

マネープランの目的は、現在の収支(収入と支出)を改善し、キャッシュフローに余力を与え、新たな流れを生みだし、そのキャッシュフローを有効に活用できるようにすることだろう。
それは、個人の家計分野においても会社経営においても変わらない。
それぞれの目標や目的を実現するために必要な所得や利益を獲得するために行う。
その1つの手段がマネープランに過ぎない。
ちなみにマネープランの上位概念は、ファイナンシャルプランになる。
つまり、ファイナンシャルプランは、お金そのものを運用するに留まらない。
具体的には、不動産、税金、相続、保障設計などもっと広い範囲を意味する。
さらに、その知識を学ぶよりも大切なことがある。
それは、投資に強い思考プロセスを学ぶことだ。
知識の生かし方が、個人の考え方に基づくからだ。
つまり、個人の考え方が潤沢なキャッシュフローを生み出すのであって、知識そのものではない。ということだ。
しかし、お金に関する知識は、金融市場の全体構造を知る上で非常に役立つ。
だからここでは、ファイナンシャルプランの一部でもある金融資産運用(マンープラン)について解説する。
マネープランについて
まず、マネープランの目的とは何だろうか?
シンプルに云えば、使えるお金(可処分所得)を最大限増やすことだ。
そのためには、お金に働いてもらうだけではなく、お金を守り失わないようにすることも大切だ。
利殖とセキュリティーの両輪が働いてはじめてマネープランといえるからだ。
そのマネープランのベースは、ライフプランにある。
人生上の目標や目的に見合ったプランを考えていく必要がある。
各手段が個々のライフプランに沿って選択されているか、それが将来収支を大きく変える。
つまり、何のためにお金を貯めるのか、増やすのか、この「何のために」がとても大切だ。
例えば、金融商品に限って云えば、流動性・安全性・収益性という3つの特性がある。
どの時期にどの特性を重視すべきなのか、それもライフプランに基づいて選択する必要がある。
なぜなら、この3つの特性を兼ね備えた金融商品は現時点で存在しないからだ。
おそらく、永遠に登場しない。・・・・
ということで、それぞれの特徴について見ていくことにしよう。
金融商品の流動性を検討する
流動性とは、換金しやすいかどうかということだ。
現金に難なく変えることができれば、流動性が高いといえる。
流動性の高い金融商品の代表は、なんといっても普通預金だ。
決済はもちろん、送金などにも利用できる。
例えば、定期預金や定額貯金などの商品も流動性は高い。
6ケ月未満に解約した場合は、据え置き期間内払戻利率が適用されるが、それでも元本割れすることがないので元本を確保しておきたい時に使える商品だ。
流動性が高いといわれる他の商品も見てみよう。
普通預金と定期預金以外では、スーパー定期・大口定期預金がある。
定期預金同様、中途解約した場合には中途解約利率が適用される。
そのほか以下のような商品もある。
- 中期国債ファンド
- MMF
30日経過後は換金が自由。
- 外貨定期預金
原則として中途解約はできないが、日本の銀行では認められる場合もある。
いずれにせよ換金性は非常に高いといえるだろう。
金融商品の安全性を見極める
安全性は投資した商品価値の変動の振れ幅(リスク)で決まる。
つまり、不確実性の低い商品ほど安全性が高い。
例えば、預金などは預け入れ先の金融機関が元利の支払いを保証している。
さらに、預金保険制度もあるなど、他の金融商品に比べて安全性は非常に高い。
また、満期まで保有していれば途中の利払いや償還を国が保証してくれる国債も安全性は高い。
一方、常に時価が変動している株式などは安全性が低い。
価格が変動する要因には、信用リスク、価格変動リスク、金利変動リスクの3つが考えられる。
信用リスク
例えば、預金の預け入れ先、債券の発行体(国、地方公共団体、企業など)、契約先などの信用低下や破綻によって債務不履行が発生する場合などが考えられる。
これらが信用リスクに該当する。
したがって、財務・経営内容、格付けなどを常に意識しつつ、投資先を分けるなどしてリスクの分散を図っておく必要がある。
例えば、預金には預金保険制度があるとは言え、預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息などが保護されているに留まる。
それ以外は対象にならない。
つまり、対象外の部分には信用リスクがある。
価格変動リスク
株式、債券、投資信託と云った時々刻々と価格が変動するもの、外貨預金のように為替レートによって変動するものには価格変動リスクが伴う。
例えば、外国株式などは、この両方の変動リスクを負っている。
また、銘柄や通貨、経済情勢によって変動リスクは異なる。
リスクを把握するために過去のデータを分析することになるが、それで捉えきれるものではない。
しかし、価格変動リスクも分散投資によって一定の低減は可能だ。
その際には、ポートフォリオ(金融資産の組み合わせ)全体の価格変動リスクを考慮しつつ、商品を選択する必要がある。
金利変動リスク
金利変動によって債券などの価格が変動するリスクのことだ。
例えば、満期の長い定期預金などは、金利が低下しても当初の金利を受け取る事ができるが、金利が上昇した場合は、その恩恵を受けることはない。
このように将来の金利動向がリターンに影響する。
また、一般的な金利動向の予測は、あらかじめ現在の金利に織り込み済みと考えられる。
そのため、金利変動リスクと資金ニーズを考慮しながら、金融商品の組み合わせを考えていく必要がある。
金融商品の収益性とリスク度合を勘案する
収益性とはリターンの大きさのことだ。
例えば、購入時と売却時の価格の差(キャピタルゲイン)と利子、分配金、配当など(インカムゲイン)の和を投入金額で除した率によってリターンを表す事ができる。
ちなみに、預金などあらかじめ金利の決められているものはリターンが低い。
将来の価格が変動するものは、高いリターンも期待できるが、損失が発生する場合もある。
また、貯金をしていても物価上昇が起こって、貨幣価値が下がり予定していたものが買えなくなる場合もある。
また、輸入物価や為替、経済政策によってインフレが発生する可能性もある。
どちらの場合も結果的に損失を被ることになる。
商品先物や商品指数、金や原油価格に連動するものに投資してインフレによる目減りをある程度コントロールすることも可能だろう。
金融商品同士の収益性、安全性の比較は名目価値で行われるのが一般的だ。
しかし、物価の変動を上回るリターンが実質的なリターンであることに留意してほしい。
さいごに
お金の使用目的を分類するなら、直ぐに使うお金、将来に備えるお金、運用資金の3つになるだろう。
これに加えて緊急予備資金も準備しておく事が望ましい。
したがって、運用目的以外は、流動性のある商品で運用することになる。
例えば、住宅の取得やリタイアメント用の資金などは、いつ、どの程度必要なのかを検討した上で、適切な商品で運用する必要がある。
それを収益性の高い商品を用いて考える場合は、損失が発生した場合のシミュレーションも必要になる。
損失が発生しても生活に支障が出ない程度に抑えておく必要があるからだ。
金融危機が発生し損失が発生した場合でも、その後カバーしていくことが可能かどうか?
キャッシュフローを生み出す労働力が残されているかどうか?
それらを十分検討しておく必要がある。
次回は「マネープランとリスク許容度!」です。