ファイナンシャルプランニング

今回は、分散投資の弊害、投資に強いマインドセットの必要性、リスクとリターンの関係性、時とお金の価値関係などマネープランに欠かせない内容です。

分散投資とマインドセット

ファイナンシャルプランの目的は、人生における様々な目的を果たすための財政的な基盤を構築していくことにある。

したがって、そのための財政面におけるいろいろな目標設定が必要になることは前回でも若干触れた。

例えば、

  • 結婚・子育て・教育・住宅取得・リタイア後の計画など各ライフステージに必要な資金
  • 現状と照らしあわせ、金融資産運用設計
  • そのプランが実行可能かどうかを見極める基準

上記を踏まえた上で実行に移していくといったプロセスが必要だろう。

このように各プランを実行する際には、必ず資金的な問題が絡んでくる。

したがって、個々が人生を全うするためには、そのために必要な資金を確保していく必要がある。

マネーゲームで勝利する

金融や経済情勢などの変化に応じて、定期的に投資比率などを見直し、プラン変更を適宜行っていかないと資金を確保し続けることは難しいだろう。

  • 経済動向を考慮する
  • 適切な金融資産運用のリターン値を考慮する
  • 同時に不確実性の要素も考慮する。

したがって、上記のような事柄に適宜対応していくことが必要になる。

また、不確実性の要素を出来る限り軽減していくことも重要だ。

そのためには、プラスキャッシュフローを確保するための手順が必要になってくる。

目的リターンの算出をしてみる

将来のある特定時点の残高を目標値にしたい場合に、それに応じたリターンを算出することが計算上は可能だ。

例えば、以下のようなケースについて考えてみよう。

  • 現在の資産残高を500万円
  • 今後20年にわたって年間収支額がプラス100万円
  • リターン率が年1%~4%

上記の条件に従って各ケースを算出すると以下のようになる。

注意点▼

※ここでは不確実性を無視して、必ずこのリターンが毎年実現すると仮定する。

ある年の金融資産残高(円)=前年の金融資産残高(円)×(1+リターン率/100)+その年の年間収支額(円)

  • 10年後に1500万円が必要な場合には、目標リターンは1%。
  • 20年後に4,000万円を目標とした場合には目標リターンは4%。

※実際には経済動向など他の要素も考慮した上で対応していく必要がある。

いずれにせよ、

  • ライフイベントに基づくキャッシュフローシミュレーションを基準にする。
  • 適切な目標リターンを決定する。
  • リスクの高すぎる目標リターンを選択しないように注意する

といったことがポイントになるだろう。

リスク許容度の把握

先程のケースのリターンを4%に設定した場合、20年後の金融資産残高は計算上では4,073万円になる。

しかし、だからといって目標リターンを4%にすれば金融資産残高が必ず4,073万円になるということではない。

上記はあくまでも不確実性の要素を考慮してないので実際にはそうならない。

事実、4%のリターンを20年間にわたって保証している金融商品などどこにも存在していない。

したがって、その金融商品の仕組だけで目標リターンを確保し続けることは非常に困難だ。

リスクをまったく回避した状態で、高いリターンを長期に渡って実現させる仕組みは存在しない。

例えば、特定の商品にフォーカスしてみたら分かるだろう。

  • 具体的なリスクとリターンの関係性もその時々の経済状況によって異なっている。
  • 何かの数式があってそこに当てはまれば自動的に結果が得られるといったものは存在しない。

