我々人間の認識は、なによりも自身の信念範囲に制限されています。
それを越えた事象は、たいてい「奇跡」や「偶然」と名づけ、適当に終わらせてしまいます。
しかし、実は、これらの偶然と思われる出来事も、私たちの現実と認識している世界の一部に過ぎないのです。
偶然とは、起こり得る可能性が事前に既に存在し、ただ私たちがそれを予測できなかった、あるいは思慮不足で予見しなかっただけの事象です。
驚きつつ、それを偶然と呼び、あり得ないことが起きたかのように思い込むのは、私たちの都合に過ぎません。
ここで現象と寿命について考えてみましょう。
生命は、とても柔軟であり、その寿命は環境によって大きく影響を受けます。
実験用のネズミの寿命は通常2年程度と言われていますが、環境を変えて体温を下げ、最小限のカロリー摂取にすると、ネズミは4年から6年生きることが可能になります。
この事実は、人間にも適用されます。
人間は自身の環境を選択し、制御することが可能です。
江戸時代の平均寿命は30歳から40歳と言われていましたが、現代の平均寿命はそれの倍以上です。
これは、人の寿命にも柔軟性があるという事実を物語っています。
さらに細胞の視点から寿命を見ると、その差異はさらに大きくなります。
アメーバの寿命は2〜3週間と短いですが、細胞分裂を通じて何十億年以上も生き続けています。
それぞれの細胞は、非常に短命なものから長寿なものまで、同じDNAによってさまざまな寿命を制御しています。
私たちの身体も、渦巻く原子の流れによって構成され、それらは常に入れ替わっています。
細胞の寿命は短いと言えますが、その遺伝子レベルで見ると、それらは非常に長い寿命を持っています。
私たちが親から受け継いだDNAは、私たちの体のすべての細胞を形成し、制御します。
皮膚細胞から胃の内壁細胞、赤血球から肝臓、さらには心臓と脳の細胞まで、これらすべての細胞は、私たちのDNAによってコントロールされ、維持されています。
そのDNAは、脳や皮膚、心臓、肝臓、髪、爪の先まで、分化してさまざまな細胞を作り出す能力を持っています。
一部の細胞は一生変わらず、また一部の細胞は周期的に新しく生まれ変わります。
このような複雑な細胞の寿命の制御は、人間が新たなる生命を創出し維持するための基礎となっています。
そして驚くべきことに、私たちの細胞は、驚異的なスピードで流れる原子によって構成されています。
例えば、肺の中では酸素と二酸化炭素の交換は1000分の1秒以下、ナトリウムとカリウムのイオンは1秒間に300回脳細胞を出入りし、冠動脈を通って心臓に入る血液はわずか2〜3秒で酸化されています。
このように、私たちの体は想像を絶するような激しい変化の中でも細胞のレベルで正確に継承され、維持されています。
人間のDNAは、少なくとも200万年以上、そして人間のDNAの基になった原始的なDNAの起源はさらにその20億年以上前に遡るといわれています。
このように見ていくと、私たちは驚くべき遺伝子の力を持っていることが明らかになります。
そして、それはまた、私たちがもっと長く、健康に生きることができる可能性を示しています。
これが私たちの体の素晴らしい力であり、私たちが自分自身の健康と長寿を自分自身でコントロールすることが可能であることを示しています。