私が理事を勤める某一般社団法人のイベントにご参加いただいた方でした。彼女はとても社交的で誰からも好かれるようなタイプ。
しかし、本当は社交的ではないということを彼女自身100も承知している。無理にでもそうしなければ ならないという環境に育ち、それを演じて来た。そうした彼女の苦悩がはっきりと読み取れた。
自分が生存するためには、社会のルールから疎外されては生きていくことができない、特にニューロン4倍脳は周囲との関わりを重要視する。母親という立場になったことが、更に彼女を演技へと駆り立てる。
私たちは皆、この世界のルールの中では、嘘の自分を演じることしかできないという事実に気付くこともないまま。
彼女は著名な実業家の家に育った。 そのイメージが真逆の「安定」という道を彼女に選択させた。しかし、離婚を切欠に最近になって起業することに魅力を感じ始め、そこから彼女の新たな苦悩が始り、多くの余計な問題をわざわざ作り出した。
やりたいことを探して、結局、資格取得も含め5つ もの習い事に通い、おまけにネットワークビジネスにまで触手を伸ばしていった。つまり、人生で失敗する典型的な情報弱者のパラダイムにズッポリとはまっていた。
起業にかぎらず、新しいことを始めるにあたっては時間の捻出は必須条件。しかし、タイムスケジュールを確認したところ月間10時間しか余裕時間がない。小学生の男の子を抱えていては 致し方ないのかもしれないが、それにしても忙しすぎる。
いくら本質的にマルチタスク能力に秀でた母親といえども全てを消化するのには無理がある。タイムスケジュールを再構築して、起業準備する時間を作ることから始めなければならない。そしてそれを習慣化しなければな らない。習慣化には通常68日間を要する。
バリバリの現役でさえ思考に大きな隔たりがあるのに、専業主婦と起業家では、それはもう大変な、とてつもない思考の乖離(かいり)が存在する。
そのように当時の私は勝手に解釈していた。したがって、セッション開始当初は正直イライラ していた。私にとっても始めてのケースだったからだ。通常ならお断りするところだけれど、聞いてみれば、とてもお世話になった方のお友達という ことがわかり、引き受けざるを得なくなった。
お断りしなくて良かった。専業主婦の方を起業させる能力はない。そう思い込んでいた私に、新たな師匠との出会いをもたらしてくれた大切なでき事となったからだ。
※上記はあくまでも一つの事例であり、絶対的な成果や効果を保証するものではありません。