したがって、まず最新の情報を基にして経済環境と各商品のリターンとリスクの関係を把握しておくことは、最低限必要な作業になってくる。

その他には、、

  • 自分のリスク許容度を仮定しておくこと。
  • 情報収集により把握していくこと。

これらのことも忘れてはいけないだろう。

もちろん、本人の願望もあるだろうが、損失が大きくなった場合には生活基盤も損なわれかねないので、漠然としたものではなく、しっかりとした裏付けが必要だ。

商品の特性に従ってリスクの高低には様々なものがある。

リスクを汲み取る力こそ必要

何かに投資をする場合、機関投資家でない限り、生活水準を維持するための資金、それから万が一の時の備えが優先するだろう。

したがって、それらを確保した後の余裕資金の範囲で投資するということになる。

しかし、いくらまでが余裕資金に該当するかは、その時点になってみないと実際にはわからない

今の所得水準がずっと維持できるとは限らないからだ。

だから、運用で常に成功し続けるには、稼ぐにしろ、借りてくるにしろ、常に余裕資金が必要になる。

損失に対する免疫

また、どの程度の損失までなら耐えられうるのか、といった精神的な尺度が必要になる。

これは経験で得るしか方法がない。

例えば、投資経験の全くない人が初めて500万円投資をしたと仮定しよう。

その直後に200万円の損失を被った時の心情を的確に想像できるできるだろうか?

金融商品知識はどの程度あるのか

また、自分がどの程度、金融商品に対する知識を持っているのかも把握しておく必要がある。

投資は100%自己責任だからだ。

商品を見極め納得のいく選択をするためには、投資と金融商品に関しての基本的な知識は最低限必要だろう。

豊富な知識と経験を兼ね備えたエキスパートにアドバイスしてもらうというのも一つの方法だが、その人に100%依存するという考え方ではいけない。

繰り返しになるが、投資の責任は100%自分にあるからだ。

収入とリスク許容度の関係

収入増減もリスク許容度に大きく影響する。

例えば、

  • 不況になれば所得減少と株式相場の下落が同時に発生する可能性がある。
  • その影響によって最悪は失業するということも十分考えられる。

つまり、保有資産の減少とキャッシュフローの滞りが同時に発生することもある。

したがって、自分の年齢や家族構成も考慮に入れた上で、以下のようなことも考えておく必要があるかもしれない。

  1. 景気に対して安定的な収入なのか?
  2. 転職や副業などによって所得を増やすことは可能なのか?
  3. 起業は可能なのか?

収入変動による生活への影響を十分に把握した上で、少し余裕のあるシミュレーションしておくといいだろう。

損失額を許容範囲に抑える能力が必要

資産運用の大前提はリスクをマネジメントして目標リターンを目指していくことにあるといっても過言ではないだろう。

特に金融資産運用のマネジメントにおいては、損失額を許容できる範囲内に抑えることが最も重要になる。

そのための一つの手段として分散投資と呼ばれてる方法がよく紹介される。

株式の1銘柄だけに投資した場合、最悪の場合、その会社の破断などによって価値が0になってしまう可能性があるから、多数の銘柄に分散投資して銘柄の株式価値が同時に0になる可能性を回避するという考え方だ。

このような考え方を理論化したものを「ポートフォリオ理論」と呼んだりしている。

参考▼

所得が定期的にある場合には貯蓄をする際に安全資産とリスクのある資産に分散していくことが望ましい。このような積立を行なうメリットとして、金融資産を一度に失うことを防ぐことが可能。少しずつリスクのある資産の残高を増やしていくことにより、投資経験も同時に蓄積できるなどが考えられる。

分散投資は利益を最大化するためのものではない

しかし、これらはあくまでもリスク軽減からの視点であり、投資そのものの視点に立ってはいない。

資産運用の大前提が「リスクをマネジメントして目標リターンを目指していくこと」にあるとするならいいが、「可処分所得を最大限に増やすこと」を基準に考えた場合、ポートフォリオ理論はややズレているだろう。

実際に資産を増やしている人の共通項として、「分散しないで得意な分野に集中して投資している」という傾向が見られるからだ。

分散投資が資産形成を脆弱化する

彼らからしてみれば、分散こそが、資産を脆弱化させる要因なのだ。

現在は金融自由化が進み、金融商品のバリエーションも相当豊富になり、個人でもデリバティブ、オプション、外国の金融商品などへの投資が可能な時代になった。

  • ポートフォリオ理論を優先させるのではなく。
  • 何が一番その人に適しているのか?
  • 張り合いを感じながら、長く取り組んでいけそうなのか?

それらを明確にし、メンタルな部分を補っていく能力が、これから更に重要になってくるだろう。

個人や社会の状況は時々刻々と変化している。

リスクとリターン
PDCAサイクル

時間そのものは変化を一定の単位を持って区切ったものに過ぎない。

違った角度から見れば、「可能性」という捉え方もできるだろう。

したがって、経済環境はいつも変化し、その変化によって新たな可能性も生まれてくる。

マクロ経済に大きな変化が見られなくとも、その視点を家計や個別企業の経営状況に向けてみると、その変化は毎日起こっている。

例えば、あなたの家計の状況はどうだろうか?

