不動産活用コーチング、賃借人の義務

今回の不動産活用コーチングは、譲渡・転貸し・賃借物の保管など賃借人の義務や契約解除、そして契約期間についてです。

賃借人の義務

借賃支払義務(民法601条)

賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

したがって、賃借人が賃料を支払わなければ、賃貸人から契約を解除される。

賃借権の無断譲渡、無断転貸をしない義務(民法612条)

賃貸人の承諾なしに賃借権の譲渡・転貸を行うと契約を解除される。

ただし、同居の親子間の譲渡、転貸など、お互いの信頼関係を破壊しないような場合には、例外的に許される(判例による緩和)。

また、賃貸人の承諾を得た上で賃借権を譲渡した場合は、本来の賃借人が離脱し、以後は賃貸人と譲渡された者のみとの関係となる。

転貸借の場合は、賃貸人との賃借関係がそれぞれ残る。

つまり、2つの賃貸借関係が成立するということだ。

賃借物の保管及び返還の義務

賃借人は賃借物を原状のまま維持し、原状に復して賃貸人に返還しなければならない。

賃貸人の承諾なく勝手に建物に穴を開けて配管、配線をするなど、賃借人が勝手に原状を変更すると、賃貸人から賃貸借契約を解除されることがある。

賃貸借の終了

賃貸借契約期間の満了(民法616条、597条)にて賃貸借契約が終了する。

ただし、使用を継続していると黙示の更新(民法619条)がなされたものと推定されることがある。

参考▼

黙示の更新:賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する

解約申し入れ(民法617条)によって終了する。

当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。

  1. 土地の賃貸借 一年
  2. 建物の賃貸借 三箇月
  3. 動産及び貸席の賃貸借 一日

解除による終了

解約の申し入れは「告知期間ある告知」といわれおり、申し入れ後一定の猶予期間をおいて契約
が終了する。

これに対し解除は「告知期間のない告知(民法620条)」といわれており、猶予期間なしで直ちに将来に向かって契約が終了する。

※告知とは、過去に遡及せず、将来に向かって終了するという意味。

賃借権の無断譲渡または無断転貸を理由とする解除(民法612条②)

賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

本来信頼関係においてその目的物を使用・収益させているため、無断で他の者に使わせると契約を解除される。

ただし、親子間、夫婦間など、背信性がない場合には解除が制限される(判例)。

債務不履行を理由とする解除(民法541条)

当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

例えば、賃料不払いなど支払いを滞らせれば契約は解除される。

ただし、支払いの若干の遅れなど、信頼関係を破壊しない程度ならば解除が制限される場合がある(判例)。

また、建物の無断増改築禁止の特約がなされている契約で、この特約に反して建物を無断で増改築をすると契約を解除される。

ただし、信頼関係を破壊しない程度の増改築であれば解除が制限される(判例)。

建物の朽廃(きゅうはい)

旧借地法では、建物が朽廃すると借地権は消滅するという規定があった。

朽廃(きゅうはい)とは、朽(く)ちて役に立たなくなることを言う。

建物が朽廃すれば土地が返ってくるので、増改築や新築ができないように増改築禁止の特約を盛り込んでいた。

この特約により借地人は自分の建物であるにもかかわらず、増改築の際には地主の承諾を得なければならないことになっていた。

ただし、裁判所に中し立てをすると、裁判所が地主に代わって許可をしてくれる。

無断増改築禁上の特約がなされていない場合は、自由に増改築することができる。

つまり、建物の新築や増改築を繰り返せば、半永久的に使用することができるということだ。

地主にとってはありがたくないことかもしれない。

後発的全部不能(滅失・朽廃)

借家に関しては目的物である建物が火災で焼失してしまった場合、賃貸借契約は終了する。

混同(民法520条)

債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。

つまり、貸主の地位と借主の地位が同一人に帰した場合には、賃貸借契約は終了することになる。

例えば、借地人が土地の所有者となった場合や土地所有者が建物の所有者となった場合などだ。

そもそも賃貸借契約を交わす意味がない。

賃貸借期間

借地借家法29条・借家法3条の2に定められている建物賃貸借契約の最短期間は1年だ。

したがって、それ以下の期間を定めた場合は、定期借家契約を除き期間の定めのない契約となる。

期間の定めのない契約の場合は、貸主は6カ月、借主は3カ月前に申し入れをすることにより、いつでも解約することができる。

ただし、貸主の解約申し入れについては正当事由を必要とされている。

参考▼

民法第604条で定められていた最長期間20年という賃貸借期間については、建物の賃貸借には適用しない事になっている。

また、定義として確立しているところまでは至っていないが、敷金・権利金・保証金等の金銭の扱いについては次のとおりだ。

敷金

賃借人の債務を担保する目的で賃貸人に交付される金銭という扱いになる。

契約終了時には、債務を差し引いた上で返還される。

権利金

通常は返還されない金銭で、次のような性格をもっている。

  1. 場所的利益の対価
  2. 賃料の前払い
  3. 賃借権の譲渡性付与の対価

なお、今はほとんど利用されなくなった「礼金」も返還されない金銭だ。

保証金

ビルの賃貸借契約時や予約にあたり授受される性格のものだが、最近では、定期借地権の設定時に授受されることが多くなった。

比較的高額で、契約内容によってその扱いが異なる。

例えば、一部が償却、賃貸借期間にわたり均等償還、期間満了時に全額返還されるといったところだ。

修繕義務

賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う(民法606条)。

この規定は強行規定でないので特約を定めて賃借人にその一部を負わせることができる。

しかし、大修繕までを賃借人の義務とする特約は判例では認められていない。

参考▼

賃貸住宅標準契約書(平成5(1993)年1月29日答申・住宅宅地審議会)では、修繕は原則として賃貸人の義務とし、畳表の取り替え・裏返し、ふすま・障子紙の張り替え、蛍光灯・ヒューズの取り替え等の費用の軽微な修繕については、賃借人の権利として、家主の承諾なしに行えるものとしている(8条)。

原状回復

借家契約が終了した場合、借家を原状回復して家主に返還するのが通例であるが、原状回復の範囲について特約がない場合は、自然的損耗についてはその範囲外と考えられている。

参考▼

賃貸住宅標準契約書「この場合において、乙は、通常の使用に伴い生じた本物件の損耗を除き、本物件を原状回復しなければならない」(11条)

ただし、どの程度が自然的損耗か判断するのが難しい部分もあるので、具体的なことは協議によるものとしている。

ではまた。

ライフコーチング+CFP® MSID研究所

※この投稿は、日本FP協会CFP®カリキュラムに沿って作成しています。

3度の起業経験を持つキャッシュフロークリエイター
マイナス資産からでも起業できる戦略など、統括的デザイン戦略を用いたキャッシュフローの創造・改善を得意としている。

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