時間を共有しているか。
- 法律問題について相談できる人はいるか?
- トラブルが起きてから探すのではなく、「顔の見える専門家」を持っておくことも測定基準の一つです。
- 候補: 顧問弁護士、地元の法律相談窓口など。
- 多岐にわたる悩みを相談できる「窓口」はあるか?
- 仕事・家族・お金・健康など、領域横断で話せる相手は貴重です。
- 候補: メンター、長年の友人、信頼する専門家。
- 測定基準: 「本音で話せる相手」が何人いるか。
- 何かのクラブやコミュニティに参加する必要があるか?
- 共通の関心ごとを持つ人と継続的につながる場は、孤立感を和らげます。
- 測定基準: 定期的に参加している場の数と、その場で感じる安心感の度合い。
- 信頼できるパートナーはいるか?
- 配偶者であれビジネスパートナーであれ、「支え合える関係」があるかどうかを測る問いです。
- 測定基準: 一緒に時間を過ごす頻度と、対話の質、相互の信頼感。
あなた自身が、クライアントや周囲の人にとって「こうした測定基準の一部になっているか?」という視点も、とても大切なポイントです。
家族・家庭──「どんな生活の場を育てていきたいか」
- 結婚について、配慮しておくべきポイントは何か?
- 価値観・お金・仕事観・子どもに対する考え方など、すり合わせたいテーマを言語化します。
- 測定基準: 互いの納得感、話し合いの頻度と質、感情的な安全度。
- 子どものことについて、今から考えておくことは何か?
- 教育方針、健康、将来の選択肢をどのように支えるかを整理します。
- 測定基準: 子どもとの対話の量と質、教育・体験への投資状況。
- 家族とのコミュニケーションで意識したいことは?
- 「話す時間」だけでなく、「聴いている時間」を測定基準に含めてみてください。
- 測定基準: 週あたりの家族時間、すれ違いの回数よりも「笑顔で過ごした時間」。
- 親のことについて、どのくらい準備しておく必要があるか?
- 健康・介護・住まい・お金など、テーマごとに“問い”を立てておきます。
- 測定基準: 親の現状把握の度合い、関係性の質、情報共有の進み具合。
- 何かを始めるとき、家族の同意や理解は必要か?
- 大きなチャレンジほど、家族の心理的負担も変化します。
- 測定基準: 事前にどれだけ共有・相談できたか、家族の表情や言葉の変化。
- 老後について、今からどの程度配慮しておくか?
- 住まい・健康・お金・人間関係。老後の測定基準をざっくりでも描いておくことは、現在の選択にも影響します。
- 測定基準: 老後資金の積み上がり具合、健康習慣、将来も続いていそうな人間関係の数。
- 配偶者に対して、どんな配慮をしていきたいか?
- 「何をしてあげるか」だけでなく、「どう在るか」も測定基準になり得ます。
- 測定基準: 感謝を言葉にする頻度、相手の負担を減らすために自分が変えた行動の数。
仕事・職業──「どんな働き方のゾーンで生きていくか」
- 今の職業を変える必要があるか?
- 今の職種を変える必要があるか?
- 新たな知識・専門性を身につける必要があるか?
- 今の専門性の質をさらに高める必要があるか?
- 権限やポジションを得ておく必要があるか?
- 社内の人間関係を改善する必要があるか?
- 従業員やチームの士気を高める必要があるか?
- 生産性をさらに向上させる必要があるか?
- 未経験の領域にあえて挑戦しておく必要があるか?
- 独立や開業を視野に入れる必要があるか?
- 仕事上のパートナーを増やす必要があるか?
- 新たなビジネスを立ち上げる必要があるか?
- 業績をさらに改善する必要があるか?
これらの問いひとつひとつに対して、「必要/不要」で終わらせず、
- そう感じる理由は何か
- 具体的にどんな行動に落とし込めるか
- 3年・1年・半年・1ヶ月・今日の測定基準にどう翻訳するか
まで書き出してみると、職業・人生の輪郭がはっきりしてきます。
能力開発──「どこに投資すれば、未来の選択肢が増えるか」
- 今の仕事・ビジネスに関連した分野で、能力開発が必要か?
- 全く別の分野で能力開発をしておく必要があるか?
- 教養(リベラルアーツ)を高めておく必要があるか?
- 新たな知識を獲得する必要があるか?
- 何か資格を取得する必要があるか?
- 特殊な能力を開発しておく必要があるか?
能力開発の測定基準は、「何のために学ぶのか」をはっきりさせるほどクリアになります。
- 売上や収入にどう結びつけたいのか
- どんな人の役に立てるようになりたいのか
- どんな場でその能力を使いたいのか
これらの問いに対する答えを、一度丁寧に言語化してみてください。
蓄財・資産形成──「お金にどんな役割を担わせるか」
- 生活について、特別に考慮しておく必要があるか?
- ◯◯の目的のために、資金を確保しておく必要があるか?
- もっと貯蓄を増やしておく必要があるか?
- ◯◯のために、あえて借り入れをする必要があるか?
- 借金を早期に返済する必要があるか?
- もっと収入を増やす必要があるか?
- (起業家として)収入を安定化させる必要があるか?
- もっと浪費を減らす必要があるか?
- 財テク・投資に関するアドバイザーが必要か?
ここでも重要なのは、単に「収入−支出=貯蓄」ではなく、
収入 − 投資資金(自己投資を含む)= 支出
という視点へのシフトです。「何に」「どのくらい」「どんな意図で」お金を流していくのか──その設計図が、あなたの人生の測定基準になっていきます。
質の高い問いが、測定基準を育てていく
6つのキー領域を通して見てきたように、ライフプランにおいて本当に大切なのは「完璧な答え」を探すことではありません。むしろ、
- どんな問いを自分に投げかけるか
- その問いをどれだけ具体的な測定基準に落とし込めるか
- そして、その測定基準をどれだけ柔軟に見直せるか
ここに、人生の質を大きく変えるポイントがあります。