よく目を凝らしてみると、何気ない日常生活の中に変化を見て取ることができるはずだ。

例えば、あなたが所有している家や車の資産価値は毎日変動しているということだ。

あなたが利用しているスーパーに陳列されている食材(生鮮)のプライスも常に変動しているはずだ。

小さな変化を侮ってはいけない

それらの小さな変化の蓄積が、大きな変化へとつながっていくことをあなたもよく知っているはずだ。

ポートフォリオ理論からすれば、本来ならばその変化にともなって運用対象や資産配分も見直す必要性がある。

少なくとも資産の時価はある程度の頻度を持って確認しておく必要があるだろう。

資産価格の変動によって最初に意図した配分比率から乖離(かいり)する場合もあるからだ。

例えば、株式に50%、債券に50%の配分比率で運用するポートフォリオにおいて、株価が他の資産よりも上昇すると時価ベースでの株式の配分比率が上昇することになる。

したがって、この見直しのために、超過分の株式を売る、または過小となった債券を買うなどの売買を行ってポートフォリオを整ていく必要があるだろう。

自分が意図した配分比率との差が大きくなるということは、意図しないリスクを保有しているという意味になるからだ。

しかしながら、そう度々売買を行っていては、売買コストも大きくなる可能性があるという心配も浮上してくる。

これらの一連の過程をPDCAサイクルというものを適用して考えてみるのもいいだろう。

※なお、ポートフォリオ理論では、リターン、リスク、時間が共通軸になる。

時とお金の価値

もうひとつ重要なことは、今あなたの手元にあるお金はあなたが思っている以上に価値があるという事実だ。

そこには時間の経過が加味されるからだ。

例えば、今手元に100万円があれば何かの目的にすぐに使うことができる。

しかし、銀行に預けておけばわずかであっても、そこには利息というものが付加される。

逆に必要なものがあっても手元に100万円がなかったら、金利を払ってどこからかお金を借りてこなければならない。

つまり、最終的には100万円以上のお金を返済しなければならないことになる。

このように貨幣価値というものは、時点と金額の組み合わせによって、異なってくるものだ。

現在の視点から見た将来の価値とは?

例えば、いま100万円が手元にあった場合、このお金の現在価値(P)は100万円だが、1年後の将来価値(F1)は当然ながら100万円ではない。

それを「F1=(1+r)n年という数式で表すことができる。

さらに、同じ条件の運用を継続できたとすると、数十年後にその金額はとても大きなものになる可能性がある。

もちろん、同じ金利が何十年も固定されるこなど現実的ではないが、金利差によって将来価値が大きく変わってくるのは事実だ。

将来の視点からみた現在の価値とは?

では逆に将来価値の視点から現在価値を見た場合はどうだろう?

例えば、金利が3%のとき、2年後に100万円にするためには、現時点でいくらあればいいだろうか?

それを「P=100万円/(1+r)n年」という数式で表すことができる。

上の式に当てはめると約942,596円ということになる。

したがって、約942,596円という金額を預けて2年間複利運用した場合、100万円に到達することを意味する。

ファイナンス理論には、金融商品の価値を決定するという役割がある。

その前提が、この将来価値から現在価値を求めるという考え方にある。

市場で決まっている価値は、市場参加者たちが、この考え方に基いて取引をした結果によって、その価値が決められていると考えるからだ。

注意点▼

ここで、注意したいことは、上記の2つの式は、あくまでも将来価値が確実でリスクがなく、将来価値の受取が1回のみの金融商品の現在価値、つまり現時点での理論価値を求めたものだということ。

次はリターンについてだ。

リターンについて

投資の成果を測定する方法として、投資額に対してどのくらいのリターンを得たかというものがある。

投資額とその成果との比を投資収益率(ROI)、あるいは単に収益率といったり、リターンと称したりしている。

注意点▼

ここで注意しなければならないことは、リターンは利回りのことではないということ。

さらに投資成果は、投資から得られるもの全てであり、売却金額の他に配当、分配金、利子なども含まれる。

そして、売買の差額から得たリターンをキャピタルリターン、配当・分配・利子などはインカムリターンと言いう。

それが、キャピタルとインカムの両方からのリターンである場合、総合リターン・トータルリターン・配当込みリターンと表現される場合もある。

例えば、第t期の期末の配当、分配、利子などを含まない資産価格をPt、

配当、分配、利子は期末に発生するものと仮定してDtとする。

第t期の期首の資産価格は第(t-1)期の期末の資産価格と等しいのでこれをPt-1とする。

つまり、「第t期のリターンr1=第t期の収益額/第t期の投資額」という関係になる。

※Pt-Pt-1+Dt/Pt-1=Pt-Pt-1/Pt-1(キャピタル)+Dt/Pt-1(インカム)

実際にはリターンは、日次、週次、月次、四半期、半期、年次などさまざまな頻度で計算される。

そして、これらの計測期間と資金の投下、回収時点は必ずしも一致していない。

この場合リターン計測のためには、計測期間の開始時と終了時で対象資産を時価評価しなければならない。

例えば、10年前に購入して保有している株だとしても1年間のリターンを算出する時の投資額としては、1年前に時価で再投資したと考え、1年前の時価と現在の時価の差額とその間の配当の合計を投資収益として算出する必要が出て来る。

つまり、1年前に100円であった株価が現時点で110円になり、5円の配当があったとすると、1年間のキャピタルリターンは10%で、インカムリターンは5%ということになる。

では、リターンの分布と期待リターンについてもう少し掘り下げてみよう。

リターンの分布と期待リターン

まず、過去のリターンは算出可能だが、将来のリターンを算出することは不可能だということ十分認識しておく必要があるだろう。

将来の株価や配当を確定することはできない。

現時点の株価は、現時点の情報で投資家が将来を予測した結果決められているものだからだ。

したがって、時間の経過により新たな情報が次々ともたらされることによって、株価は確率的に変動すると考えるのが普通だ。

さらにファイナンス理論では、将来のリターンを確実に予測することは不可能だとしつつも、ある既知の分布に従っていると考えて、理論を展開していくケースが多く見られる。

したがって、実証研究としては、どのような分布に従っているかが課題となってくる。

例えば、現時点が第t期の期首であるとすると、現時点の株価Pt-1は市場で観測できるので、確率変数ではないが、期末の株価と配当は確率変数となるといった具合にだ。

将来のリターンが従っている分布が特定できれば、統計学の知識を応用して理論を展開することが可能になってくる。

※分布とは統計学の用語で、確率変数がある値をとる確率をすべての値について表したもの。

それぞれの確率は0以上1以下であり、すべての確率を合計したものは1となる。

株式市場は正規分布には従っていない

リターンのように確率変数が連続となるものは下図のような確率分布を考える。

横軸が確率変数で縦軸が確率密度となり、確率変数がある値の範囲内となる確率は、このグラフでその上限と下限の間の面積で与えられる。

正規分布

図は標準正規分布と呼ばれる分布の例で、例えば、この分布に従う確率変数が、-1以上1以下の値になる確率は約60%だ。

標準正規分布に関しては統計学の教科書に数表が掲載されていたり、表計算ソフトに関数が用意されているのでそちらを参考にして欲しい。

現実の資産のリターンがどのような分布になっているかは、重要な問題ではあるが、その資産の特性や経済状況によっても異なってくるので、普遍的なものは存在していないことになる。

しかしながら、市場で取引されている資産のリターンデータを分析すると、多くの分布は標準正規分布に近い釣鐘型をしていることが確認できる。

ただし、株式市場においては暴落とその反動による極端な値がたびたび観測されている。

その頻度が正規分布より高くなることから、厳密には正規分布に従っていないと考えられるため、当然慎重な検討が必要になる。

分布を見極めるための最初の尺度は平均値

その分布がどのよなものであるかを見極めるために最初に用いられる尺度が平均値だ。

平均は統計学では期待値ともいい、統計学上は平均値と期待値は同じことだ。

直感的な意味付けとしては、分布がどのような値の周りに散らばっているかという代表値ということになる。

投資家の心情としては、投資した時に得られるリターンの分布を知りたいので、最初にリターンの期待値を知る必要があるだろう。

しかし、将来のリターンを知ることは不可能であり、推測値によって経済現象を限定することは出来ない。

したがって、全資産に共通した普遍的な推定方法は存在しないことになる。

こうしたことから、次善策としてさまざまな方法が考案されてきた。

そのうちの一つが過去の分布と将来の分布は同じだと仮定したものだ。

経済変動は同じ分布から繰り返されていると仮定したならば、成り立つ方法だ。

この考え方に従った場合、過去の平均リターンを将来の期待リターンの推測値として算出することになる。

ただし、この場合においても統計学的には、実際のデータから真の期待値を算出することは不可能だ。

したがって、算出しているのは期待値の推計値に過ぎないということだ。

推計には誤差が存在する上、実現するリターンはその周りに分布する、そのことを忘れてはいけない。

つまり、これらの方法は経済構造に何らかの変化が生じた場合には使いものにならないことだ。

シナリオとそのシナリオの生起確率を見ていく

次にシナリオとそのシナリオの生起確率に着目していく考え方がある。

具体的には、

  1. 今後経済が上向いていくとした場合のリターンとその確率
  2. 現状維持の場合のリターンとその確率
  3. 悪化した場合のリターンとその確率

上記3つのそれぞれを想定して、そこから期待リターンを求めていくといった方法だ。

例えば、

  1. 経済が上向く確率が20%でリターンが30%
  2. 現状維持の確率が60%でリターンが10%
  3. 悪化する確率が20%でリターンが-10%

こののような場合、期待リターンの算出は、統計学の期待値の定義により以下の式になる。

※平均リターン=期待リターン⇒ある状態のリターン値×確率の合計

上記の例で云えば、期待リターン=30%×0.2+10%×0.6+(-10%)×0.2=10%ということになる。

これが真の値であると仮定すれば理論的には正しいが、現実に使用する場合に各数値をどのようにして求めるのか?

シナリパターンは3つで事足りるのか?

例えば最悪のケースが-10%でいいのか?

破綻まで想定したとしたら-100%になるのではないか?

といった色々な問題が浮上してくる。

こうした予測の限界ということもよくよく理解した上で、知識だけではなくセンスを磨いていく必要があるだろう。

平均の計算方法は「データの合計÷データの数」と理解している人が多い。

しかし、この考え方は記述統計の上での「平均」であり、あくまでも入手したデータそのものの平均でしかない。

例えば、ある集団での平均体重は、その集団に属している全員の体重を測定し、個々の全ての体重を加算して人数で割れば算出が可能だ。

しかし、統計学の最も重要な役割は推論であり、これを論理的に支えているのが推測統計学と呼ばれているものになる。

例えば、ある物質が体重の増減に効果があるかどうか、全人類に同一の実験をして前後の体重を測定すれば分かることだが、これは現実的な方法とは言えない。

すべての人の体重を量ることは不可能だし、増してその前後の違いを測定することなど土台無理な話だ。

そもそも実験から得たものは、一部の結果でしかない。

しかし、この結果を踏まえ、これを全体に適用した場合には、どのようなことが言えるのかが、推測統計学による推論ということになるだろう。

また、最終的に知りたいことは、一部のサンプルの分布ではなく、全人類の分布だが、正確な計測を繰り返し行なったところで、分布の真の平均を算出することは出来ない。

わたしたちが算出できるのは、どこまでいってもその推計値にすぎないのだ。

そして、その推計には誤差があり、その誤差の範囲をデータを活用できる数値に抑えていくことが重要だ。

平均と期待値とは異なる概念ではなく、記述統計における平均と推測統計学における平均が異なるだけの話だ。

したがって、推測統計学における真の平均と平均の推定値は異なるものではない。

推測統計学における平均と期待値の定義は同一で言葉が違うだけだ。

「違う言葉で同じ概念を語る」このことがモノゴトをより複雑化してしまう。

次回は「分散と標準偏差を理解してファイナンシャルプランを効率的に行なう」です。

ではまた。CFP® Masao Saiki

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